elsa speakの合格点(80%)にこだわり過ぎると、学習効率が悪くなる可能性がある

この発音学習アプリを毎日15分、4か月続けています

elsa speakをご存じ無い方に簡単にご説明しますと、これは英語の発音を練習することが出来るスマホアプリです。このアプリの凄いところは、AIが学習者の発音を分析して、その正しさを細かく判定してくれることです。それによって、従来は独学者にとって非常に困難だった発音学習が、かなり簡単に、しかも正確に出来るようになりました。使い方などは以前詳しく書いたので、よろしければそちらもご覧ください。

私は現在、このアプリを約4か月使っています。アプリの評価はずっと変わらずに、とても素晴らしいと思っています。ここを直してほしいな、という細かい要素はいくつかありますが、発音学習をするにあたって、特に大きな支障は感じません

毎日、15分ぐらいの学習を4か月続けて、着実に発音が良くなっている気がします。データとしてもそれは現れています。このelsa speakの評価システムとして、発音の正確さは%で表されます。学習の開始直後は、それが平均で70%前半ぐらいだったのですが、現在は80%になりました。

4か月で5%ぐらいしか上昇していないので、目覚ましい進歩とは言えないかもしれません。ただ、独学者が安心して、発音学習に取り組めること自体が有難いです。そして少しでも前に進めているのならば、私としては十分満足です。今後も続けて、85%以上を目指して行きたいと思っています。

それぞれの習熟レベルによって、個別に合格点を設定すべし

みんなが同じゴール(80%)を目指す必要は無い

ところで、この%で成績を表すシステムは、上達の指標としては分かりやすくて良いのですが、あまりこだわり過ぎると、学習が非効率になる可能性をはらんでいます。簡単に言うと、アプリ全体を通して、合格点が80%以上に固定されているため、そこを必ずクリアしないといけないのでは? という誤解を学習者に与えていると思います。

学習者の発音の習熟度は、個人によって全く違います。ですので、みんなが同じ80%を目指す必要はないはずです。初心者ならばもっと低い目標で良いでしょうし、上級者ならば90%、もしくはそれ以上を目指す、というケースも考えられるでしょう。

それでは、学習者はこの「%の評価システム」と、どう付き合っていけばよいのか、私がこの部分についてどのように考えているのかを、具体的なケースと共にご紹介したいと思います。

成績システム(パーセント)はどのように構成されているのか

全体の評価として、私の現在の成績は80%になっています。ただ、これはすべての評価を平均化した結果で、時には70%以下の成績を取ったり、逆に90%以上を取ることもあります。もう少し具体的に説明をします。

現在私は、「デイリーレッスン」と言うコースを毎日こなしています。これは、いくつかの練習方法をアプリが自動で組み合わせて、学習者に提供をしてくれるコースです。内容は毎回、微妙に変化があるのですが、主に以下のような項目を組み合わせています。

難易度(個人の印象)私の成績(おおよそ)
単語(一語)簡単90%
単語(複数)ふつう85%
短い文章ふつう80%
長い文章難しい75%以下
対話形式の短文ふつう80%
対話形式の長文難しい75%以下
2択のリスニングテスト簡単90%
抑揚の練習かなり簡単95%

上記の項目が組み合わされた結果、私の成績は平均で80%という事になっています。各項目が均等に出題されるわけではないので、80%の内訳は正確に説明することはできません。ただ、表を見て頂ければ分かるのですが、難易度の低いもので良い成績を取っており、逆に難しいものでは、成績が低くなっています。それを平均して80%になっている、という訳です。

ですので、難しい項目に関しては、75%取れたなら十分だと現時点では考えています。かなり難易度が高い場合、65%で次に進むときもあります。また、簡単な単語で80%程度を取れたとしても「もうちょっと取れたはず」と感じたときには、その後90%ぐらいを目指して、何度かやり直すこともあります。

というわけで、アプリが設定している合格点(80%)は、そんなに根拠が無いことが分かると思います。問題の難易度によって、合格点が変わるような配慮もされていません。ですので、個人の実力や目指すところによって、実際の合格点をどれぐらいにするのか、柔軟に解釈をすべきだと思います。

初心者の方は特に、80%は気にしなくてよい

発音学習を始めたばかりの方がこのアプリを使った場合、単語一つのテストでも、80%を取るのは非常に難しく感じるでしょう。一応、何度もテストを繰り返せば、80%を取れる可能性はあります。しかし、発音の難易度によっては、膨大な時間がかかってしまうはずです。また、どうしても80%を取れない回も出てくるはずです。結果としてストレスがたまって、学習のモチベーションも下がってしまうかもしれません。

ですので、初心者の方は特に、80%にこだわらない方が良いです。難しい単語や文章に出会ったら、独自に合格点を設定して(ハードルを下げて)、それをクリアしたら今回はOK、という形にした方がストレスが少なくなります。具体例として以下に、「おススメしないやり方」と、「おススメのやり方」をご紹介します。

あまりおススメしないやり方(80%にこだわって練習を繰り返すケース)

「really」の発音が上手くいかず、何度やっても50%以下しか取れない

「really」の発音方法をネットで調べて、さらに練習を繰り返す。時々60とか70%が取れるようになる。ここまでで10分経過

時間をかけて、ついに80%が取れたが、なぜ80%取れたのかはよく分からない。その後、また60%とかを繰り返し取ってしまう(再現性が低い)。20分も経過しているので、今回はここで終了。

オススメするやり方(難しいと感じたら、ハードルを個別に下げる)

「really」の発音が上手くいかず、何度やっても50%しか取れない。そこで、これは厳しいな、と判断をする。

ちょっとだけネットで調べるのはありだが、それですぐに改善されない場合はあきらめる。ハードルを下げて、今回は65%をゴールにする。

何度かやっていたら62%が取れたので良しとする。次に進む。ここまでで10分経過

私はこのアプリを始めたころ、上記の「おすすめしないやり方」を繰り返していました。特に「w」や「l」の発音が難しくて、一つの単語にこだわって練習をすることが結構ありました。単語で言うと、wouldとかreallyとかです(もっとたくさんあるけど)。

そうすると、それだけでかなりの時間を消費してしまいます。疲労感が凄いですし、ストレスも溜まりやすいです。また、頑張って80%をその時に取ったとしても、次の日に再現できる可能性はかなり低かったです(一日でコツをつかむのは無理)。

つまり、一つの単語で高得点を取ることに集中すると、全体の学習の効率がかなり悪くなってしまうのです。ですので、難しい発音に出会ったときは一時的にハードルを下げて、クリアとしてしまった方が良いと思います。今後勉強を続ける中で、例えばwouldやreallyを練習する機会はたくさんあります。それらの発音のクオリティは、徐々に、ゆっくりと上げて行けばよいのです。

そのようなジワジワとしたやり方で、本当に上達するのか、私も最初は不安でした。毎回80%まで練習した方が良いのか、迷ったこともあります。ただ、長い時間をかけて、同じ単語を何度も発音していれば、徐々に正しい方法が身に付くことが分かってきました。最初は50%以下だった単語が、70,80%を取れる割合が、現在はだんだんと増えてきています。

なぜ上達したのか、理論的な説明はできないのですが、とにかく音を聞いて、繰り返し練習した結果だと思います。難しい発音に関しては、ネットで方法を調べて、それを頭の片隅に置いておくことも効果的です。それと、elsa speakとは別に、発声系の勉強を併用すると、発音の学習にプラスになると思います。

私は現在、「英語のハノン」と、「英検1級の英作文を音読しながら筆写すること」を毎日やっています。その時に、elsa speakで学んだことを頭に置きつつ、発音を繰り返しています。それが良い復習や予習になっているはずです。恐らく、80%まで上達できたのは、elsa speak以外での学習の成果もあると思います。

達成目標はアプリに任せずに、各自が最適化しましょう

理想を言えば、elsa speakのAIが毎回、個人に合わせて合格ラインを設定して欲しいです。例えば、「あなたの今の実力なら、reallyは65%で合格!」と判断してくれれば、初心者はモチベーションを維持しやすくなります。その後、「r」や「l」の発音が上手くなってきたら、「今度はreallyで70%を目指してみよう」みたいに、ゴールを調整してくれると嬉しいはずです。

現状でそれは望みすぎなので、今はその作業を人力でやる必要があります。そう考えると、このアプリはまだ改善の余地がかなりあると感じます。少なくとも、合格ラインを個人で設定できれば良いのですけれどね……(カスタマイズの余地は無い)。

レベル調整の問題は、いろんな教材で発生していると思います。将来的にはその部分にも、AIが活用されると、学習効率が高まると思うので期待をしております。