英語力ゼロからTOEIC600点を目指す為のロードマップ(その1:心の準備編)

今回のシリーズは、以前に書いた「友人がゼロからTOEIC900点を目指すシリーズ」と内容が結構重複しています主な変更点は、目標をTOEIC600点に設定して、一日の勉強時間を1時間に短縮している部分です。よりゆるやかに学習を進めたい方の、参考になればと思います。

ゼロから英語学習を始める友人の奥様の基礎情報

以前、高校時代の友人のために、英語力ゼロからTOEIC900点を目指すプランを考えました。

そして最近、こちらも高校時代からの友人O(45歳)の奥様(30代)より「将来子供に多少教える事が出来るくらいに、英語力をつけたい(現在英語力ゼロ)」という相談を受けました。そこで今回も、私の今までの経験を総動員して、一番効率が良くまたモチベーションが維持しやすい形で、その目標を実現する方法を考えました。今回はその内容のうち、友人Oの奥様の基礎情報や学習前の準備についてご紹介したいと思います。

まずは友人Oの奥様のステータス情報です。

年齢:30代

仕事:息子が保育園に通うようになり、最近パートを始めた。家計を助けるためにパートのシフトは結構多めに入れていて、勤務時間も長め。さらに家事と子供の世話があるので、勉強に充てられる時間は一日1時間ぐらいかも、との事。

家族:夫(友人O)と現在3歳の息子一人。夫はフルタイムで働いているが、残業はほとんど無し。有休も割と気軽に取れる職場。よって、子育てと家事をしっかりと分担してくれている。また、英語学習も応援してくれている

英語学習を始めようとしたきっかけ:息子には将来、選択肢を増やすために、留学を視野に入れて進路を考えて欲しいと思っている。そのために、英語学習は大事になるはず。親である自分が英語を勉強していれば、いろんな意味でその助けになると思う。

息子が生まれてから、自分の時間がほとんど取れていなかったが、これをきっかけに英語を自分の趣味に出来れば嬉しい。TOEICはあまり詳しくないけど、500点ぐらいは取れるようになりたい。

と言うことでした。奥様がおっしゃるように、夫の友人Oは、仕事よりも家族との時間を大切にしています。ご夫婦で家事と子育てを上手に分担していて、素晴らしいです。二人ともお子さんに対して愛情たっぷりで、だからこそ、今からいろいろ準備したいと考えているようです。ちなみに、友人Oは芸術系の人でこちらも英語力はほぼゼロ。奥様と一緒に、自分も英語をはじめようかな、とは言っていました。

奥様の性格:基本的におおらかで楽観的だが、締めるところはしっかりと締めるタイプ。思い付きで行動したり飽きっぽい面もあるが、一度のめり込んだら、それをずっとやり続ける事も多い。子供が生まれる前は、ヘビーゲーマーだった(主にRPGが好き。フォールアウトやウィッチャー3をやり込んだ)。

これはかなり個人的な意見ですが、やりこみ系のゲーマーは、学習を習慣化出来る下地があります。なぜかというと、ゲームをやりこもうとすると、面白いだけでは済まなくなります。苦労をして練習や経験を積んで、その結果、達成感を得る事が出来るわけです。奥様がそのような経験をゲームでしているならば、英語学習での「勉強したくない気持ち」と、上手く付き合えるかもしれません。

最後に、奥様の現在の英語力について

高校時代、英語の授業にあまり興味を持てなかった。成績はギリギリ赤点を免れるくらい。高校卒業後、専門学校に入ったのちに就職したが、今まで英語を使うことは無し。単語もほとんど覚えていない。文法が怖い

ということでした。30代以降で英語を再び始める場合は、みんな似たようなスタートラインになると思います。大学受験で英語をかなり真面目に勉強していた方以外は、本当にゼロから始める意識でやった方が良いと思います(私もほぼ同じ状態からスタートしました)。

30代の奥様が英語力をつけるためにもっとも重要なこと

学習の目的が、前回(TOEIC900点)とは全く違うことを考慮する

前回はTOEIC900点を目指すプランだったので、一日の学習時間を最低2時間として考えました。2時間以下だと目標の達成がかなり遠くなり、モチベーションの維持も難しくなってしまいます。

ただ今回は「子供に英語を教える事が出来る」というのが第一の目標で、さらに「英語学習を趣味にする」というのが二つ目の目標です。よって、

毎日の学習を継続するために、ストレスを貯めにくい学習計画を立てる

将来お子さんに教えるために、基礎の学習をしっかりとやる(TOEICの点数が目的ではない)

この2点を、優先して考える必要があると思いました。

ただし、学習のモチベーションを維持するためには、分かりやすい目標があった方が良いです。ですので、今回はTOEIC600点を当面の目標にする事に決めました。ご本人は「TOEICで500点ぐらい取れたらいいな」とおっしゃっていたのですが、もうひと踏ん張りして、600点を取れば、ちょうど基礎の学習が終わるくらいのレベル(高校卒業レベル)に達すると思います。

また、TOEICで600点を取った段階で、英検2級の取得も視野に入れるとよいかもしれない、と私は思いました。英検2級には、スピーキングとライティングのテストがあるので、バランスよく総合力を上げる事が出来ます。私も英検1級の受験勉強をしていて気が付いたのですが、4技能をバランス良く勉強すると、他の分野への相乗効果を感じる事ができます。

最近は、英検2級以上を取得していると、学生が入学試験で加点をもらえたりするケースも増えてきました。将来、お子さんが英検の取得を目指す時に、確実に助けになるはずです。

毎日、最低1時間の勉強時間を確保して欲しい(+隙間時間でリスニング)

学習の目標値は前回(TOEIC900点)と違うのですが、共通している重要なポイントがあります。それは、

継続した学習と、それを可能にするためのモチベーションの維持

です。方法論や参考書の選び方よりも、「毎日勉強できるかどうか」の方が圧倒的に重要です。逆に言うと、勉強を続けることさえできれば、誰でも必ず英語力は向上します。しかし同時に、これがもっとも達成が難しいことで、多くの人が挫折してしまいます

モチベーション維持に関しては、私も非常に興味のあるところなので、たびたび関連する記事を書いています。学習初期が最も挫折しやすい、というのが私の持論です。そこをクリアできれば、その後は楽になる一方なので、最初の3か月をなんとか頑張って欲しいです。

TOEIC600点をゼロから目指す場合の、一日の学習時間とは

私自身の経験と、ネット上の情報を加味して考えると、英語力ゼロからTOEIC600点を取れるようになるには、少なくとも1000時間ぐらいの勉強時間が必要になると思います。

ネットの世界を見渡すと、もっと短い期間で、600点をクリアしている方をたくさん見かけます。ただし、それぞれの方の、学習前の英語力がどれくらいだったのかは、ほとんど知る事ができません。恐らくですが、短期間で目標を達成している方の多くは、学習前の基礎学力がそれなりにあったのだと思います(もしくは天才)。

20代の方ならば、学生時代の学力が多少は残っているでしょう。ただ、30代以降の方で、高校や大学を卒業してから英語にほとんど触れていなかった場合、英語力はほとんど残っていないはずです。ですので、学生時代にめちゃくちゃ英語が得意だった方以外は、本当にゼロから勉強を始める、という意識でいた方が良いと思います。

今回は基礎をしっかりやる必要もあるので、点数の取得に対して、スピードを求めない方が良いと思っています。よって、TOEIC600点を達成するのに1000時間以上かかることも、十分あり得ると考えています。そもそも大事なのはスピードでは無く、毎日の学習を継続できるか、です。

以上を踏まえて、一日の勉強時間を考えてみます。

英語力ゼロから学習を開始して、1000時間でTOEIC600点目指す場合

一日30分の学習 1000時間 約6年

一日1時間の学習 1000時間 約3年

一日2時間の学習 1000時間 約1年半

というイメージになります(あまり厳密な計算では無いですが)。

毎日1時間以上の勉強を継続して、3年以内に600点を取ることを目標にします。ただし、TOEICの点数は直接の目標では無く、お子さんに教える事が一番の目標です。そのため、多少遠回りに見えたとしても、基礎の学習をしっかりとやるべきだと考えています。基礎をしっかりやれば、長い目で見れば学習の効率が良くなります

特に文法は、表面的に理解しているだけでは、他の人に説明する事は出来ません。私もかなり文法で苦労していますが、人に教えるレベルというのは、かなり高度である事を実感しています。教えるレベルに達するという意味では、1000時間の学習ではカバーできないと思います。将来、お子さんと一緒に勉強をする、みたいな学習スタイルになると良いと思います。

英語学習は復習が大切で、じわじわと前に進むしかない

前回(900点を目指す)は、毎日2時間以上の勉強を推奨しました。というのも、一度覚えたことでも、我々の脳はどんどん忘れていきます。ですので、毎日復習をする必要があります。経験上、学習時間の3分の1以上は復習に充てないと、覚えたことが定着しにくいです(個人差はある)。というわけで、3歩進んで2歩下がる、と言う感じに学習は進みます。

ですので、一日の学習時間が短いと、ほとんど前に進むことが出来なくなります。というわけで、TOEIC900点を目指す前回のケースでは、毎日2時間の学習時間を最低ラインとして考えました

ただ今回は、前回以上に、モチベーションの維持を優先して考える必要があります。「勉強が苦しい」と感じてしまう要素を、なるべく減らしたいところです。友人の奥様は、一日1時間の勉強時間しか取れないかも、とおっしゃっているので、その範囲内で出来ることを考えました。

という事で、学習を開始する前に私が友人の奥様にオススメしたことをご紹介します。前回と重複している部分もありますが、学習効率よりも、負担を減らす方向性を強くしています。

毎日1時間以上、絶対に勉強をする(絶対)

休日に大量にやるのではなく、毎日1時間以上を厳守(勉強のペースを守る)

上記の勉強時間以外に、スキマ時間で出来るだけリスニングをやる(家事や移動の最中など)

一日はさぼってもOKだが、二日連続で全くやらない日は作らない

とにかく継続が命最初の3か月を継続できるかが、もっともキツイので頑張ってください

と言う感じです。とにかく継続できるかどうか、そこが重要です。これは基本的に、他人がコントロール出来ることではなく、本人が頑張るしかありません。モチベーションの維持の方法は、かなり個人の性格にもよると思います。ですので、それも自分で試行錯誤する必要があります。

環境を整えたら、あとは地道にこつこつとやるだけ(それが一番大変)

前回と同様、学習の継続に関しては、かなり力を入れて話をしました。しかし、実際に実現できるかどうかは難しいところです。家事と子育てをしつつ、パートで働いている訳ですから、確実に「勉強をやりたくない気持ち」と格闘する事になるはずです。

客観的に見て、挫折してしまう可能性は高いですが、今回は「お子さんのため」という要素があります。それがどれだけモチベーションにプラスに作用するかが、ポイントになるかもしれません。ご夫婦ともに、お子さんの教育に関して真剣なので、それが継続の力になると理想的です。

本人にそのように伝えたところ「もう、ちょっと辞めたくなってきたかも」と泣き笑いのような顔をされていました。ただ「絶対に英語はやったほうがいいよね……」とお子さんの顔を見ながら、おっしゃっていました。頑張って欲しいです。

ということで次回は、教材や勉強方法について書きたいと思います。勉強の道筋が見えていると、モチベーションにプラスに働くことが多いです。ですので、奥様のモチベーションの助けになるように、全力で工夫を凝らした学習プランを考えました。

私は英語学習に関して、かなり遠回りをしています。無駄なことをたくさんやって、ストレスを貯めてきました。だからこそ、効率的かつ、ストレスの少ない学習方法を提案できると思っています。ぜひご期待ください。