AI英会話アプリ「speak」と「ELSA AI」を約4か月やった時点でのレビューをします

オンライン英会話で得られる学習効果とかなり近いと感じる

私は現在、AIを利用した英会話学習アプリを二つ併用しています。「speak」は約4か月、「ELSA AI」は約1か月半ぐらい使っているのですが、その機能はかなり似ています。というのも、これらのアプリは両方ともChatGPTを利用しているので、心臓部は全く同じです。

機能的に似ているアプリを併用している理由は、AI英会話アプリの進化に興味があるからです。恐らくですが、この二つのアプリが現状では最前線を走っていると思います(あまり詳しく調べてないですが)。

アプリの開発元がそれぞれ独自にチューニングを施しているので、個別の特徴はあります。利用料金も違います。細かい違いに関しては以前にレビューをしたので、よろしければご覧ください。

アップデートが頻繁に行われていて、日々アプリが少しづつ成長しています。ただ、メジャーアップデートと言えるような大きな変更はまだ無いようです。恐らくですが、ChatGPT本体が今後進化するのと並行して、これらのアプリも変わって行くのではないでしょうか。

ChatGPTの完成度が既に非常に高いため、この二つのアプリは、現状でも十分英会話の勉強に使うことが出来ます。私はトータルで約4か月使っているのですが、以下のような感想を持っています。

①初中級者が英会話の学習をする目的ならば、AI相手で十分ではないか?

②むしろ人間の先生を相手にするよりも良いかもしれない

それぞれの項目について、もう少し細かく説明をします。

①初中級者が英会話の学習をする目的ならば、AI相手で十分ではないか?

私は年末に英検1級の試験を受ける予定です(2年ぶり2回目)。一度合格はしているのですが、前回2次試験のスピーキングで、点数が合格ラインギリギリでした。特に発音の点数が酷かったので(5点/10点満点)、次はもう少し良い点数を取りたいと思っています。

前回試験を受けた時には、試験の約9か月前に英会話の勉強を始めました本当にゼロから始めた)。

それまで7年間英語を勉強していたのですが、アウトプットの勉強を全くやっていなかったために、結構苦労をしました。まずは短い文章の暗記をして下地を作り、あとはオンライン英会話でトライアンドエラーを繰り返して経験値を貯めて行く、という地道な作業をしました。

当時、オンライン英会話で目指していた事は、

お題に対して自分が言いたい事を、なるべく詰まることなく、手持ちの表現で言えるようになる(文法と単語は基礎的なもので良い)。

という感じです。これが出来れば、英検1級の2次試験で合格出来るはずです(お題はやや難しい場合があるが)。

私の場合、会話に慣れるまでは本当に言葉が出てきませんでした。25分の授業を毎日3か月ぐらいやって、ようやく会話をしている感じが出てきました。言いたい事を自由に言えている感覚が得られたのは、さらに3か月ぐらい経ってからです。

この英会話に慣れるまでの6か月は、本当に基礎的な事の繰り返しでした。文法や単語も、難しい物はほとんど使っていません。そう考えると、この過程はAI相手でも十分だと感じます。具体的な会話の内容は、

先生「あなたの好きな食べ物は何ですか?」

私「マンゴーが好きです。先生は何が好きですか?」

先生「私もマンゴーが好きです。実は私の家の庭にマンゴーの木があるんですよ」

私「それはうらやましいです。フィリピンではマンゴーの値段が安いですよね?」

みたいな、一問一答のやりとりをいかにスムーズに進められるか、というのが毎回勝負でした。簡単なように見えて、これがなかなかスラスラとは行かないのです……。

しかしこの過程は、難易度が高いというよりは慣れの問題です(文法と単語の基礎は必要だが)。上記の「マンゴーのやりとり」を3回ぐらい繰り返せば、次に「マンゴーのやりとり」が会話に出てきた時に、かなりスラスラと話すことが出来るはずです。

そうやって小さな経験を積み重ねていくと、やがて多方面に応用が効くようになり、会話を楽しめるようになります。先ほども述べましたが、この繰り返しの作業は、AIとの会話で十分実現可能だと感じています。

②むしろ人間の先生を相手にするよりも良いかもしれない

オンライン英会話では、先生と話す内容をこちらから指定する事ができます。フリートーク(雑談)を選んで、上記の「マンゴーのやりとり」を繰り返し練習するのも良いでしょう。その他に「フィリピンの電気料金が高すぎる」とか「好きなビールの銘柄」などを繰り返して行くと、それに関する語彙や表現が増えて行きます。結果として、だんだん会話も続くようになって行きます(つまり英会話が上達していく)。

英検1級の2次試験を想定する場合は、もう少し社会性のある話題を選ぶ必要があります。例えば「環境問題」とか「教育問題」などを選んで、先生とテーマに沿って会話をすることができます。

オンライン英会話では、毎回同じ先生を選ぶためには予約をする必要があります。ですがその場合、指名料がかかってしまう事が多かったです。ですので、私は毎回、初対面の先生と会話をしていました。これだと先生の質が安定しないですし、継続的に教えてもらえない、というデメリットがありましたが、一方でメリットもありました。

というのも例えば「環境問題」について、私が話す内容は毎回ほとんど同じなので、新しい先生を相手にした方が気まずさを感じなくて済みました。先生が違うと、同じテーマについて話をしても、新しい展開になりやすいというメリットもありました。

「同じテーマについて何度も話す」事は、特に試験対策を考えた場合は効果的です。そしてこの作業と、AI英会話アプリは非常に相性が良いです。AIは前回の話の内容を引き継がないですし、私の個人情報も参照しません。このことは、オンライン英会話で、毎回違う先生に出会う事と似ています。アプリでは、自由にテーマを設定して話すモードも充実しています。「speak」では以下の画面から、会話の内容を指定できます。

ELSA AIも似たような機能があります。

こちらは対話式で会話のシチュエーションを決める形になっています。英語で指定をする必要があるので難易度がやや高いですが、AIがサポートしてくれます。例えば「環境問題について話したいです」とだけ言った場合、「それでは私が環境問題に関心を持っている市民で、あなたは政治家としての取り組み方を提案してください」みたいな状況を作ってくれたりします。もちろん、自分でそれぞれの役割を細かく指定する事もできます。

アプリならば、いつでも、好きな時に練習が出来ます。会話の内容はテキストで残るので、あとで復習もしやすいです。さらに「speak」では、会話内容の細かい添削もしてくれます(ELSAも会話の細かい評価はある)。発音が独特な先生や、機嫌の悪い先生はいません。途中で会話のテーマを変えたり、中断するのも自由です。加えてコストが安いので、現状ではオンライン英会話に比べて、メリットがかなり多いと感じています。

今後オンライン英会話との住み分けはどうなるのか

英会話の初中級者にとって、AI英会話が理想的な選択肢になりつつあると感じています。恐らくですが、オンライン英会話の市場は今後徐々に縮小して行くのではないでしょうか。特に料金面でのインパクトが大きいと思います。

ただ、もちろん人間の先生を相手にする利点もたくさんあると思います。私は約9か月間オンライン英会話を経験したのですが、冗談を言い合ったり、お互いの趣味や文化について会話をすることはとても楽しかったです。生身のコミュニケーションで得られる空気感は、AIが今後進化してもなかなか実現できない部分だと思います。

「学習目的」ではAIを利用して、「会話そのものを楽しむ目的」ではオンライン英会話を使う、という形が、私がなんとなくイメージする今後の姿です。ただ、AIの進化が凄いので「楽しむ目的」でもAIでこなせる、という世界になるかもしれません。人間そっくりのアバターを持った、AI先生と会話をする日も結構近いのではないかと思っています。