「TOEIC(R) TEST スコア激伸び模試3回分 新形式問題対応編」のダメ出しレビュー

あまりおススメではない模試をレビューする理由とは

初中級者は特に、模試のクオリティや難易度を判断するのが難しい

個人的にはこの本はあまりおススメできません。それならなぜ、レビューをする必要があるのか。詳しい理由は後で述べますが、「この本を買ってしまった初中級者の方」のフォローをしたい、というのが大きな理由です。

私は学習3年目ぐらいの頃からTOEICの模試をやっていて、それなりの数をこなしています。その中には、あまりクオリティが高くなかったり、TOEICの内容と中身がズレている模試もありました。初中級者がそのような模試をやって点数が取れなかった場合、自分の実力不足のせいだと思ってしまうケースが多いと思います。ですが、模試に問題がある場合、がっかりする必要はありません

模試をやった後に、「この本はあまり質が良くなさそうだが、本当のところはどうなんだろう」と思うことがあるはずです。ネットで検索をしても、レビューが少ない模試の場合は、初中級者が難易度を判断をすることは非常に難しいです。というわけで、マイナーかつ古い模試でも、ブログで詳細なレビューをする意味はあるだろう、と私は思っています。

ちなみにアマゾンのレビューは投稿者のレベルが分からないので、レビューの読み方・解釈にかなりの工夫が必要だと思います(客観性が無いレビューも多いので)。

繰り返し解く場合、良い模試を選ぶべき

初中級者の方にとって、模試を繰り返し解くことは非常に良い勉強になります。ただ、そのための模試は慎重に選ぶべきです。個人的な考えですが、模試のクオリティが低い場合は、点数が取れなくてもあまり気にする必要はありません。また、そういう模試を繰り返すのは、無駄とまでは言いませんが、学習の効率が悪くなるので避けるべきです。

結局、公式問題集を繰り返し解くのが一番良いと思います。それと、先日レビューした「TOEIC(R) L&Rテスト 究極の模試600問+」のように、解説が丁寧な公式以外の模試も、初中級者の方には向いていると思います。基本的には、良く売れている模試で、初中級者向けと記されているものならば、そうそう酷い物に当たることは無いハズです。

ただ、初心者の方にはあまりおススメできない模試も、実際に存在します。それが今回レビューする模試や、解説がかなり簡素な韓国系の模試などです。なぜそれがオススメできないのか、それについて今回は少し詳しく解説をしたいと思います。

スコア激伸び模試を細かくレビューする(ダメ出しする)

「本試験を完全再現!」と言っているが、かなり無理がある

TOEICの試験や模試をいくらか経験している学習者ならば、この模試が本番とかなり違うことはすぐにわかるハズです。それなのになぜ、「本試験を完全再現!」と本の帯に書いてあるのか。まあ、単純に本を売りたいからだと思います。

本試験の問題の質はかなり高いので、恐らく再現するにはかなりのコストがかかるハズです。簡単に出来ることではありません。この本はそれが出来なかったけれど、売り文句として「本試験を完全再現!」を使ってしまったのでしょう。それを信じてこの本を購入すると、ストレスが劇伸びすると思います。

具体的にどう本試験と違うのか。また、なぜこの模試がクオリティが低いと言えるのか。箇条書きにしたいと思います。

リスニングパートの問題点

発音に癖があり過ぎる人がいる(聞いてて笑っちゃうくらいの人もいる)

言葉の短縮が凄すぎて聞き取れないものがある(英文を見たあとでも難しいレベル)

解答に関連する部分の音声が、均等に配置されていない、もしくは順番が前後する(謎解きみたいになる)

リーディングパートの問題点

あいまいな選択肢が多い(間違いの選択肢に、正解の要素が含まれている)

言葉や表現の置き換えをやり過ぎている(解釈の余地が広くなって、正解が選びにくい)

全体に共通する問題点

ややマイナーな慣用表現を使っている(知らないと全く意味が分からない)

選択肢の文章が長すぎる(読んで理解するために時間がかかる)

問題の難易度を3段階で示しているが、説得力が無い(恐らくデータではなく著者の主観)

解説にかなりページが割かれているが、そもそも問題の質が悪いので得るものが少ない

これはあくまでも私の感想なのですが、上記の理由で、本番の試験とはかなりかけ離れた内容になっています。発音の癖やあいまいな選択肢などは、本番や公式の問題集でも全く無いわけではありません。しかし、この本のそれは、程度が酷いです。

参考までにこの模試の、私の得点をご紹介します。この本には3回分の模試が収録されています。

リスニングリーディング
test186/10094/100
test294/10093/100
test391/10098/100

そもそも、リスニングの点数がかなり低く出ている時点で、本番とかなり違うと感じました。test1のリスニングが特に、質が悪かったと思います。test2と3のリスニングはそこまで酷くはなかった。一方で、リーディングはまあまあ本番に近いと思いました(疑問に思う部分はあったけど)。

ちなみに、この模試の直前まで、私は韓国製の公式問題集(公式の過去問)をずっとやっていました。だからこそ、本番との違いをはっきりと感じました。それは得点にも表れています。他の模試や公式問題集の得点については、以下を参照いただければと思います。

上級者の高地トレーニングとしては、ギリギリありかもしれないが

上記の点数を見て頂くと分かると思うのですが、難易度だけで考えれば、本番や公式の問題集よりも難しいです。その時点で、「本試験を完全再現!」ではない事が分かります。初中級者の方には全くオススメできません

難易度が高いと言っても、上級者の方にもあまりおススメできません。なぜなら、内容がTOEICにそこまで準拠している感じも無いので、あえてこの本をTOEIC対策として選ぶ理由が無いからです。ただ、単純に上級者向けの英語の教材として考えるなら、使えないことはないです。実際、知らない表現だったり、癖のある発音を聞いて、総合的な勉強にはなったと思っています。

ちなみに、この模試はかなり分厚いのですが、それは解説にかなりのページが割かれているからです。ただ、問題の質があまり良くないので、間違えた問題の解説を読んでも、あまり納得がいきませんでした。あいまいな選択肢に対する、言い訳を聞かされているような気分になったものもあります。

マイナーな模試や問題集には、いい物もあるはずだが

結果は軽く受け止めて、さっさと次に進みましょう

経験上、今回のようなTOEICっぽいけど、全然TOEICではない模試に出会うことはそこそこあります。その場合、解いていてストレスが溜まるし、解き終わって解説を読んでいてもストレスが溜まります。初中級者の方は、このような模試でも、せっかく買ったのだから繰り返し勉強しようと思うかもしれません。しかし、全くおススメできません。時間がもったいないので、あくまでも質の良い物を繰り返すようにしてください。

私はただの学習者なので、一応専門家が作っているはずの模試に、そこまで文句をいう資格はありません。ただ、初中級者の方が理由も分からず、質の悪い模試でストレスを貯めるのは、すごくマイナスな事だと思います。それが原因で、英語学習のモチベーションが下がることも、大いにありえます。どうかお気を付けください

ちなみに今回の模試は、中古の本をオンラインで買ったときに、送料を無料にするために抱き合わせで買いました。個人的にはがっかりしたというよりも、新たな発見があったような感覚で、新鮮で面白かったです。今後もマイナーだったり、古い物にも挑戦して、レビューを書きたいと思います(質が悪いものも含めて)。

用途を見極めれば、良書になるものもある

ところで、アマゾンでレビューが少なかったり、悪い評価がついていても、良い本はあります。例えば現在、私はpart5を強化するために以下の本をやっています。

内容がかなりTOEICをはみ出しているので、悪い評価がついているのも納得が行きます。ただ、この本はかなりしっかりと作られていて、本当に990点満点を目指す場合、有益だと思います。なので、実際に中身を見てみないと、本当に使えるかどうかは分かりません。また、利用した学習者のレベルによって、書籍の評価も変わって当然だと思います。

マイナーで有益な本の詳細なレビューが、もっとネットで見つけやすくなれば良いのになー、と思っています。出来れば利用者のレベル別で、レビューが手に入ると理想的です。ですので、私もそういう本に出合った場合、積極的にご紹介したいと思っています。