改めて挑戦してみたがやっぱり難しい
英作文の参考書で有名な物がいくつかあると思いますが、この「例解 和文英訳教本(文法矯正編)」もその一つだと思います。評判の高さをネットで伝え聞いて、私は英検1級の英作文を勉強をする時に、この本を手に入れました。ただ、その時は最初の数ページを見たのち「これは私のレベルだと、生かせる事がまだ少ないだろう」と思い、一時保留にする判断をしました(難易度が高すぎた)。
英検1級の英作文で点数を取る事を優先するならば、実際、この本はかなりのオーバースペックになると思います。以前にも書いたのですが、英検1級の英作文で点数を取るためには、それ専用の型を勉強した方が、手っ取り早いです。
もちろん、正攻法で英作文の実力を上げて試験に臨むのも、決して悪くはないでしょう(本来はそうすべきでしょうし)。ただその場合「英検1級に合格する」という目的に対しては、かなり遠回りになってしまうはずです。
有益だが難易度が高いので、身に着けるのには時間がかかる
今回この本を改めて手に取ったのは、今度は正攻法で英作文の実力を上げたい、と思ったからです。将来的には英検やTOEIC以外の試験も受けたいと思っていますし、英作文の勉強は、スピーキングに生かすことが出来る事も分かっています。ですので、名著と呼ばれているこの本を、とりあえず最後まで読んでみようと思いました。
しかし読み始めて思ったのは、やはりかなり難易度が高いという事です。読み進める分には一応、問題はありませんでした(理解は出来るし、腑に落ちる)。ただ、この本に書かれていることを頭に入れて、しっかりとした英作文を書けるようになるには、相当な修行が必要になると思います。単純に覚えるべきことがかなり多いですし、それを実用段階に持って行くのは至難の業です。
この本は「文法矯正編」と書かれている通り、中身はほぼ、文法の解説書とも言えるような内容です。つまり、正しい英作文を書くためには、しっかりとした文法知識・理解が必要になるという事で、それはその通りだと私も思います。ただ、この本で語られている文法の知識は、かなり上級者向けだと感じました。
ちなみに、私が以前に絶賛のレビューをした「英作文ハイパートレーニング和文英訳編」も、文法の説明にほぼ紙面が割かれていました。初めて英作文の勉強をしようという方や、英検の英作文の対策を考えている方は、難易度的に、こちらを先にやった方が良いと思います。
頭に入れるというよりも、当分は辞書のような使い方になりそう
難易度は高いのですが、この本の内容は、本当に素晴らしいと思います。著者の先生の独自の視点で、英文法がより分かりやすく、論理的に説明されています。個人的には、冠詞の説明や、英語の語順を「旧情報・新情報」で説明している部分など、ものすごく読みごたえがありました。
ただ、私の場合、この本の内容を頭に入れるのには、かなり時間がかかりそうです。英作文を実際に書く練習をしつつ、この本を参照しつつ、じわじわと前に進んでいくしかなさそうです。
恐らく、他の多くの学習者の方も、一度この本を読んで、それがすぐに身になる、ということはなかなか無いと思います。頑張ってこの本を何度も読み込んで、記憶に少しでも留めるようにする。そして英作文を書いているときに、本の内容を部分的に思い出せるかもしれない。その時にまた、この本を読み返して勉強をする、という使い方になるのではないでしょうか。
この先の道は果てしないですが、くじけずに勉強を続けなければなー、と思っております。
恐らく著者の先生は、この本の難しさを知らない
名著だからと言って、誰にでも有益なわけではない
この本のまえがき部分で著者の先生が、この本は英文法の基礎作りをするもの、とおっしゃっています。英文法に初めて触れる人にもおすすめ、とも書いているのですが、はっきり言ってそれは、ずいぶんと無慈悲なお言葉だと思います。このような著者と読者(学習者)の難易度ギャップは、英語の参考書(特に文法系)でよく見かけるのですが、それはなぜなのでしょう。
これは個人的な意見ですが、先生方はあまりにその道を究めすぎて、学習者の「難しさに対するストレス」を、想像する事が出来なくなっています。モチベーションや理解力の高い、超優秀な生徒だけが、英語を勉強しているわけでは無いのです(むしろそちらが少数なはず)。
さらに状況を悪くしているのが、アマゾン等のレビューだと思います。基本的に、レビュアーの英語力は千差万別で、それを知る方法はありません。加えて、評判の良い参考書を「無理をして褒めている」人が多くいると、私は思います。結果的に初中級者の方がレベルの合わない本を買って、しかし全く活用できない、というケースがかなり起こっていると思います(この本に限らず)。
現時点での、レベルに合った本をやることをおすすめします
なんだか批判めいたレビューになってしまいましたが、私はこの本が身になるまで、じっくり取り組みたいと思っています。それだけ、この本の内容は素晴らしいです。ただ、難しい本については、はっきりと「難しい」事をみんなで共有すべきだと私は思います。
そうしないと、学習者にとって一番大切な「学習のモチベーション」が、奪われる事になりかねません。実際、この本は大学の英文科の学生が使うような物じゃないのかなー、と思うのですが……。みんな本当に使いこなしてる? ホントの本当に?