旅先で英語が通じる感じを、思い出してみる
前回、東南アジア圏(タイなど、メコン川流域の国々)では英語はあまり使われていない、という話を書きました。また、グーグル翻訳アプリが非常に便利なので、ローカルの人と交流するのに役立ちました。今や、海外旅行のために英語を勉強する、というのはそれほど重要じゃないかも、という印象があります。ただ、もっと海外の人と深いコミュニケーションをとりたいのなら、英語が出来ると世界が変わるだろう、という論調で書きました。
基本的に私は貧乏旅行しかしていないので、海外旅行の行き先も限られております。物価が安い途上国の場合、教育があまり行き届いていないため、田舎や貧しい地域だと英単語レベルでも通じないことがあります。
ただ、インドへ行ったときだけは、庶民レベルで英語が通じたのをふと思い出しました。そのおかげで、旅の印象が結構違ったな、と今思えば感じます。ですので、今回はその時のことを書いてみたいと思います。
ちなみに、私はオンライン英会話で、日々フィリピン人の先生方と会話をしています。フィリピンも、庶民レベルで英語が通じる数少ないアジア圏の国です。フィリピンは多民族国家なために、タガログ語以外にも共通語がたくさんあります。そのため、国内の別の地域の人と会話をする場合、英語を使った方が便利であるそうです。
また、小学校から、ほとんどの科目が英語で教えられているのも大きな特徴です。結果として、アメリカや中東などへの出稼ぎも可能になっています。日本も今後、英語教育が重視され、また高齢化問題などで移民を受け入れるときに、フィリピンの教育スタイルが参考になりそうな気がします。
私はこのパンデミックが終わったら、ぜひフィリピンにも旅行したいと思っているので、そこで英語がどのように使えるか、ということも今回想定して考えてみたいと思います。
英語が通じると、移動が圧倒的に楽になる(特に田舎)
私がインドへ旅行したのは2009年なので、だいぶ昔になってしまいます。ただ、YOUTUBEで現在の町の状況とかを結構見ているのですが、雰囲気はあまり変わっていない印象です。悪い言い方をすると、特に貧しい地域の風景や、人々の暮らしが変化していない。スマホを中心としたデジタル機器が少し増えたかな、ぐらいの印象です。
途上国ではよくあることですが、インドも貧富の差が非常に激しいです。そのため、国が経済成長しても、庶民の暮らしはなかなかよくなりません。ですので、今インドへ旅行したとしても、13年前とたいして状況は変わっていないのでは、と思ったりします(特に貧乏旅行の場合)。
私は当時2か月かけて、インドを一周する感じで旅をしました。まずは東のコルカタから入国して、ヒンドゥー教の聖地である、バラナシ(川の沐浴が有名)、さらに仏教の聖地であるブッダガヤーへ行きました。
ここら辺の屋台でも、注文は英語でOKでした。物の個数とか、味付けとかも英語でお願いできます。一方で例えばタイだと、タイ語を使って注文しないと、首都のバンコクでもなかなか通じないときがあります。
あとは、インドでは電車やバスなどの交通機関も、英語で表記が統一されています。駅員の人もだいたい基本的な英語はしゃべれるので、こちらのつたない英語をがんばって聞き取ろうとしてくれました。ですので、時刻表なんて全くあてにならない世界なのですが、なんとか目的地に到着することが出来ました。
移動のためのコミュニケーションも、今思えば英語にかなり助けられました。他のアジアの国だと、全く違ったバスに乗ってお手上げ、みたいな経験もしたことがあります。目的地の名前を言っても発音が難しくてなかなか通じない。バス停の場所が分からないときに、現地の人にも質問のしようがない。指さし会話帳と地図を見せてなんとか頑張る、みたいな感じもよくあります。ですので、英語が通じると、旅行の移動は圧倒的に楽になります。
旅行者からお金を獲得することが、勉強のモチベーションになっている
これは他の国でも言えることだとは思いますが、観光地には英語が達者な人がたくさんいます。日本人の旅行者が多い場所では、日本語がしゃべれる人さえいる。そしてその目的は、往々にしてお金を儲けるためです。インドではその傾向が顕著でした。小さい子供たちでも、英語と日本語を混ぜて話しかけてきたりします。
これは決して悪いことではないと思います。恐らく、学校にまともに通うこともできない貧しい子供たちが、お金を儲けるというモチベーションで必死に勉強をしています。そういうガメツサは日本ではあまりいいことだとは思われていません。ですが、今後は日本でも、お金を儲けるという目的で、子供に英語を教えてもいいかもしれませんよね。今後は海外で働く方が、仕事環境も良い場合が多くなっていくでしょう。説得力が違います。
ブッダガヤーは仏教の聖地なのですが、インド人は仏教にはあまり興味がありません。ただ、世界中から観光客が訪れるので、やはり子供たちは語学の勉強に熱心なようでした。町を歩いていたら、ちょっと寄って行けよ、という感じで民家に招待されました。それが上記の写真で、子供たちとファミコンをしたりして遊びました。
この後、お金の話をされるんだろうなー、と思っていたら、案の定、子供の学費を出してくれないか、という話が始まりました。私は当時、英語がほとんどしゃべれなかったのですが、その会話の内容をはっきり覚えているのが不思議です。恐らく、英語が苦手な日本人にも伝わるような会話能力が、身についているのでしょう。成績表を見せられて、帰国後にお金を振り込んでくれないか、とまで言われました。
もちろん、丁重にお断りしましたが、嫌な感じはあまりしませんでした。相手も「残念」という感じでサバサバしてましたし。それよりも「インドすげーな」という印象がより強まりました。これも、英語がしゃべれるから起こる事ですよね。訪れるチャンスは何でも使おう、という迫力を感じました。
ただし言葉が通じると、詐欺などの危険性も高まる
と、ここまで、まあまあいい感じの印象で書いてきましたが、実は高確率で、現地の人とのコミュニケーションでシンドイ事が起こります(詐欺など)。英語、もしくは日本語で話しかけてくる人は、特に疑ってかからないと、インドでは危険でした。旅行者にドラッグを売る人とか、特に語学に堪能だったりします。
インドに入国した当初は、それでかなりストレスがたまったのですが、まあ、だんだんと慣れてきて、気楽にお断りすることが出来るようにはなりました。ただ、物乞いの人とかも、めちゃくちゃしつこいので、旅行中はずっと気が抜けませんでした。お互いに勝負しているような感じもあり、それが楽しいといえば……楽しいとも言えるような、言えないような。
パキスタンに近い、ジャイサルメールというところで、1泊の砂漠ツアーに行ったのですが、ガイドの男性のチップの要求のうるさいこと。一緒に行ったスイス人には要求しないのに、なぜか日本人の私だけに粘着してきて困りました(実はよくある)。言葉がなんとなく分かるだけに、彼が言う品のない冗談にも苦しめられました。
もっと英語が喋れたら、キッパリと断れたのにな、と思って悔しかったです。「そんなにしつこいと、ツアーの後でお前の上司にいいつけるぞ!」とか英語で言いたかったのですが、当時は無理でした。対照的に、ラクダはいうこと聞かないけど、可愛かったなー。
悔しい思いをしないためには、英語で意思表示する必要がある
ここまで書いてきて、当時の気持ちをありありと思い出してきました。そうだ、ちゃんとしゃべれないと損をするのだった。特に治安が悪い場所などでは、英語が出来ないと、他の人に助けを求めるのも難しくなります。また、詐欺などから自分の身を守るためには、はっきりと意思表示する必要があります。警察や病院に電話をするシチュエーションだって、あるかもしれません。
私の場合、貧乏旅行をしているので、リスキーな場面により遭遇しているような気もします。ただ、海外に出れば、日本より基本的には治安が悪いです。それと、日本では黙っている事が美徳だったりしますが、外国だと、主張しないと後回しにされたりします。……色々思い出して、だんだん腹が立ってきた。
という感じで、私はこの怒りも、英語学習のモチベーションに出来ることを思い出しました。今後フィリピンや英語圏に旅行する際に、怪しい人たちに論理で対抗できるぐらいの英語力を身に着けるべく、勉強に励みたいと思います。みなさんも是非、戦いのため、身を守るために、英語の勉強をがんばってください。きっと役立ちます。
あと一応、名誉のために書きますが、親切な人はめちゃくちゃ親切でした、インドの人々。教養のある人も多かったし。差が凄いんだよなー。
子供たちはふてぶてしくも、だいたいみんな可愛い。だいたい。