精選模試リスニング2・リーディング2の難易度は、高地トレーニング向きなので注意が必要

精選模試3に負けず劣らず難しい

以前にこのシリーズの3番目の書籍である、精選模試3をレビューしました。

精選模試3は難易度がかなり高いので、低い点数を取ってもがっかりする必要はありません。900点以上を目指す方が、高地トレーニングとして使うのに適していると感じました。ですので、初中級者の方には、積極的にはオススメは出来ないかも、という印象を持ちました。

そして今回、精選模試2を約3年ぶりぐらいにやりました。なんとなく、精選模試3よりは簡単だったのではないか、という思い出補正を持ってやったのですが、そんなことはありませんでした。精選模試3と同じぐらいの難しさを感じました。

ということで、先に結論を述べますと、これも900点以上を目指す方の、高地トレーニング向けの模試だと思います。有名ですし、かなり売れているので、初中級者の方が手に取ることも多いと思います。ただ、やはり難易度が高いので、点数が取れなくても気にすることは無いです。

個人的には、初中級者の方は、もっと難易度の低い模試を繰り返し勉強した方が、学習の効率が上がると思います。あまり難しい物をやるとストレスが大きくなりますし、本番との差に戸惑ってしまう可能性があります。精選模試が難しすぎると感じた方には、公式問題集や、解説が詳しい「究極の模試600問+」がおススメです。

初中級者の方は、例えばリーディングの問題を時間内にすべて解くのも、苦労されることが多いと思います。ですので、まずは標準的なレベルの模試を繰り返しやって、問題を解くペースをつかむ訓練をしたほうが、良い結果につながるはずです。

精選模試2がどれくらい難しいのか、私個人のデータで比較をする

直近で私がやった、日本と韓国の公式問題集の成績を参照すると、リスニングの正答率が97~100%で、リーディングが95~98%ぐらいになっています。細かいデータは、韓国模試のレビューの中でも書いていますので、よろしければご覧ください。

一方で、精選模試3の平均点が、

リスニング 93.2点

リーディング 92点

でした。次に今回の、精選模試2の結果をご紹介します。精選模試2には5つの模試が含まれています。その個別のテストの点数です。

精選模試2リスニングリーディング
テスト193/10098/100
テスト293/10092/100
テスト399/10099/100
テスト494/10096/100
テスト5100/10097/100

上記の結果から平均点を出すと、

リスニング 95.8点

リーディング 96.4点

という事になりました。点数だけ見ると、精選模試3よりは難易度が低い、という印象になると思います。ただ、問題を解いてみた感覚で言うと、精選模試3とほとんど変わらないような難しさでした。

ちなみに、この模試は3年前に繰り返し解いているので、なんとなく印象が残っている、ということで点数が取れたのかもしれません。やったことがあるならもっと点数取れよ、という声も聞こえてきそうですが、実際のところ、内容はほとんど覚えていませんでした。それはそれで、問題かもしれませんが……。

具体的にどのように難しいのか、まずはリスニングについて

当たり前かもしれませんが、精選模試2の難しさは、精選模試3の難しさとかなり似ています。まずはリスニングですが、細部を聞き漏らすと点数を落としやすいです。些末な情報が正しい答えに結びつくことがあるので、油断が出来ません。つまり、本番の試験よりもリスニングの内容は複雑です。

ですので、問題文の先読みも必須になると思います。ある程度内容を予測し、音声を聞きながら答えを探す必要があります。もし、先読みをしないで答えるのならば、相当な記憶力が必要になると思います。日本語ならまだしも、英語のリスニングで細部まで覚えておくのは、相当な上級者でないと難しいと思います(私は今のところ無理)。

ということで、精選模試2のリスニングで点数を取るには、問題文の先読みと、細部の聞き込みが必須になると思います。これは、上級者の方は訓練すべきことだとは思いますが、初中級者の方にとっては、難易度が高すぎると思います。

リーディングは、ところどころ悪文に感じるような難しさ

次にリーディングですが、これも精選模試3と同じで、単語レベルが高めです。また、文章が長めな上に複雑で、読み切るのに時間がかかります。TOEIC本番や公式問題集のリーディングで、通常私は、5分から10分は時間が余ります。しかし精選模試2のリーディングでは、すべてのテストで時間がギリギリになりました。

これをもし、本番と同じ緊張の中で解くのならば、焦って時間が足りなくなりそうです。その場合は恐らく、飛ばし読みをする必要も出てくるでしょう。さらに、少し理不尽に感じるくらいに、わざと読みづらくしていると感じる文章もありました。答えの選択肢も表現があいまいで、判断に迷う物が結構ありました。

と言う感じで、TOEIC本番とはちょっと距離を感じる難しさです。上級者の方には良い訓練になるとは思いますが、初中級者の方には、あまりおススメできないと思います。本番のリーディングは、素直で簡潔な文章がほとんどです。答えの選択肢も、あいまいさは少なくて判断がしやすいです。初中級者の方は特に、そういう良問をたくさんこなした方が、効率よく勉強出来るはずです。

精選模試3と同じく、高地トレーニング用として使うと良い

精選模試3のレビューを書いたときに、精選模試1と2はこれほど難しくはなかった、と書いてしまったのですが、わりと嘘でした(すみません)。この模試はとても難しくて上級者向けです。精選模試3のときにも書いたのですが、初中級者の方がこの本を使うならば、点数は気にしないでやるべきです。また、リスニングは音を止めながらとか、2回聞いてから解く、みたいなやり方もアリだと思います。

そしてリーディングも、時間内に解くことは、あまり意識しなくて良いと思います。焦ってしまって、点数を落としてもあまり勉強にはなりません。時間内に解く練習をするならば、公式問題集のような、より本番に近いレベルの模試でやるべきです。

TOEICの傾向を守りつつ、難易度の高い模試を作るのは難しい

以前、難易度が高い模試の、批判的なレビューを書いたことがあります。

上記の模試は、TOEICの内容とあまりにかけ離れているために、解いていてかなりストレスがたまりました。それと、問題があまり作りこまれていない、と感じる部分がかなりありました。

それに比べて、精選模試シリーズは、絶妙なバランスで難易度を上げていると思います。難易度を上げると、どうしてもTOEIC本番とは内容が離れていくはずです。ただこのシリーズは、TOEICの傾向から離れ過ぎないように気が配られており、問題が丁寧に作られている印象があります。

難易度が高いだけに、部分的には理不尽と感じる問題もあって、ストレスはたまるのですが、全体を見渡すとやっぱり良く出来ているよな、という印象になります。あくまでも素人の想像ですが、かなり時間とコストをかけて本が作られているのだろう、と感じました。

ということで、この模試は難易度の高さを実現しつつ、TOEICの傾向もしっかりと反映している、クオリティの高い本だと思います。900点以降を目指している人は、高地トレーニング用として活用できるはずです。TOEIC本番でも、時には理不尽に難しいと感じる問題が出るときがあります。この本でその理不尽さに慣れておけば、本番でも余裕を持つことが出来るはずです。