
過去の「特急シリーズ」は、今でも使える
TOEICの問題集として有名な「特急シリーズ」を、最近片っ端からやっています。前回はリーディングパートpart7のダブルパッセージを扱った、「読解特急5 ダブルパッセージ編」をやってレビューを書きました。
上記の本の内容は、2013年に発行されたものと全く同じ、という事が本文中に記載されていました。ですが、現在のTOEICのpart7で出てくる問題と、それほど違いを感じませんでした。ということで、「旧形式の問題」も十分TOEICの勉強に使えそうだ、という感触を得ました。
「旧形式」→「新形式」の変更で、特別な事は無さそう
2016年の5月にTOEICが新形式に切り替わりました。そのため、この2016年5月を境にして、TOEICの問題集もさまざまな影響を受けたようです。この特急シリーズで言うと、新形式前に売られていた本に加筆修正をしたものを「新形式対応版」として売っているケースが非常に多いです。
「読解特急5 ダブルパッセージ編」のように、全く改訂がされないケースは珍しいパターンのようです。他の多くの本は、元々の問題に「新形式対応」の問題を加えて、少し厚みを増した形で「(再)新発売」されています。
つまり、「旧形式の問題」も、ほとんどそのまま再利用されています。そう聞くと「新形式対応版」が表面的な改訂で、手抜きのように感じられるかもしれません。ただ、ここまでの私の印象だと、TOEICが新形式になったところで、問題の内容はそれほど変わっていないようです(出題形式は多少変わった模様)。
という事で、特急シリーズに「旧形式時代」の問題が含まれていることは、何ら気にすることでは無いと思います。TOEIC関係の先生方や出版社は、新形式への対応が大変だったかもしれません。もしくは、古い本をリサイクルするチャンスにもなったのかもしれません。学習者はそこらへんは気にすることなく、特急シリーズの新旧の問題をこなせば、TOEIC力及び英語力の向上が見込めるはずです。
ちなみに、特急シリーズはもともとの定価が安いので、旧形式の本を中古で買うメリットは少ないと思います。「新形式対応版」の中古を買うのが、一番お得かと思います(改訂で問題数が増えていることも多いので)。
以下は、特急シリーズの価格に関する、私のおおざっぱなイメージです(アマゾン調べ)。
旧形式 中古で1円~+送料250円 合計251円~
新形式対応版 中古で100~250円+送料250円 合計350円~
定価 電子書籍版 800円~ 紙版 900円~
TOEIC パート3・4特急&Ⅱの難易度は本番よりやや上
今回レビューする、「パート3・4特急実力養成ドリル」とその続編「パート3・4特急Ⅱ実践トレーニング」には、それぞれ50セット×3問=150問ほどの問題が含まれています(厳密には153問)。そのうち、新形式対応として追加されたのは、33問です。つまり120問は旧形式の本から変わっていません。
ですが、冒頭で述べたように、旧形式の問題でも現在のTOEICの問題と違いをほとんど感じませんでした。学習者は特に気にする必要は無いと思います。
難問が含まれるが、全体的な問題の質は良い
まずは私の正解率をご紹介します。
パート3・4特急実力養成ドリル 153問中 11ミス 得点率 約93%
パート3・4特急Ⅱ実践トレーニング 153問中 13ミス 得点率 約92%
私のTOEICの成績(だいたい95~97%が多い)と比べると、こちらの2冊の方がやや難易度が高いことが分かります。実際に解いていて、得点で現れている以上に難易度が高かった印象を受けました。
具体的に言うと、
選択肢の意味があいまいな物が存在する
日本語訳を見ても意味が取り辛い文章がある
音の消失や圧縮が厳しい物がある
上記の理由で、難易度が高くなっている印象です。
あいまいな選択肢は、本番ではあまり出ません(特にリスニングは意味の明確な選択肢が多い)。また、日本語訳を見ても内容が複雑に感じる文章は、そもそもそれが良い文章では無い、という可能性があります(推敲が足りないようにも感じる)。不必要に複雑な問題は、TOEIC本番ではめったに出てきません。
ですので、この2冊には難易度を上げるためにわざと複雑にした、と思われる内容の問題が含まれています。音の消失や圧縮が厳しい物は、聞きこむことによって、リスニングの訓練になります。ただ、問題ごとに聞き取りやすい物と、そうでない物があって、その基準が安定していないのが少し気になりました。
難易度が高めな点に注意が必要
結果として、問題ごとに難易度の差が激しいです。ただ、全体としてみれば、だいたいが質の良い問題でした。繰り返し勉強をすれば、確実に実力を上げる事が出来ると思います。
ただし、上記のように難易度は高めですので、おススメできる学習者は「現在800点以上取っている方」という印象です。例えば、公式問題集のリスニング音源がほとんど聞き取れるかどうか、が判断基準になると思います。
公式問題集が聞き取れるならば、その先の学習用教材として、この2冊を上手く活用できるはずです。そうでないならば、もっと易しい音源を大量に聞きこんだ方が、学習効率が良くなるはずです。
特急シリーズの難易度は、タイトルから読み取りにくい
特急シリーズには「初心者特急」という名称のシリーズがあります。そちらは難易度が抑えられているようです。
一方で、それ以外の特急シリーズは、タイトルから難易度を計る事が難しいという印象を受けました。つまり今回のように、公式問題集よりも難易度が上のものが結構存在するようです。
ですので、購入される際にはご自分の学習の進み具合と、本の難易度が合っているかどうかを、よく調べる事をお勧めします。個人的にTOEICで800点ぐらいを取れるまでは、公式問題集と同程度か、それよりも難易度の低い問題を大量にやったほうが、学習効率が良くなると思います。
ただ、難易度がTOEIC本番以下で、良質の問題を揃えているTOEIC向け問題集は少ないようです。難易度を抑えていて、オススメ出来るのが以下の模試です(他におススメ出来るものがあまり無い)。
特に基礎を固める段階では、TOEIC向けの模試・問題集にこだわらずに、レベルの合った良質の教材を探すことをおススメします。例えば以下のように、TOEIC専用じゃなくても、良い教材は結構あります。