ETS TOEIC 定期試験既出問題集 1000 Vol.2(韓国製過去問)のレビュー

本家の過去問なので、クオリティーは保証されている

私は過去に韓国産の模試をいくつかやったことがありますが、当時の基本的なイメージとしては、安いけどクオリティーはそこそこ、という感じでした。

上記の本は韓国製模試の中でも、かなり内容が良かった印象のものです。翻訳版なので、解説はすべて日本語になっています。一冊につき1000問も収録されているので、量をこなしたい人にはもってこいです。また、コスパも非常に良いです。

日本の模試だと500問で2500円ぐらいが相場なので、100問あたりだと500円前後の計算になります。一方で上記の本は3740円なので、100問あたり374円です。これが日本の公式問題集だと、100問あたり800円を超えてきます。ちょっとみみっちい話になってしまいますが、模試をたくさんやっていると、こういう部分も気になってきます。

もちろん、問題のクオリティが非常に大切なので、安ければ安いほど良い、というわけには行きません。実際、マイナーな韓国模試の翻訳版を買ってみて、内容にがっかりした経験もあります。しかし、今回やった「ETS TOEIC 定期試験既出問題集 1000 Vol.2」は、実際に韓国のTOEICで使われた問題が収録されています。というわけで、ほぼ公式問題集と考えてもよさそうです。

実際に解いてみたところ、確かに公式の問題だろうな、と感じさせる出来でした。難し過ぎず易し過ぎず、良問が非常に多いです。ちなみに質の悪い模試をやると、答えや解説を見ても、納得がいかないような問題が多く含まれていたりします。

しかしこの本は、私が最近解いた日本の「公式問題集8」の内容とも大差がありません。これが約3000円で売られていて、100問あたり300円という素晴らしいコスパを実現しています。

ただしもちろん、問題の解説はすべて韓国語です。リスニングはまだいいとして、リーディングの問題で解説が無いと、勉強に支障が出る場合も多くなるでしょう。ですので、この模試は使う人を選ぶと思います。上手く用途がかみ合えば、お金の節約になりますし、クオリティの高い公式レベルの問題をたくさんこなせます。

ということで、どんな学習者の方がこの本を活用できるのか、今回は考えてみたいと思います。私がこの本を使ってみた感想と、解説が韓国語の場合、どの程度勉強の妨げになるのか、なども含めてご紹介します。

ちなみにですが、初中級者の方は、公式問題集か、超有名どころの日本製の模試を使うことを基本的にはオススメします。それらの正答率が9割を超えるまで、繰り返し解く、ような使い方をするのが効率的な勉強法になるはずです。そして800点近く点数が取れるようになったら、模試の数をこなすスタイルも試してみて下さい。

得点率から言っても、公式問題集や本番に非常に近い事が分かる

この模試の内容に関しては、公式問題集もしくは本番とほとんど同じなので、詳しく説明をする必要は無いと思います。良問がそろっているので、変なストレスがなく問題に取り組むことが出来ます。間違った問題に対しても、正解を見ればすぐに納得が行きました。公式問題集ならではの、クオリティの高さを感じる事が出来ます。

ここで、私の正答率をご紹介したいと思います。まずは比較のために、公式問題集8と、直近で受けたTOEIC本番の正答数をご紹介します。

公式問題集8

テスト1

リスニング 98/100 リーディング 95/100 

テスト2

リスニング 99/100 リーディング 97/100 

第297回TOEIC(2022年6月26日)の結果(正答数は予想)

リスニング 97/100 リーディング 95/100 点数 495/470(965点)

つぎに今回の韓国模試の正答数です。リスニングとリーディングが別冊になっているのですが、ここでは分かりやすいように、まとめてご紹介します。

リスニングリーディング
99/10098/100
97/10099/100
98/10096/100
100/10095/100
99/10099/100
98/10097/100
100/10098/100
98/10096/100
100/10098/100
1098/10099/100
太字はリーディングで満点もらえたかも回

と言う感じで、公式問題集やTOEIC本番の結果と正答数がかなり近く出ました。この本が公式の過去問であるということの、一つの証明になると思います。

上記の正答率だと、リスニングは恐らく、全部の回で満点がもらえると思います。ですが、リーディングに関しては、満点はまだ遠い感じです。本番で満点を貰うには99~100の正答数を取る必要があると言われています。そう考えると、今回の模試で言えば、TOEIC990点が取れたかもしれないのは3回。しかも本番だと私はかなり緊張するので、まだまだ先は長そうです……。

相変わらずpart5で一つ以上落とすことが多いので、最近は文法の強化に励んでいます。

これはちょっと古い本ですが、かなり歯ごたえがあって勉強になります。歯ごたえがあり過ぎて、TOEICでは出ないような問題がたくさん収録されています。正直、英検1級とか、それ以外の分野に内容がはみ出してしまっているのですが、今の私にはちょうど良い本だと感じています。

というのも、part5で1~2問落してしまう事を克服するためには、TOEICの範囲外までやっておく必要があるのだと思っています。この本を終えたら、そこら辺の感覚も含めて詳細にレビューをしたいと思います。

基本的には上級者向けだが、解説を翻訳して読むことも一応出来る

TOEIC模試をやっていて、最もストレスが溜まるのはどんな時か。それは、間違った問題に対して、解説を読んでも納得がいかない時だと思います。自分の勉強不足のせいで、解説自体が理解できないなら、それは仕様がありません。ただ、問題の質が低い模試をやっていると、正解の根拠があいまいな問題に出くわす時があります。その場合、解説を読んでもあまり助けになりません。こじつけの言い訳を聞いているようで、むしろストレスが増大するときもあります。

一方で、この模試はほぼ公式ですし、良問が揃っています。ですので、ミスをしたとしても、正解を見ただけで納得がいくケースがほとんどでした。「これは自分の知識不足せいだった」とか「自分が見逃した、読み間違えてしまった」と言う感じで、すぐに納得が行きます。「なんでこれが間違いになるのか、細かい説明が欲しい」という事が、ほぼありませんでした

つまり、全体を通して、細かい解説があまり必要ではありませんでした。結果として、解説が韓国語である、ということは問題になりませんでした。ただし、これは私がかなりTOEICに慣れていて、点数も取れるようになったから言えることだと思います。

初中級者の方は、間違った問題の解説をじっくり読んで、模試を繰り返し解くべきです。それが良い勉強方法であることに、間違いはありません。ですので、この模試はあくまでも上級者向けだと言えます。

ちなみに、どうしても解説を確認したい場合に、私はグーグル翻訳のアプリを使いました。カメラをかざせば翻訳をしてくれるので、気になったところは割と簡単にチェックできます。

ですが、ご覧の通り、翻訳の精度はかなり低いです。日本語としてもめちゃくちゃです。ただ、自分が気になっているポイントに集中して解読すれば、解説が何を意図しているのかは、だいたい読み取ることが出来ます。しかし、部分的な助けにしかならないのも事実ですので、初中級者の方には全くおススメできない使い方です。

問題の質が良すぎるので、上級者は積極的に使うことをおススメします

解説が韓国語であるというのは、確かにデメリットです。価格に関しても、めちゃくちゃ安いわけではないので、それだったら日本製の模試を買った方が良い、という判断になるケースも多いでしょう。ただし、この本は公式の過去問なので、問題の質は最高級です。この部分をどれくらい評価するかによって、それぞれの学習者にとっての、この本の価値が変わってくると思います。

日本製の模試でも、公式レベルの問題を揃えるのは、なかなか難しい事だと思います。実際に私は、600問で2500円の日本製の模試(結構マイナーなものですが)を現在やっていますが、問題の質がだいぶ違う(悪い意味で)のでびっくりしています。同時に、公式の問題の質の高さを再認識しました。

難易度が高い模試をやるのは、確かに高地トレーニングになります。ただし、問題の質を維持したまま難易度を上げるのは、かなりのコストと専門性が必要だと私は想像しています。それが出来る出版社は、非常に限られるのではないでしょうか。だとしたら、上級者の方は、今回の韓国製の模試を選択肢に入れると、メリットがたくさんあると思います。

現在、このシリーズは1~3まで出ているようなので、私も購入予定です。解き終わったらまたレビューしたいと思います。