世界一わかりやすいTOEIC L&Rテスト総合模試2は難易度が高くて解説が詳細

「800点突破レベル」という言葉の解釈が難しい

TOEICの試験の前には、予行練習として模試を必ずやるようにしています。今回は「世界一わかりやすいTOEIC L&Rテスト総合模試2[800点突破レベル] 」をやりましたので、レビューをします。

とりあえず短く表現するならば、

「問題の質が高くて解説もかなり詳しいけど、めちゃくちゃ難しいので注意が必要」

です。

この本には「800点突破レベル」という名称が付いています。ですので、600~700点代の方が800点以上を取れるように難易度設定がされている、という印象になる可能性が高いはずです。ですが私が解いてみたところ、「990点突破レベル」という名称を付けても良いのでは? と思いました。それぐらい難しかったです。

実際、この本の難易度に一番近いと思う模試は「TOEIC L&Rテスト990点攻略」です。

上記の本は、そもそも990点を取る為に作られている事が強調されています。なので、めちゃくちゃ難しくても、特に驚きはありませんでしたし、むしろ納得感がありました

この本の「800点突破レベル」はもちろん意図があって付けられた名称だと思います。では、800点突破と書かれていて、990点満点を目指すような本になっているのは何故なのでしょう。私なりに考えてみました。

世界一わかりやすいTOEIC L&Rテスト総合模試2[800点突破レベル]が超難しい理由(個人的見解)

繰り返し解いて実力を上げる目的で、あえて難易度が高く設定されている

つまり、反復学習を前提にしているので、初回で点数が取れない事は想定済み

TOEICの本試験の練習というよりは、トレーニング向きに作られている

解説が非常に丁寧なので、800点以下の方でも、ついてこられるように作ってある

という感じなのかもしれません。恐らく現在600~700点代で、800点突破を目指す方がこの模試を解いた場合、本番よりもかなり点数が低く出るはずです。それは想定済みで、その後の復習や反復学習をしっかりやって、800点以上の点数を目指して欲しい、という意味での「800点突破レベル」なのかもしれません。

ただし、この本の序文に「つい昨日受けたばかりの本物のTOEICテストのような仕上がりになりました」という言葉があります。これはちょっと無慈悲なお言葉です。この本をやった方はすぐにわかると思いますが、本物のTOEICテストの難易度この本ほど高くはありません(異論は無いと思う)。

これは、英語系の教材で時々見かける、著者の方と「普通の学習者」の間に生じる感覚のズレかもしれません。つまり、先生方はもちろんご自身が優秀ですし、普段相手にしている生徒さんも、モチベーションが高い優秀な方が多いのだと思います。結果的に、先生方が考える「普通」が「高難易度」になってしまうケースはわりと見かけます。

この本をおすすめ出来る学習者のレベルとは

この問題集の問題の質はかなり高いですし、解説も非常に丁寧です。先ほど例にも挙げましたが、「TOEIC L&Rテスト990点攻略」と同様に、900点~満点を目指して高地トレーニングをしたい方には、かなりおススメ出来る教材だと思います。

一方で、現在600~700点代を取っていて、この本を使って800点越えを目指そうと考えている学習者の方は、注意が必要です。

個人的に考える学習者の対象レベルは、TOEICの点数換算で、

「現在700~800点代で、900点を目指す方」には、あまりおススメできません

「現在900点前後で、それ以上を目指す方」には、オススメできます

「最高スコアが900点後半で、なんとか990点に達したい」というかたには、かなりおススメ出来ます

と言う感じです。「800点突破レベル」とタイトルに入っているのですが、800点以下の方がやる場合、かなりの根性が必要になります。「めちゃくちゃ間違っても、その後、意欲的に繰り返し解く事が出来る」ならば、600~700点代の方が取り組むのもアリです。この模試は解説がかなり詳しいので、他の高難易度問題集をやるよりも、得られる物が大きいと思います。

ただし、個人的にはレベルに合ったものを大量にこなした方が、学習効率が上がると思っています。特にモチベーション管理の部分は、先生方があまり配慮してくださらない部分です。恐らく多くの先生方は、優秀で、やる気に満ちた生徒しか学習者として想定していません(それは仕方が無い事だとは思うが)。

しかし恐らく、多くの普通の学習者は日々、勉強をしたくない気持ちとか、点数が取れなくてくじけてしまうような状況と戦っているはずです。ですので、学習者にとって一番大切な要素は、モチベーション管理になりうるのです。ここは非常に見過ごされやすい要素です。蛇足ですが、英語のコーチングはある意味、モチベーション管理をプロに任せる事で成り立っているのだと思います。

というわけで、教材を選ぶときには、自分のモチベーションが保てるかストレスが溜まり過ぎないか、という事に是非、気を付けて下さい。

具体的にどのように難しいのか

まずは私の得点状況をご紹介します。この本にはTOEIC本番と同様の形式で、2回分の模試が含まれています。

TEST1

リスニング  95/100 part1:1ミス part2:2ミス part3:2ミス

リーディング 97/100 part5:1ミス part7:2ミス

補足:リーディング11分時間超過

TEST2

リスニング  93/100 part1:1ミス part2:1ミス part3:5ミス

リーディング 94/100 part5:1ミス part7:3ミス

補足:リーディング5分時間超過

part7の最後の20問(複数の情報を扱う問題)が極端に難しい

まずはリーディングの時間超過についてご説明します。私は模試で時間超過をすることは、最近はほとんどありません。難易度の高い模試はpart7の文章が長いものが多いのですが、その場合、ペース配分をして、時間内で何とか解けるように調整をします。結果的に、めちゃくちゃ焦りながらハイスピードで解く事も多いのですが、時間がオーバーする事は避ける事ができました(今までは)。

一方で、この模試では時間を超過してしまいました。なぜかというと、part7の最後の20問が極端に難しいからです。私は難問模試をやる場合でも、問題ナンバー180が終わった時点で、25分ぐらいは残る様にペース配分をしています。そうすると、通常は残りの20問にそれぞれ5分ぐらいかけて、なんとか終わらせることが出来ます

しかしその25分では到底解けない量と、難易度の高い問題(個人的に)が181~200番に出てきました。つまり、ペース配分の予想が通用せず、時間をオーバーしてしまったのです。

この模試のpart7は他の難問模試と比べて、極端には難しくありません。先日やった「ライオン模試」や「TOEIC L&Rテスト990点攻略」と同様に、所々難しい単語があります。文章量も多いです。選択肢も推測を働かせないといけない部分があり、一筋縄では行きません。ただ、TOEICの傾向に沿っていますし、質の高い問題が揃っていると感じました。

ただし、最後の20問の難しさはTOEICの出題範囲や難易度を、かなり超えていると思います。2,3度返り読みをするだけでは足りずに、複数の文章を見比べて、推理ゲームをするように解く必要がありました。私のリーディングの実力が足りていないせいではありますが、かなりキツかったです。

一方でpart5は、やや文章は長めですが難易度は標準的だったと思います。私は最近part5を重点的に勉強をしている事もあり、特につまづく所はありませんでした(とはいえミスはしているが)。part6も難問模試としては標準的な問題だったと思います。

ちなみに、他の模試のレビューは以下からご覧になれます。

リスニングパートも難易度が高いが、解説が素晴らしく詳しい

リスニングパートも難易度はしっかりと高いです。部分的に、かなり難しい単語や慣用表現が使われているので、他の難問模試よりもさらに難易度が上になるかもしれません。

加えて、この模試独特の特徴があると感じました。それは、音の連結や消失について、かなり詳しい解説がある点です。カナダ人の「モゴモゴしている発音」とか、イギリス人の「バキバキしている発音」はTOEICの本番でも出てきますが、それを強調したような発音が、この模試にはかなり出てきます。

もちろんそれらを聞き取るのは大変で、正解を選ぶのにも苦労しました。全然聞き取れなかった、という印象になってしまう方もいるはずです。ただ、例え初回で太刀打ちできなかったとしても、解説が詳しいので、復習をする時に得られる物がたくさんあるはずです。

音の連結や省略の部分を聞き取ることが、高得点を目指す場合のカギになると私は思っています。そのために、最近は「実践ビジネス英会話」を繰り返し聞くことによって、音の細部を聞き分けるための訓練をしています。

元の英文を知っている状態で何十回も繰り返し聞いて、ようやく音の短縮部分や、素早く発音されている部分が聞き取れる事があります。TOEICでは、そのような音の細部を聞き取れなくても、リスニングで満点近くの点数は取れます。ただし、本気で満点を目指すならば、細部もしっかりと聞き取れる必要があります。

この「世界一わかりやすいTOEIC L&Rテスト総合模試2[800点突破レベル] 」は、この音の細部に対する解説が、まさに世界一わかりやすく解説されていると思いました。音が消えてしまっていたり、くっついている部分について、ここまで細かく説明がされている本は、TOEICの模試では他にそう無いと思います。私は今、まさにこの部分に取り組んでいるので、非常に有益に感じました

根性のある学習者が繰り返し解く時に、最大の効果が得られるはず

ということで、この模試は実は「高地トレーニング向け」の模試だと思います。リーディングは特に後半がビックリするほど難しいですし、リスニングも内容が複雑なうえ癖のある発音が多めです。モチベーション管理や、学習で生じるストレスを含めて考えると、900点後半から満点を目指している方に一番適していると、個人的には思います。

一方でこの模試は、繰り返し勉強をする前提で作られており、だからこそ解説も詳しいのだと思います。よって、現在600点~700点だとしても、この本を繰り返し解く事が出来る根性の持ち主ならば、この本だけで800点を確実に突破できると思いました。

と言う感じで、中身の詰まった充実した模試なのですが、先生(著者)と生徒(学習者)の気持ちにギャップが生じてしまう可能性は結構あると思うので、そこだけは注意が必要です。