「TOEIC」と「英検1級」の両方を受験する価値がある理由を説明します

試験内容はかなり違うが、難易度はそれほどかけ離れていない

私はここ2年間、ずっとTOEIC中心の勉強をしていました。そして今、久しぶりに英検1級の試験を受ける事にして過去問をやったところ、色々と気付きがあったのでご紹介したいと思います。まずは結論を短く述べます。

TOEICの高得点~満点を目指して勉強をしていると、意外に英検1級対策にもなると感じた。

TOEICと英検1級の問題の傾向は違うが、難易度はそれほど離れていない。例えばTOEICはリスニングの速度がやや速い一方で、英検1級は語彙をかなり勉強する必要がある。よって、両方の勉強をしていると、総合的な英語力の向上が見込める(補いあう関係)。

他にも、両方の試験を受けることにはメリットがある。例えば、

①単純に気分転換になる(モチベーションにプラス)

幅広いジャンルの英語に触れると楽しい(特に英検1級のリーディング問題が面白い)

③TOEICしかやっていない人にとって、アウトプットの勉強をするきっかけになる

と言う感じです。もう少し詳しく説明をします。

TOEIC対策がどのように英検1級対策に生かせるのか

英検1級にはアウトプットの試験(英作文・英会話)があるので、TOEICとは試験の形式がかなり違います。そのことに関しては後で触れるとして、まずは二つの試験を単純に比較するために、リスニングとリーディングに絞って考えたいと思います。

リスニングについて

リスニングはTOEICの方がスピードがやや速いです。また、音の短縮や省略が多く詳細を聞き取る事が難しいです。一方で、英検1級のリスニングは語彙と文法がやや難しいですが、スピードはTOEICほど速くは無く、発音もクリアで聞き取りやすいです(インタビュー問題を除く)。

ということで、TOEIC対策をしていると音の細部を聞き取る能力を鍛える事ができます。一方で、英検1級ではクリアな音源で、やや複雑な内容を聞く訓練が出来ます。両方勉強していれば、リスニングの総合力を上げることが出来ますし、新しい気付きを得る事も多いです。

リーディングについて

TOEICで高得点を取るためには、part7(長文パート)をかなりの速度で読む必要があります。その訓練をしていると、英検1級の長文問題もかなり速く解けるようになります。英検1級はリーディングが先なので、余った時間は、解答の見直しやリスニング問題の選択肢の先読みに使うことが出来ます(これが結構重要)。

ただ、英検1級のリーディングは単語と文法が難しいので、完全に意味を取る事が難しい時があります。この難解な部分をじっくり読み込もうとすると、時間がかかります。ただ、スラスラと読む訓練をTOEICでしていれば、飛ばし読みもしやすくなるはずです。英検1級のリーディングは、意味が完全に取れなくても、消去法で答えを選ぶことが割と出来ます

英検1級のリーディング対策で語彙力と文法力を鍛えていると、TOEICで語彙と文法に困る事はほとんど無くなるはずです。

つまりTOEICではスピードを、英検1級では語彙・文法を中心に鍛える事が出来るので、両方勉強するとバランスよく総合力を上げることが出来ます。

TOEICと英検1級を両方受ける場合の、その他のメリット

①単純に気分転換になる

私がなぜTOEICと英検1級の両方に向けて勉強をしているかというと、学習のモチベーションを維持するためです。英語学習を続けている方なら分かって頂けると思いますが、毎日勉強を続ける事は簡単ではありません。時々、絶望的に勉強をしたくない気持ちに襲われる事もあります。ただ、そこで勉強を止めてしまうと、今までの努力が無駄になってしまいます

そこで、自分で目標を設定してモチベーションを維持する必要があります。その一つの方法が「英語の試験を受ける」という事です。いったん申し込んでしまえば、受験料は安くありませんし、せっかく受けるのだから良い成績を取りたい、という気持ちが生まれるはずです。

本来の学習の目的は「英語力の向上」なのですが、それだけだと気持ちが上がらない事も多いです。なんらかの刺激があったほうが、学習が長続きするはずです。学習者の個性との兼ね合いもありますが、「英語の試験を受ける」という事は、やる気に火をつけてくれるのでおススメです。

ちなみに、私はTOEICの満点を目指して勉強をしているのですが、いままで一回しか満点を取れていません。それで結構ぐったりしていたのですが、最近英検1級の過去問をやっていて、気分がリフレッシュされています。と言う感じで「複数の試験を受ける」という事もモチベーションにプラスになります。

②幅広いジャンルの英語に触れると楽しい

TOEICを中心に勉強をしている方は多いと思います。ただ、TOEICの問題が扱うジャンルは結構限られています。主にビジネスや広告、メールのやり取りといった内容です。一方で、英検1級では歴史や自然科学、社会問題を扱う内容が多いです。リーディング・リスニング共に、面白い物が多いです。

あと、英検1級のリーディングは、文法的に複雑で読み解く事が難しい問題が結構出てきます。解いていてストレスが溜まることもありますが、同時に非常に勉強になると感じます。日本語訳を見て納得する事もある一方で、日本語訳を見ても「何を言っているのかよく分からない」という物があります。

試験問題という性質上、解答の日本語訳が直訳になっているのが原因だと思います。本来ならば翻訳者の方が上手に訳さないと、意味が適切に伝わらないと思われる文章が結構出てきます。このような文章を読み解くのは、上級者向けですが実践的で結構面白いです。この経験は、ネイティブ向けの小説や、少し難しいコラムを読む場合などに役立つはずです。

③アウトプットの勉強をするきっかけになる

英検1級の大きな特徴として、アウトプットの試験がある点が挙げられます(英作文と英会話)。一方でTOEICは、リーディングとリスニングの試験だけになります。この点が、二つの試験の最も大きな違いだと思います。

ですので、TOEICで高得点を取っても、英会話が出来ない学習者がいる、という点が指摘される事があります。ただし、TOEICで高得点が取れたならば、基礎的な英作文と英会話が出来るようになるまで、そこまで時間はかからないはずです。ですので、TOEICで900点以上が取れるようになったら、英検1級を目指すのがおススメです。

このことに関しては、以前詳しく書いたので、よろしければご覧ください。

両方に手を出しても、デメリットになる事はあまり無い

私の場合、TOEIC900点をクリアしたら英検1級に挑戦する、というプランを立てて勉強をしました。その順番は、難易度的にはちょうど良かったと思います。ただ、英語力を段階的に上げる目的では、英検を中心に勉強するのも良いと思います。その場合、英検1級の前に英検2級・準1級を受験すれば、難易度調整も上手く行くはずです。

英検1級の勉強をしていると、英語の面白さに気付くことが多いですし、良い気分転換にもなります。また、アウトプットの勉強(英作文・英会話)は、結構インプットの勉強にも役立ちます。自分の言いたい事を表現するために、実践的な単語や文法を仕入れる必要が出てきます。それが、学習のモチベーションにプラスに働くはずです。

と言う感じで、TOEIC中心の学習をしている方は是非、英検の受験も検討してみることをおススメします。対策する試験を増やす事には少し抵抗があるかもしれません。ただ、やってみると結構面白いですし、たくさんメリットがあります