英検1級の試験対策で、英作文の模範解答が難しすぎると感じた場合の、おススメの対処法

上級者の模範解答がプレッシャーになってしまうケースがある

英検1級の試験対策として、書籍やブログを参考にする方は多いと思います。ただ、上級者の模範解答は、時に受験者にプレッシャーを与えることがあります。英作文とスピーキングの模範解答を見て、その高度な内容に衝撃を受けた経験のある方も、多いのではないでしょうか。今回は特に、英作文にフォーカスしてその問題について考えたいと思います(スピーキングは次回扱う予定です)。

模範解答の内容が高度すぎる、その事が特にわかりやすいのが、英検1級の過去問に載っている、英作文の模範解答です。

上記の本に掲載されている英作文の模範解答は、リーディングの素材として読むならば、まったく難しくはないと思います。しかし、これをゼロから書くとなると、かなり難易度が高いと感じられるのではないでしょうか。

それもそのはずで、これは模範解答なので、実際の試験でこれだけ書くことが出来れば、英作文のセクションで満点が取れるわけです。しかし試験に合格するためには、一般的には素点で7割取れれば良いと言われています。つまり、英作文のみで考えるならば、合格のためには32点満点中の23点以上ぐらいを目指せば良いわけです。

英作文の採点にはAIが利用されているので、その採点基準はブラックボックス(はっきりしていない)になっています。よって、上級者でも点数を落とすことがありますし、逆に、かなり単純な構成で書いたのに高得点だった、という話もよく聞きます(私がまさにそれでした)。よって、ボーダーラインの23点の英作文がどのぐらいのものなのか、それを提示するのは誰にとっても、かなり難しいのです。

結果として、受験者はパーフェクトな英作文ばかりを目にすることになります。このことが受験者にプレッシャーを与えて、モチベーションを下げることがあるので、私は結構危険だと思っています。特に英作文の勉強を始めたばかりの方は、模範解答を最初に目にして、合格点なんて取れそうもない、と思うかもしれません。

模範解答もAIにダメ出しされることがある

そこで私がオススメしたいのが、AIによる英作文の添削サイトを利用することです。こちらのサイトは以前にも、英検1級の英作文対策について書いたときにご紹介しましたが、いろんな使い方ができて非常に便利です。

試しに、手元にある英作文の模範解答を、ワード等に打ち込んで、上記のサイトに張り付けてみて下さい。すると、さすがに文法的には間違いはほとんどないと思いますが、模範解答にも関わらず、AIに結構ダメ出しをされるハズです。受動態を減らした方が読みやすくなるとか、もっと簡潔に表現しましょう、みたいな感じで、結構厳しく指摘を受けます。

また、上記のサイトでは、AIが英作文に点数をつけてくれます。ある模範解答をAIに判定してもらったところ、100点満点中、76点を取った物がありました。詳細は控えますが、私が非常にお世話になっている、この本の中の一つの模範解答でした。

名誉のために書きますが、この本は非常に優れていて役立ちます。私はこの本の模範解答を暗唱したり筆写したりして、今も勉強に使っています。ただ、そんな良い本の模範解答でさえも、AIに採点された場合、得点が低くなる場合があるということです。そう考えると、パーフェクトに見える模範解答も、そこまで高い壁ではないように感じられるかもしれません。

また、ご自分で書いた英作文を上記のサイトで評価してもらって、80点以上が取れたりしたら、相当良い文章が書けたという可能性があります。真偽のほどは保証できませんが、勉強のモチベーション維持にはかなり役立ちますので、ぜひ利用してみて下さい。

ちなみに、構造は単純でも、文法的なミスを減らすことや、冠詞やスペルのミスを減らすことが、英作文で点数を取る(減点されない)ためには必要です。上記のサイトは、このミスのチェックにも非常に適していますので、英作文の勉強の為の良いツールになるはずです。

模範解答の内容を変えずに、難易度だけを下げる方法

有名な翻訳サイトのDeepLを使うと、英作文の難易度調整をすることが出来ます。

参考書などの模範解答を見ると、文法的に工夫がされていたり、恐らくあえて回りくどい表現を使っているケースがあります。具体的にいうと、文中にカンマを使った挿入句があったり、関係代名詞で文章が長くなっていたりします。しかし、英作文に慣れていない人は、そのような複雑な表現は、なかなか上手く使えないはずです。

ある程度工夫した文章を書くことは、点数を取るために必要な部分だとは思います。しかし、模範解答で使っている表現は、難易度が高すぎると感じるケースがあります。そのような文章に出会った場合、一度DeepLにその英文を張り付けてみて下さい。すると、日本語訳がすぐに取得できます。その日本語訳を少し調整して、再度、英訳にかけてみて下さい。すると多くの場合、文章がかなり簡易化されます。その簡易化された文章の方が、学習者にとってはマネのしやすい表現だったりします。

実際に例として、一つの文章を扱ってみます。

Regulating alcohol and tobacco advertising contributes to public health and safety, while encouraging companies to invest in healthier alternatives.

これが元の文章です。後半のwhile以下の部分は、慣れた人でないとなかなか書けない形だと思います。これをDeepLに張り付けます。

アルコールとタバコの広告を規制することは、公衆衛生と安全に貢献すると同時に、企業がより健康的な代替品に投資することを促進します。

日本語訳が出ました。だいぶ回りくどい文章です。こんなに一つの文に詰め込む必要があるのかな、と私は思いますが、これは模範解答からの抜粋なので文句は言えません(著作権的に、部分的に変更はしています)。これを今度はDeepLに英訳してもらうのですが、その前に、少し日本語を調整して文を簡潔にします。

アルコールとタバコの広告を規制することで、公衆の衛生と安全性が向上します。同時に企業は、より健康的な代替品に投資をするようになるでしょう。

日本語としては、こちらの方が断然分かりやすいですよね。これをDeepLに英訳してもらいます。

Regulating alcohol and tobacco advertising will improve public health and safety. At the same time, companies will be encouraged to invest in healthier alternatives.

結果、二つの文章に分かれて、文章全体も少し長くなりました。しかし、こっちの方が良い英文だと私は思うのですが、どうなんでしょうね……。少なくても日本人にとっては、こっちの方が読みやすいはずです。そして、このように加工を施した文章を、英作文のAI添削サイトに張り付けると、結構高得点を貰えるケースが多いです。

これは個人的な意見ですが、言語の種類に限らず、文章は簡潔で分かりやすい方が、読者には優しいはずです。ですので、AIも高得点をくれるのだと思います。そして私は実際の試験でも、なるべく分かりやすい文章を書くようにして、複雑な構文などはほとんど使いませんでした。それで結構点数が取れたので、そこまで間違った方法ではなかったと思います。

というわけで、模範解答が難しすぎると感じたら、日本語訳から作り直す、上記の方法がおススメです。これは文章全体でやることもできますし、気になった部分だけ、抜粋して適用することもできます。また、自分で作った文章の方が記憶には残りやすいので、自分だけの模範解答をストックしていけば、効果的に英作文の勉強が出来ます。

難しすぎる模範解答に、モチベーションを奪われない様に、どうか気を付けて下さい。