「英語学習」の上達過程を「剣道」の上達過程に例えて説明してみる

無理筋なのは重々わかっておりますが、やってみたかった

分かっています。この記事はほとんど誰の需要も満たさないことはよく分かっています。ただ、例えば英語の学習をこれから始めようと考えている人にとって、学習の長期的なロードマップがどうなっているのか、そのイメージはなかなか掴みにくいと思います。その場合、他のジャンルで例えて説明してみたら面白いのではないかということを、私は結構長い間考えていました。ですので、せっかくブログを立ち上げているので、書いてみたいと思ったのです。

ところで、英語の学習過程をスポーツの上達過程で説明をするならば、せめてメジャーなスポーツ、野球やサッカー、バスケやバレーボール等で例えた方が良いでしょう。経験者の母数が違うので、いくらか有益な記事になるかもしれない。実際、私は短期間ながらバスケの経験もあるので、例えばスラムダンクのエピソードなども引用しつつ、英語学習の上達過程を説明したら面白いと思います。

しかしあえて剣道にしたのは、私が小学校から大学に至るまで、剣道で10年以上の経験があるからです。英語学習を剣道の上達過程に例えるならば、恐らく、私は非常に詳細な説明が出来るはずです。剣道経験者にしか分からないような情報を使って、細かいニュアンスを伝えられるかもしれません。もちろんそれでは、剣道の経験者以外には何も伝わりません。ただ、例えば私たちは、コンテンツが全く知らないジャンルの物だったとしても、ある種のドキュメンタリーのようにして、細かい情報を日々楽しんでいます。

例えば、野球経験がまったくないのに、投手のピッチングの癖や、バッターの打撃フォームについて、細かく知っている人がいますよね。そのジャンルの経験が無いとしても、マニアックな情報というものは、結構人を楽しませるものです。YOUTUBEでも、非常にニッチなジャンルで、大量の登録者を得ているチャンネルがあります。下水の掃除とか、金属を溶かすとか、いろいろあります。

前置きが長くなりましたが(本当に長い)、とりあえず試みとして、私が比較的詳しいジャンルを使って、英語の上達過程を説明してみたいと思います。

基礎の習得にやたらと時間がかかるので、初心者が挫折しやすい

これは剣道に限った話では無いと思います。スラムダンクの桜木花道が、バスケ部に入ったのはいいものの、延々と基礎練習をやらされて、ふてくされていたシーンを覚えている人も多いでしょう。また、音楽の分野でも、楽器の演奏が出来るようになるまで非常に時間がかかるものです。

あらゆるジャンルに於いて、基礎が重要なのは誰もが知っていることです。ただ、それが非常に退屈なものであることが、見過ごされているケースが多いです。だからこそ、ここが初心者にとって大きなハードルになるのです。英語学習においても、基礎の習得が一番大きな挫折ポイントかもしれません。ですので、これから始める方は、基礎が面倒くさいということを想定して置いた方がいいと思います。ここを頑張って乗り越えると、ちょっと自信がつくはずです。

基礎が大切なのは剣道も同じなのですが、ただ恐らく、他のスポーツに比べて、初心者に対するハードルが非常に高いです。基礎を身につけるのに、かなりの時間が割かれます。何故かというと、伝統的に礼儀作法が厳しく、細かい決まりがたくさんあります。靴の脱ぎ方から教わる場合もあります。そして、お辞儀の仕方、道具の並べ方などを習います。さらにはスポーツウェアとしての道着があり、これは和服がベースなので、特に子供たちはこの道着を身につける方法を、苦労して覚えることになります(つまり着付け)。

しかも道具の値段がやたらと高い(一式で最低4万円ぐらいは必要)

ココらへんを英語学習に例えると、中学英語の文法と単語、という感じがします。まずはここを身に着けないと、何も始まらないわけです。道着の着方が分からなければ、道場に入れてもらうこともできません。さらに剣道の場合、プロテクターとしての防具があるのですが、初心者にはまだそれを身につけるのは早すぎます。防具は高校英語の文法と単語に相当するので、まずは中学英語をしっかりと覚えてください。先に防具の付け方を覚えても、道着が着られないのでは意味がありません。

その後、ようやく初心者が竹刀を握らせてもらえます。竹刀とは文字通り、竹でできた剣です。しかし、それを振り回す前に、まずは構えの練習をしましょう。剣の構えは、すべての動作の起点となっています。きれいな形で出来るようになるまで、先生に見てもらいながら習得しましょう。さらには足の運び方です。剣道は結構、特殊な足の運び方をして移動をします。間合いや位置取りが大事なスポーツなので、これも非常に大切な基礎です。

恐らく剣の構えと振り方、足の運びは、英語学習でいうと発音学習に該当します。発音学習はノンネイティブである私達にとって、非常に長い道のりです。また、剣道の世界でも、構え、素振りの練習は上級者になってもずっと続けることになります。ここを疎かにしたせいで、変な癖がついたまま、中級、上級へ進んでしまう人もいます。そうすると、様々な弊害に苦しめられることになります。

私もまさにその1人で、握力が極端に無かったため、独特な剣の振り方をするようになってしまいました。結果として、試合で技が決まったように見えるにも関わらず、審判が有効打として認めてくれない、というケースも起こりました。つまり、発音が悪すぎるので、ネイティブ(審判)の立場からすると何を言っているのか分からない、という状態です。優しい審判(ネイティブ)ならば、多少大目に見てくれる時もあります。ただ、発音は綺麗なことに越したことはありません

ただ、初心者にとって、綺麗な構えを身につけるのは至難の業です。独学はほぼ無理、といってもいいでしょう。それは発音も同じかもしれません。ですので、独学者の方はあまりこだわり過ぎて、学習へのモチベーションを失ってしまわないように気をつけてください。

まともに試合(英会話)が出来るようになるまで時間がかかる

とある県大会の決勝、小学生の試合を御覧ください(適当に拾わせて頂いた動画ですが)。

かなりレベルの高い試合です。恐らくどの選手も、少なくとも3、4年以上の経験があると思います。そういう動きです。私の印象では、どんなに運動神経が優れていても、初心者がまともに試合が出来るまで、少なくとも1年は時間がかかります。通常は2年ぐらいの練習が必要でしょう。なかなかの敷居の高さです(個人差はあります)。

剣道は道具を使う上に、対戦相手がいます。さらに、審判による判定のスポーツなので、試合がかなり複雑です。初心者が一瞬で上級者に負ける、ということも頻繁に起こります。ですので、初心者は始めのうちは全く楽しくないと思います。かなりストレスが溜まるはずです。

剣道の試合は、英語における英会話に該当します。初心者のうちにいきなり英会話を始めようとすると、何も言うことができなくて、やはり非常にストレスが溜まるはずです。経験者(ネイティブや上級者)に滅多打ちにされることもあるかもしれません。ですので、まずは基礎を身につける必要があるのですが、それには剣道と同様に非常に時間がかかります。その結果、基礎を身につける段階で辞めてしまう人が多いのです。

「初心者の方でも、オンライン英会話で勉強できます」というような触れ込みを見かけることがあります。しかし、英語で文法や単語を学ぶのは非常に負荷が高いですし、回り道になります。それよりも座学で、地道に文法と単語を習得したほうが効率が良いはずです。

初心者レベルを抜け出すと、だいぶ楽になる

大学受験レベルの英文法と単語を身につけると、やれる事が急に増えると思います。多読も出来るし、TOEICでも点数が取れるようになってくるでしょう。ここまで来てようやく、英語学習が楽しい、と感じることが増えてくるはずです。

剣道も同じで、基礎をしっかりと身につけると、ようやく自分の思うように動くことが出来るようになります。試合形式の練習をして、勝利を収めることも増えてきます。構えや竹刀の振り方を先生に褒めてもらえたりして、モチベーションも上がります

ですので、これから英語学習を始める方は、最初の2年くらいは辛抱の時間だと思ってください。モチベーションはなかなか上がりません。しかし、この先、長い英語学習の中で、恐らく一番ツラいのが最初の基礎を身につける段階です。

英語を始めようと思った時に、まずは頭に理想があるはずです。外国の人と楽しくおしゃべりがしたいとか、英語の小説がスラスラ読みたい、等々。剣道だったら、試合で勝ちたい、美しく技を決めたいとか、ありますよね? そのようなワクワクした気持ちで練習を始める人が多いはずです。それは当然のことですし、その想いは今後、モチベーションを維持する上で大切な物です。

ですが、いきなり最初に理想とのギャップが現れますので、気をつけてください。これは脅しではありません。ギャップに対する気持ちの準備ができていれば、そして、長期的な展望があったほうが、英語も剣道も、練習が長続きすると思います。理想が現実化するには時間がかかるのです。

中級者以上にはたくさんの選択肢がある

ある程度英語が話せるようになったり、読み書きできるようになれば、あとは自由にその先の道を決めることができます。旅行先で英語を使って、現地の人とコミュニケーションを取ることも楽にできるはずです。ビジネス目的だったら、社内で英語の出来る人として、活躍できるかもしれません。また、TOEICの高得点を目指したり、英検1級を目指すのも良いでしょう。こうなると、モチベーションのコントロールは比較的楽になります。

剣道だったら、県大会、果ては全国大会を目指す人もいるでしょう。大会に興味が無くても、ある程度の実力があれば、子供たちに教える事もできます。そうやって、地域に貢献しているお年寄りが、私の地元にもたくさんいらっしゃいます。生涯出来るスポーツとして、剣道は結構有名なんですよね。お年寄りでも、メチャクチャ強い人が結構います。礼儀作法が大事な世界なので、いわゆる「老害」のような存在は、剣道の世界では見かけることは有りませんでした。先生方に人格者が多かったです(個人の感想)。

上級者の世界は私もあまり知りませんが、ヤバそうです

予想通り、あまりまとまった感じにはなりませんでした。でも、基礎の大切さと、それに伴う挫折の危険性について、お伝えできたのではないでしょうか。剣道の世界でも、せっかくチャレンジしたのに辞めてしまう人が多くて、私はいつも残念に思っていました。英語も、その部分が結構似ている気がします。繰り返しますが、共通点は最初のハードルの高さ、だと思います。そこだけ乗り越えると、楽しい部分も見えてくる……かも? という感じです。

最後に、剣道の上級者(ネイティブレベル)の世界を見てみましょう。高校生の試合ですけど……。

ここまで出来るようになると、相当気持ちが良いはずです。練習は大変だとは思いますが、私もこのレベルを目指して、日々の英語学習を頑張りたいと思います。