「実践ビジネス英語」が英検1級のリスニング対策にちょうど良かった話

レベルにあったリスニング教材を見つけるのが大変

学習4年目に目標だったTOEIC900点をクリアすることが出来ました。そこで、次は英検1級の合格を目指して勉強を始めることにしました。そこで問題になったのが、教材をどうするのか、ということです。前回はリーディングについて書いたのですが、今回は、リスニングに関して書きたいと思います。

まずは英検1級の過去問や参考書をやるべきだと思います。そこで現在の実力を測ることができるので、その後の学習計画も立てやすくなるはずです。問題は、過去問などをやり終えたあと、それに近いレベルの教材が見つけにくいことだと思います。

TOEICとは違って、英検1級対策のリスニング教材は、豊富とは言えません。そこで、他の学習者の方がどのように勉強しているか調べたところ、海外のポッドキャストを聞いたり、ニュースサイトを使ったり、YOUTUBEチャンネルを利用したりと、多種多様でした。

ただ、ポッドキャストやニュースサイトの場合、レベルが高すぎたり、リスニングのスクリプト(音声を文字にしたもの)が手に入らなかったりします。学習のためには、音声のスクリプトはぜひ欲しいところです。ただ、中にはTEDのような、学習に適した優良なサイトもあります。

ここならばスクリプトが手に入りますし、映像に日本語の字幕を表示させる事も可能です。ただ、私の学習5年目のリスニング能力では、難易度が高すぎると感じました。TEDの中の易しいレベルと言われているものでも、結構聞き取るのが難しかったです。また、もともと学習向けに作られているわけではないので、素材の良し悪しにばらつきがある印象でした(好みの問題もある)。

そして最後に私がたどり着いたのが、「実践ビジネス英語」です。NHKラジオで長年放送されている、非常に評判の高いシリーズです。ファンが多いので、関連の情報もネット上に豊富です。ラジオの中で難解な英文があった場合、検索すると誰かが既に話題にしていて、それが参考になったりします。

私も実際にラジオ番組を聞いてみて、これは良さそうだ、と思いました。ただ、ラジオを録音するには、ちょっと手間がかかります。また、過去の放送をCD化したものが発売されているのですが、それを集めるとなると、中古だとしてもかなりの金額になってしまいそうでした。それで断念しかけたのですが、実は過去のラジオ放送から抜粋したものが、書籍化されていることを知りました。

これが非常にありがたかったです。購入して聞いてみたところ、英検1級のリスニングよりもちょっと難しいぐらいの印象で、教材としてちょうど良いと思いました。

内容はドラマ仕立てになっていて、舞台はアメリカのビジネスシーンです。多様な人種が在籍するオフィスには日本人も含まれていて、彼らに感情移入しながら聞くことが出来ます。出てくる単語や言い回しは、英検やTOEICのものと完全には重ならないですが、アメリカの文化なども知りながら、楽しく学ぶことが出来ます。

書籍として発売されているものが、過去にけっこう存在する

ありがたいことに、このシリーズに似たものが過去にいくつか発売されています。ラジオ番組からいいとこどりで抜粋したものが、CD付きで出版されているのです。

上記の本がおそらく手に入る一番古いもので、2005年の発売です。やはりアメリカのビジネスシーンが舞台なのですが、当然、扱われている話題は古くなります。ただ、内容のクオリティは非常に高いので、十分勉強になると思います。CD付きで、中古ならば500円以下で手に入るので、かなりお得だと思います。英語教材は高いものが多いのですが、この本のように、古くてクオリティの高いものが、安く手に入る場合もあります。

続いて2007年から2008年にかけて発売された3部作です。これも非常にクオリティが高くてお勧めなのですが、現在、中古価格が少し高めになってしまっています。私は、フリマアプリで少し時間をかけて、安いものが出るのを待って手に入れました。だいたい1冊1000円~1500円で手に入りました。ストーリーも面白いので、楽しんで勉強が出来ます。

こちらは2011年の発売なのですが、入手はし易いと思います。恐らく、1000円以下でCD付きのものが手に入るはずです。他の本に比べて、ボリュームがやや少ないのですが、相変わらずのクオリティで楽しんで勉強ができます。

こちらが最新版のものになります。「完結編」と銘打たれていますが、ストーリーは独立した物なので、この本から始めても全く問題はありません。むしろ、一番手に入れやすいので、この本をやってみて気に入ったら、過去にさかのぼって本を揃えていくのもいいと思います。

たくさんの要素がぎっしりとつまっている味わい深い本

実践ビジネス英語」のシリーズは、オフィスの中での、同僚との会話が基本になって話が進んでいきます。ただ、会話の密度が濃すぎるので、実際の世界ではこんなにしゃべらないだろうなー、というシーンも多いです。フランス語とか「ことわざ」を引用することもあるのですが、実際にそれをビジネスシーンでやったら、かなりクドイ人だと思われてしまいそうです。

そこに違和感を感じている人もいるようですが、あくまでもこれはドラマなので、「実践」という言葉にとらわれる必要は無いと思います。そもそも「実践ビジネス英語」を英会話の教材として考えた場合、かなり上級者向けになるので、対象者がだいぶ限られてしまうでしょう。ですので、これは英会話の教材というよりも、リスニング教材として考えればいいと思います。

ちなみに、実践ビジネス英語のシリーズはいったん終わってしまったのですが、現在、次のシリーズが現代ビジネス英語として始まっています。

上記の本の音声が、NHKのサイトで期間限定で公開されているので、こちらをまずは聞いてみると、雰囲気が掴めると思います。

シリーズ全般を通してかなり上質な内容なので、TOEIC900点以降ぐらいの教材を探している方に、特におススメです。