いま「英検1級」を受ける方は、AIを活用すれば、英会話と英作文を効率よく学ぶことが出来る

少し前まで、アウトプットの学習はハードルが高かった

私は2021年に英検1級を受けて合格したのですが、その時にライティングとスピーキングの学習で結構苦労をしました。というのも、長年TOEIC中心の勉強をしていたので、リスニングとリーディングに英語力が偏っていました。ただ、それは仕方が無い事だったと思います。

ライティングとスピーキングはアウトプットの学習なので、実践的な練習が大切になります。ただ、日本で英語を勉強している場合は、生活の中で英語を使うシーンが無い人が多いはずです。したがって、良い勉強方法を見つける事も難しかったです。ネイティブの先生に直接教えてもらう、というのがベストな方法だとは思いますが、それには高額のお金がかかってしまいます。

それが、ここ数年で良いアプリや教材が誕生して、アウトプットの勉強が一気にやりやすくなりました。AIの進歩のおかげで、人間相手じゃないと出来なかったことが、アプリで代替できるようになってきました。実際に私が使っている物としては、

スピーキング

発音学習アプリ「elsa speak」・英会話学習アプリ「speak」英語のハノン

ライティング

翻訳サイト「Deepl翻訳」・英作文を添削してくれるweb上のサービス「DeeplWrite」「ProWritingAid」

加えてアウトプットの為のインプットとして

「例文暗唱・タイピング」が個人的におススメ

上記の物がかなり便利です。それぞれについて具体的に解説します。

AIのおかげでスピーキング学習のハードルが著しく下がっている

1人で発音学習が出来る「elsa speak」

独学の場合、発音学習を効率的にする事は以前はかなり難しかったです。発音学習用の書籍が発売されていますし、youtubeでも発音学習専門のチャンネルがたくさんあります。ただし、発音が上手く出来ているかどうかを確かめるためには、誰かにチェックをしてもらう必要があります。それをやらないと、修正点が分からないので上達がなかなか見込めません。

そこで「elsa speak」というアプリが役に立ちます。このアプリでは、AIが学習者の発音を客観的に評価してくれます。どこがどのように間違っているのかを、学習者が自力で理解する事が出来るわけです。以前はネイティブの先生にチェックしてもらわないと出来なかったことが、このアプリで簡単に出来るようになりました。

詳細はレビューを見て頂きたいのですが、このアプリは個人的にめちゃくちゃおススメです。英語学習をする人は、最初にこれをやるべきです。学生時代にこれがあったら、世界が変わっていたと思います。

ChatGPTを利用して英会話の学習をする「speak」

もう一つ、AIを利用している英会話学習用のアプリ「speak」をご紹介します。このアプリは、ChatGPTを利用しているので、まるで人間と会話をしているような感覚で英会話の練習をすることが出来ます。さらに、会話が終わった後にはAIが学習者の発言内容を添削してくれます。私も最近利用を始めたばかりなのですが、オンライン英会話の代わりとして使えるレベルだと感じています(特に英検1級等の試験目的で使う場合)。

もちろん、生身の人間と話す場合と全く同じ経験をすることは出来ません。人間を相手にする場合と、AIを相手にする場合で、それぞれにメリット・デメリットがあります。ただ、私はAIを相手にした場合のメリットが、かなり魅力的だと感じています。利用料金が安い点と、人間を相手にしない気楽さ、そして、発言内容を細かく添削をしてくれる点に置いて、この「speak」というアプリはかなり優れていると感じています。

発音学習の「elsa speak」と英会話学習の「speak」は、無料で試すことが出来るので、是非一度経験をしてみる事をお勧めします。

文法の運用能力を高める「英語のハノン」

こちらはAIやアプリでは無くて、学習用の書籍です。

この本を短く説明すると、

この本はパターンプラクティスの本です。音源の指示に従って、英文の部分を「少しづつ変更」して文章を構築しつつ、発声練習を繰り返します。この「少しづつ変更」というのが重要なところで、それぞれの文法事項に特化した「少しづつ変更」が、毎回要求されます。

扱う文法事項は多岐にわたっています。文型や疑問詞、完了形、不定詞、分詞など、中学校で学ぶような英文法の基礎を、この本で練習することができます。ただ文章を繰り返すだけの練習ならば、瞬間英作文と同じと思うかもしれません。

瞬間英作文と大きく違うのは、音声の指示にしたがって、学習者が自力で、しかも瞬時に文章の「少しづつ変更」をやらなければいけない所にあります。決まった文章を繰り返す瞬間英作文より、かなり頭を働かせる必要がある、というわけです。結果として、正しい文法を駆使して、英文を組み立てる力が身に付くようになっています。

と言う感じです。私は現在、1年以上継続してこのシリーズで勉強をしています。正しい文法を駆使してアウトプットをする事は、かなり難しい事だと思います。ですが、相手に正確に意味を伝えるためには避けて通ることは出来ません。

この「英語のハノン」を使えば、文法の運用能力を高めることが出来ます。また、いったん学習を習慣化出来れば、この繰り返しの練習が楽しく感じるようになるはずです。「英語のハノン」で練習を続けているおかげで、上記の「speak」で英会話をする時にも、やや複雑な文法を、それほど意識せずに使えるようになってきました。

詳しい内容と私の学習過程に関して、以下にレビューがあります。

英検1級で求められる英作文は、そこまでレベルは高くない

英検1級の英作文に関して、以前に記事を書いたのでそちらも参照して頂ければと思います。私は英作文が得意では無いのですが、対策を練って挑んだ結果「30点/32点」を取ることが出来ました。

学習のポイントを要約すると、

文章の型を覚える

お題に対して、文章の型を当てはめる練習をする

当てはめた文章をAIに添削してもらって、表現の幅を広げていく

と言う感じになります。英作文をほとんど書いたことが無い場合、初めは結構苦労をすると思います。ただ、いちど型を覚えてしまえば、あとは単語や決まった表現を当てはめる事で、それなりの文章を書けるようになります。書いた文章を毎回AIに添削をしてもらう事で、問題点や修正点を見つけて、徐々に文章の質を高めて行く事が出来ます。

私が良く使うのは「ProWritingAid」(無料)というサイトなのですが、冠詞抜けなどの文法ミスを細かくチェックしてもらえます。「Deepl」は翻訳サイトですが、「この日本語を英語でどう書いたらよいだろう」と思ったときに、サッと調べられるので便利です。姉妹サイト「DeeplWrite」の方では、言い換えの候補を探す時に便利です。自分が良く使う表現を、少しづつストックして行くと表現の幅が広がります。

上記以外にも無料のサービスがたくさんあるので、お好みで組み合わせて使うのが良いと思います。たくさん練習をすれば、じわじわと確実に上達していきます。

アウトプット専用のインプットが別途必要になる

「スピーキング」と「ライティング」ともに、ゼロから文章を生み出さなければなりません。そのためには、頭の中に文章や表現のストックを蓄える必要があります。リーディングとリスニングの時には簡単に理解できる表現でも、それを自分の頭からアウトプットしようとすると、そう簡単には出てきません。

ということで、アウトプットの為のインプットが必要になります。英単語の暗記は既にやっていると思いますが、そのスペルを間違わないで書く必要があります。また、よく使う表現は何度も書いたり口に出したりして、いつでも頭から取り出せる状態に出来ると理想的です。

この作業は簡単ではありませんが、実は難易度的にはそこまで高くありません。アウトプットで使う単語や表現は、基本的もので十分です(中学~高校レベル)。TOEICの本試験のレベルと比べても、語彙や文法のレベルはそこまで高くありません。ですので、簡単な物をいかにうまく組み合わせて、自分の言いたい事を表現できるか、その練習が大切という事になります。

文法の運用能力に関しては、先ほどの「英語のハノン」でかなり鍛える事ができるのでおススメです。あとは「暗唱+タイピング」を私は重点的にやっていて、これはまさにアウトプットのためのインプットです。その際、ワープロソフトを使うと、スペルミスを指摘してくれるので便利です。また、気になった表現をこの暗記リストに組み込むと、今後のアウトプットで使える可能性が高まります。

上記の記事でも詳しく書いてありますが、「暗唱+タイピング」をやっていると、文法の穴を見つけることも出来ます。例えば、ドラゴンイングリッシュの文章を例に挙げると、

People who do not feel guilty about occupying two seats on a crowded train really make me angry.

私はこの「about」をなぜか何度も抜かしてしまうので、間違えやすい部分だという事が身に沁みています。また、乗り物が電車の場合、前置詞がonになるのか、inになるのかをこの文章のおかげで脳に焼き付ける事が出来ました(大きな箱ものはon)。

I was very happy when I saw my mother going to work wearing the earrings I had bought her.

この文章では何度も「the」を抜かしてしまったのですが、おかげで定冠詞への意識が高まりました(特別にプレゼントをしたイヤリングだから定冠詞のtheが付く)。また、I bought her the earringsがSVOOである、ということを復習するきっかけにもなりました。基本的な文法でも、アウトプットしてみるとなんとなく確信を持てない時があります。そこでしっかり調べると、基礎を固める事が出来ます。

上記のような経験を繰り返すことが、文法の基礎固めや、ミスを無くすことに繋がります。アウトプットをしてみて、初めて気が付く事が結構あるのでかなり勉強になります。

基礎的な文法を使いこなすことが出来れば、恐らく英検1級のアウトプットで困る事はほとんど無くなると思います。英語に詳しくない方から見れば、かなり流暢にライティング・スピーキングが出来ているように見えるはずです。

と言う感じで、難易度自体は高くないので恐れる必要はありません。要は、既に知っている事の運用能力を高めて、ミスを無くす訓練をたくさんすれば良いだけです。今まで勉強してきた英語の知識を、実践的に使う能力を高める事が出来ます。

AIが、アウトプットの学習方法を劇的に改善した

冒頭でも述べましたが、以前は「発音及びスピーキング」と「英作文」の勉強方法に関して、独学者にとってはなかなか良い物がありませんでした。ですが、AIのおかげでその部分が劇的に改善していますし、今後もかなり発展が見込めそうです。

つまり、独学で英語を勉強する場合でも、特に困る事は無くなったわけです。例えば英検1級を受験する場合でも、もうアウトプットの部分で不安を感じる必要はありません。是非AIやアプリを活用して挑戦をしてみて下さい。かなり効率よく学習が出来るはずです。

恐らくですが、英語学習を取り巻く環境も今後劇的に変わっていくと思います。例えば、TOEICが4技能セットの試験になるかもしれません。小・中学校の英語学習で、先生の不足が問題視されていますが、AIを上手く活用すればなんとかなると思います(独学で英語をマスターする生徒も増えるはず)

私もこの進歩を楽しみつつ、有効活用して英語学習をして行ければと思っています。