AI英会話アプリの「Hachi」と「Speak」を比較してみた

2023年5月13日に「Hachi」の大型アップデートが実施されました。ただ、私が使ってみた感じでは、そこまで大きな違いは感じませんでした(ちょっとした調整という印象)。

今後ChatGPT4を組み込む予定らしいので、その後にまたレビューをしたいと思います。

どちらもChatGPTを使っているので、AIの反応は素晴らしい

最近私は、AI英会話アプリの「Speak」を利用して、英会話の勉強を毎日20分続ける事にしました。「Speak」に関しては、少なくとも一か月ぐらい使ってから、改めて使用感のレビューしたいと思っています。

上記の記事内でご紹介しているのですが、AIを使った英会話アプリは他にもあります。その一つが「Hachi」という、Lineのシステムを利用したアプリです。こちらもChatGPTのAI先生と会話をすることが出来ます。

「Hachi」はOpenAI(ChatGPTの開発元)が提供する「Whisper」という高性能な音声認識機能を使っているために、学習者の発音があまり良くなくても、かなり正確に英語音声を認識してくれます。

ChatGPTとWhisperを使っているのは「Speak」も同じです。ですがこの「Hachi」の凄いところは、使い放題の月額料金を550円(税込み)に抑えているところです。一方で「Speak」は、使い放題のプランを選ぶと、月額がなんと6800円。年払い(44800円)にすれば安くなりますが、それでも月額3733円(44800÷12か月)かかります。

もちろん、二つのアプリには違いがあって、それが料金の違いにもつながっているはずです。私は「Speak」と「Hachi」をまだそれほど使ってはいませんが、現段階で感じた二つのアプリの違いを、今回は取り急ぎご紹介したいと思います。

個人的な結論を先に短く述べると、

「Speak」の方が、学習用アプリとしての完成度は高い。ただ、英語の基礎力があって、多少の手間を惜しまなければ「Hachi」でも十分英会話の勉強に使える。

という印象を持ちました。

私はすでに「Speak」にお金を払っているので、このまま使う予定です。ただ「Hachi」も独自の魅力(料金とカスタマイズ性)があるので、併用しようかと思っています。

「Hachi」と「Speak」には、分かりやすい違いがある

まず、この二つのアプリは「立ち位置」がちょっと違うと感じました。

前回「Speak」の使い始めレビューの中で、私は自力でChatGPTをカスタマイズして、同様の事が出来ないかを試しました(無料で勉強したいので)。結果としては、調整の手間がかなりかかるのと、不具合が出る可能性があるため、無料のChatGPTではなくて「Speak」にお金を払うことに決めました。

一方「Hachi」を使ってみて感じたのは、その立ち位置が「自力でChatGPTを調整する場合」と「Speak」の中間あたりにあるのではないか、という事です。もう少し具体的に説明します。

ChatGPTを自力で英会話に活用する場合、様々な命令を事前に下しておく必要があります。例えば「私は英語を学習している外国人なので、簡単な単語を使ってください」とか「返答は20単語以内でお願いします」のような命令で、AIの受け答えを事前に調整しておく必要があります。

そうしないと、AIはネイティブ向けの単語を使って、しかも、かなり長い文章で答えを返してきます。そもそもChatGPTは、英会話の学習用に作られているわけではありません。ですので、英会話の学習目的で使うには、学習者による調整が必須になります。それが結構面倒くさいと感じたので、私は「Speak」を使うことにしました。

一方で「Hachi」は、英会話の学習向けに最低限の調整がされています。むき出しのChatGPTに比べると、かなり使いやすいです。ただし、学習者が何も調整しないで「Hachi」使った場合、AIの返答はかなり長めになりますし、単語と文法にも手加減がありません。これを使いこなすには、英語の基礎力が必要になると私は思いました(特に初心者には厳しい内容)。

実際に、「Hachi」を初心者が使う場合の調整方法を、公式が以下に提案しています。これはつまり、開発側としても「初心者がそのまま使うのは難しい」事を認識しているという証だと思います。

と言う感じで、「Hachi」を上手く使うためには、学習者が多少調整をする必要があります。これだと、ChatGPTを自力で使う場合と同様に、面倒くささを感じる人が出てくるはずです。ですので、このアプリは中間の位置にある、という印象になりました。

図にすると以下のような感じです。

※Speakの月額は使い放題の場合で、もう少し安いプランもあります。実際私は、月額2483円のプレミアムプラスで使っています(詳細は前回のレビューにあります)。

アプリの違いをもう少し細かく説明する

ChatGPT
(自力調整)
HachiSpeak
①人間と同じように会話できる
②アドバイスや総評をくれる
③あいまいな発音を聞き取る
④細かくカスタマイズ出来る
⑤オンライン英会話より安い料金
⑥学習用に最適化されている
※かなり適当な個人の感想です

「人間と同じように会話できる」に関しては、ChatGPTの能力そのものと言えます。ですので、どの方法を使ったとしても、AI先生はかなり洗練された答えを返してくれます。一問一答の形なので、厳密には人間との会話とは違いますが、英会話の練習としては十分だと思います。

「アドバイスや総評をくれる」に関しては、Speakが一歩リードしています。アプリの機能として、会話の後に、細かいアドバイスが自動で表示されるようになっています(文法に間違いがあった場合)。

一方で「Hachi」では「文法」というボタンを押せば、文法的な誤りを指摘してくれます。ただし、チェックは直前の発言にのみ適用されるので、ちょっと使いにくいです。

ChatGPT単体の場合は、命令文を駆使すれば文法のミスは指摘してもらえます(ただし面倒くさいし、的外れなアドバイスが来る事もある)。

「あいまいな発音を聞き取る」に関しては、「Hachi」と「Speak」はOpenAIが提供している「Whisper」を使っているので、かなり優秀です。

ChatGPT単体で使う場合は、googleの「Voice in」をクロームのアドオンとして使えば、同じぐらい優秀に聞き取ってくれました。他にも音声認識のアドオンはあるのですが、「Voice in」以外はちょっと能力が下がる印象でした。

「細かくカスタマイズできる」に関しては、ChatGPTの自由度が高いです。ただ、これは「細かくカスタマイズしないと快適に使えない」という意味でもあります。

「Hachi」はChatGPTと同じように、命令をすることで細かい調整が出来ます。ただ、これをメリットと感じるのは、一部の上級者だけかもしれません。

「Speak」カスタマイズの余地がほとんど無いのですが、アプリに全部お任せできる、という安心感があります。ちなみに、会話のシチュエーションをカスタマイズするモードはあります。

「オンライン英会話より安い料金」に関しては、ChatGPTは無料で使えます。

「Hachi」は100回まで無料で受け答えが出来て、550円で使い放題になります。これはかなり破格だと思います(無料の回数や期間は変更される可能性があるので要チェック)。

一方で「Speak」の料金はちょっと高いと感じます。ChatGPTを英会話の学習用に最適化してもらうのに、どれくらい払うべきなのか。現状では選択肢が少ないので、この料金でもアリだとは思います。ただ、将来的には競争が激しくなって、利用料金は下がるような気がします。

「学習用に最適化されている」に関して、ChatGPTは個人の調整が必須です。

「Hachi」は最低限の最適化をしてくれている、という印象です。使いやすくするには、多少の調整が必要です。

「Speak」は現状で、もっとも最適化されたAI英会話アプリだと思います。ただ、改善の余地はたくさんあると思います。

以上を踏まえて、それぞれのアプリのおススメできる対象者を考えてみました。

「ChatGPT単体」 

細かい命令が必要なので、かなり上級者向け。カスタマイズの余地をメリットと思う人もいるはず。初中級者にはあまりおススメ出来ない。ただし無料で使える。

「Hachi」 

最低限の調整をしてくれているので、英語の基礎力があるなら、これで十分勉強が出来る。ただし初心者が使うにはハードルがやや高い印象。使い放題550円は破格。

「Speak」

英会話初心者でも使いこなせるように、調整がされている。会話のテーマが準備されていたり、アドバイスも細かくもらえる。ただし利用料金が高い。

とはいえ、英会話を始める前に基礎学習をやった方が良い

「Speak」は幅広いレベルの学習者に対応しているので、初心者の方でも手を出しやすいと思います。ただし、英会話の勉強をするためには、英語の基礎があった方が、学習効率が圧倒的に良くなります。

ですので、初心者の方が「AIアプリで英会話の勉強を始めよう!」と思ったとしても、まずは座学で単語や文法の勉強をすることをおススメします。そして、初めの内は「勉強後のおまけ」ぐらいの感覚で、英会話のアプリを使うぐらいが、ちょうど良いと思います。

ここで座学を勧めている事は、やる気をそぐような言い方に聞こえてしまうかもしれません。ただ、英会話をするためには、まずは大量のインプット(単語や文法の知識)が必要です。そのために基礎の勉強をしっかりやった方が、上達を感じられて、モチベーションの維持にもつながります。

一方で、英語の基礎力が既にある方は、お試しでアプリを使った後に、ご自分の好みに合った選択をすればよいと思います。今回比較をしてみて「Hachi」はかなり魅力的だと感じました。「Speak」はアプリの完成度が高いのですが、利用料金がちょっと高いと感じます。

ちなみに私は以前、オンライン英会話で「東南アジアの食べ物と旅」をテーマにして、フィリピン人の先生とよく話をしました。同様の話をAI先生に振ると、本当に良い反応を示してくれます。AI先生の印象は「冗談を言わないが、真面目で優秀かつフレンドリーな先生」という感じです。話題が豊富で驚かされますし、話をしていて楽しいです。

今後もいろいろと展開があると思うので楽しみです。AI英会話関連で、何か面白そうな事が起きたら、またレビューしたいと思います。