二か月使用レビュー:英会話アプリ「speak」の「発言内容を修正してくれる機能」がかなり良い

アプリの良い点と改良して欲しい点がハッキリとしてきた

ChatGPTを利用している英会話アプリ「speak」を始めてから約2か月が経過しました。おおまかな使い方や料金等については、以下に詳しく書いてあります。

一か月経過した時点でのレビューはこちら。

上記では、英検1級の2次試験対策として、オンライン英会話の代わりとして十分使えそうだ、と感じた理由について詳しく書いています。それを短くまとめると、

英検1級の試験で話す内容は、話題の範囲が決められている。よって、勉強する分野を絞ることが出来るし、事前の準備もしやすい。難易度的にもそこまで厳しい物では無いので、複雑な会話は要求されない。

上記の目的ならば、この「speak」で十分対策が出来る。オンライン英会話で得られる経験とそこまで大きな差は無い。もちろん、生身の人間とする会話とは違うし、AI特有の欠点もある。

しかし「料金が安い事」と「先生に気を遣わないで済む」という事は、デメリットを補って余りあるメリットである。

と言う感じです。

このアプリには、文法や発音を学ぶコンテンツも含まれていますが、それらはちょっとしたオマケという感じです。「AIの先生と会話をする」機能がメインのコンテンツであり、お金を払って利用する価値のある部分だと思います。

前回以降、「speak」のアプリに何度かアップデートが入って、多少使いやすくなっています。「AIの先生と会話をするモード」の中の「自分のシナリオを作成(モード)」が、より使いやすいようにアップデートで微調整されました

ただ、それ以外には大きな変更点は無かったようです。ですので、私がアプリに感じる良い点・悪い点は、前回からあまり変わっていません。ただ、2か月使ったことによって、このアプリの良い点と、改良して欲しい点がよりハッキリとしてきました。

「speak」の良い点:AIが発言内容を修正してくれるので復習しやすい

AIと本格的な英会話が出来る事が「speak」の最大の魅力です。ただ、ChatGPTを自分でカスタマイズすれば、同様の事を無料で実現する事が可能です。また、ChatGPTを利用した英会話アプリは他に「Hachi」という物があります。こちらはLineのシステムを利用していて、月額550円という格安の料金で使うことが出来ます(しかも無制限)。

一方で「speak」は月額料金がやや高めなのですが、それでも使う価値があると私は感じています。その最大の理由は、AIが学習者の発言を添削してくれる機能にあります。この機能のおかげで、会話の後に改善点などを見つけやすいです

具体的に言うと、学習者はAIと会話をした後に「自分の発言を文字起こしした物」を参照する事ができます。ここまではChatGPT単体や「Hachi」でも会話の履歴が残るので同じことが出来ます。ただ「speak」は、学習者の発言に対して「AIが修正した文章」を提案してくれます。これを使って復習すると、学習の効率がかなり上がるはずです

実際の画面だとこんな感じです(上:私の発言 下:修正された文章)。

今回の会話のテーマは「すべての原子力発電所を停止すべきかどうか」で、私の役割が「生徒」、AIが「先生」で設定してあります。会話は一問一答で進んで、だいたい10分ぐらいで終わりました。その後に、全体の会話に対してチェックが入って、AI講師にフィードバックを貰えます。

上記の画像は、AIに私が、

原子力発電所から他の発電へ移行する過程で、どんな問題があると思いますか?

と質問されたので、その答えとして私が、

現在、日本の政府はいくつかの原子力発電所を廃止しようとしているが、科学者の中には原子力発電システムを廃止するには長い時間がかかると言う人もいる。だから、時間がかかるし、費用対効果も悪い。
たとえこのプロセスが非常に困難なものであったとしても、私たちはそれをやらなければならないのです。

と答えた物です(あまり良い答えではないですが)。その中で「long time」に冠詞が付いていなかった点と、「廃炉・廃止」は「abandon」では無くて「decommission」という単語を使いましょう、という指摘を受けています。

冠詞については普通に気を付けるとして、「decommission」は使ったことの無い単語でした。「廃炉」というワードは英検1級の2次試験で使えたら良さそうなので、暗唱のリストに入れて練習する事にしました。

上記のように、AIからの指摘を受けて、注意点や今後使いたい表現などをチェックする事ができます。これがオンライン英会話だと、先生がここまで詳しくチェックしてくれることは、まずありません。会話を録音してくれるサービスがあるところもありますが、それを自分でチェックするのかなり手間がかかります。ということで、オンライン英会話をやっていた時は、私は復習がおろそかになりがちでした。

一方で「speak」では、自分の発言と修正された文章が既に文字起こしされています。よってチェックがし易いですし、復習や暗唱のリストに入れる作業も非常に楽です。おかげで、学習の効率がかなり上がっている印象があります。これはこのアプリの非常に良い点だと感じています。

「speak」の改良して欲しいと思う点

一方で、このアプリには長い間改善されていない問題点もあります。

特に「先生の一回分の返答が長すぎる」という問題を早く解消して欲しいと思っています。例として、先ほどの「原子力発電所」の会話の続きをご覧ください(画面下の文章がAIの発言)。

私の発言が50単語ぐらいだったのに対して、AI先生が70単語ぐらいで返してきています。内容は、

このような困難があるにもかかわらず、代替エネルギー源を追求しようとする皆さんの姿勢に感謝します。
脱原発への移行には、慎重な計画、投資、公的支援が必要です。
この移行期間中に発生する可能性のある経済的影響と雇用の喪失を考慮することが重要です。
現在原子力発電所に依存している労働者や地域社会にとって、円滑で公正な移行を確実にするにはどうすればよいと思いますか?

という感じなのですが、ちょっと文章が長すぎると感じます。AI先生が生徒を褒めてくれるのは好印象ですが、冒頭の感謝の文章はいらないと思います。あと、一回の発言の中に情報を詰め込み過ぎています。一問一答でやり取りをしているので、もう少し短めの発言に留めて欲しいです。

また、こちらの発言がかなり短かった場合でも、AI先生は毎回これぐらいの文章量で答えを返してくることが多いです。ですので「もうちょっと会話のバランスを考えてくれよ」と思うことが多いです。先生の発言内容は盛りだくさんで勉強にはなりますが、話のテンポも大切にして欲しいです。

改善して欲しい点についてもう少し詳しく書くと、

AI先生の一回分の返答と、全体の会話が長すぎると感じることが多い。現状、この部分はアプリにおまかせ状態で、学習者が調整する事は出来ない。ここを多少調整出来るようにして欲しい。

例えば、学習者が先生の返答を「長い」「普通」「短め」の3段階から選べると良い。もしくは「30単語以下」などと設定できると良い。同様に、会話全体の長さも段階的に選べたり、単語数で指定できると良い。

特にこのアプリは、AI先生が発した単語数によって課金されるシステムになっています。ですので、AI先生に好き放題話されてしまうと、損をしたと感じる時があります。特に、こちらがちょっとしか発言していないのに、かなりの長さで返答が来た場合、意図的に単語数を消費しているのではないか、と疑ってしまいます。

この「AIの返答が長すぎる問題」は、ChatGPTが生まれたときから指摘されている事だと思います。ここはアプリ側で、上手く調整をして欲しいところです。

それ以外で気になった点としては、

会話中は先生の発言を翻訳する機能があるのだが、何故か会話が終わった後の復習モードでは、翻訳の機能が使えなくなる。文章のコピペも出来ないので、他の翻訳サービスで参照する事も出来ない。特に初中級者の方が復習をする時、この部分を不便に感じると思う。

と言う感じで、改善点はまだたくさんある印象です。今後のアプリのアップデートに期待をしたいと思います。

このアプリで会話を続けていれば、恐らくかなり上達が見込める

以前私がオンライン英会話を始めた時、ある程度スムーズに会話が続くようになったと感じるまでに、結構時間がかかりました。最初の3か月ぐらいは本当にたどたどしい感じで、言いたい事が全く口から出ませんでした。その状態で生身の先生に対する事は結構辛くて、モチベーションの維持が大変でした。

当時、TOEICでは980点を取っていたのですが、スピーキングの能力はまた別の領域にあることがよく分かりました。と言っても、TOEICの勉強がスピーキングの上達に対して、無駄になるわけではありません。英語の基礎が出来ている方ならば、時間をかけてスピーキングの練習をすれば、徐々に口が回ってきます。基礎に加えて、英語全体の知識があればあるほど、その後の成長の可能性も大きくなるはずです。

つまりこれは慣れの問題なので、毎日の練習が大切になります。地道に練習をすれば、英語の基礎が出来ている方ならば、短期間で大きな英会話力の向上が見込めるはずです。ただ、最初の一歩を踏み出すのが億劫だと思いますし、私もそうでした。当時英検1級を目指していなかったら、オンライン英会話も続かなかったと思います。

ですが、この「speak」というアプリが、英会話のハードルを下げてくれたと思います。毎日ちょっとずつ、気楽に練習を続けることが出来ます。口が回ってくるまでは少し時間がかかるとは思いますが、継続していればだんだんと、セリフのストックが頭の中にたまっていくはずです。

実際に、このアプリを使い始めてから2か月が経過して、徐々に言いたいことが口から出るようになってきました。これは、オンライン英会話をやっていた時に感じた上達の過程とかなり似ています。アプリでの練習は、オンライン英会話と比べてメリットも多いので、多くの方におススメ出来ます。

このアプリを継続して行けば、かなりの学習効果が得られるはずだと思っています。今後も定期的に経過レビューを書く予定です。