【工夫と解説が光る】TOEICテスト究極のゼミPART 5語彙・語法【超上級編】のレビュー

シリーズの雰囲気は保ちつつ、しっかりと上級者向けになっている

最近私は、TOEICのpart5(文法問題)を重点的に勉強をしております。というのも、TOEICで満点を目指す時リーディングではミスが許されません。リスニングと違って、1問ミスでも満点にならない時があります。そして、part5では毎回、かなり難しい問題が2問ぐらいは出る印象です。その2問を取れるかどうかが、勝負の分かれ目になる可能性があります。

一般的な模試や問題集の文法問題(part5)でほとんどミスをしなくなってきたら、難問を集めた問題集に取り組むと学習の効率が良くなります。ということで私は今回、「超上級編」という名前がついているこの本を、やってみました。

究極のゼミシリーズ」はTOEICの問題集として、かなり有名な書籍です。私は以前、通常のpart5問題集をやってレビューもしました。

このシリーズの特徴として、解説が非常に丁寧という点が挙げられます。著者のヒロ前田先生の著作に共通しているのですが、「先生と生徒の対話」という形式を用いて、問題の解説をしています。この部分に多少好みの差は出ると思うのですが、文章だけの解説よりも柔らかい印象になるので、私は結構好きです。

上記の模試は、特にその解説の特徴が良く表れています。初心者の方でも分かりやすいように、これでもかと言う感じで、丁寧に解説がされています。公式の模試と比べてもかなり親切なので、誰にでもオススメできます(特に初~中級者におススメ)。

解説の形式や雰囲気はシリーズと共通しているが、内容は超難しい

一方でこの「超上級編」は、その名の通り、かなり難易度が高いです。私は今まで、part5の問題集をいくつかやってきましたが、トップクラスに難しかったです。具体的に言うと、この問題集の約400問の問題の内、私は約120問ぐらいミスをしました。正答率が約70%です。

正解を選べた問題の中には、なんとなく正解をした問題も結構ありました。ですので、感覚的には、自信をもって答えられたのは全体の半分くらい、という印象です。それだけ難しい問題集だと、理不尽な問題が多く含まれているのではないか、と思われるかもしれません(実際、そういう本もある)。

ですが私の印象では、この本は「難しい問題を集めただけの問題集では無いと感じました。本の解説や帯に明記されているのですが、「語法(単語の使い方)」を知る必要性が強調されています。その「語法」を学習者に習得させるために、かなりの工夫が施されています。その結果、この本が通常の問題集とは違う難しさを持っている、という印象を受けました。

「語法」とはなにか、そしてなぜ重要なのか。

「語法」と言われても、パッとイメージするのは難しいと思います。私も最初は、イマイチその意味が分かりませんでした。ですが、この本をやり終えて、その意味と重要性がよく分かりました。私なりの解釈を含めてこの「語法」と、TOEICのpart5における、その重要性を説明してみます。

「文法」言葉のつなげ方を意味する一方で、「語法」とは「状況に応じた単語の使い方」を意味する。

単語は文脈によって意味が変化する。辞書で言うと、2番目、3番目に出てくる意味も知っていないと、ミスをしてしまう事がある。難問は特に、そこを問うものが多い。

また、一つの単語の派生形が、それぞれ違う意味を持っているので、それを詳しく知っている必要がある。具体的な例を出すと、

「常連客」

repeated customer」 なのか 「repeat customer」 なのか 「repeating customer」 なのか。

いちいち覚えるのは大変ですが、覚えるしかない、という部分でもあります(正解はrepeat customer)。私は以前にやった問題で、「continued patronage(変わらぬご愛顧)」という組み合わせを頭に入れていたので、「repeated customer」を間違って選んでしまいました

他にも例えば、

「際立った特徴」

distinguishing feature(正解)」なのですが、「distinguished feature(間違い)」を、つい選びたくなってしまうかもしれません。結局は暗記、と言えばそれまでかもしれません。ですが、この「語法」を細かく知っていないと、part5の問題でミスをする可能性が大きくなる、ということをこの本によって印象付けられました

「語法」を頭に叩き込むために、問題の構成がかなり工夫されている

通常、TOEICのpart5は、4つの選択肢から答えを選ぶ形で解答をします。一方でこの本では、「それ以外の解き方」を要求する問題が収録されています。

具体的に言うと、

選択肢に2つの答え(AとB)があり、A、B、もしくは「両方が正解」を選ぶ3択問題

選択肢3つの中で、誤っている物を一つ選ぶ問題(つまり他の二つは正しい)。

これらの問題は、TOEICに慣れていると、かなり解きにくいと思います。ちょっと大学受験の問題集を思い出させるような内容です。消去法が使えない上に難易度がかなり高いので、私はこのパートで大量に間違えました。おかげで、いかに自分が分かっていないか、という事に気付くことが出来ました。

本の後半に向かうに従って、難易度が上がっていく

究極のゼミシリーズ」で共通している要素として、それぞれの問題に、モニター解答者の正答率が表記されています。この本では、後半に向かうに従って、この正答率が徐々に下がっていきます(つまりどんどん難しくなる)。最終問題に至っては、正解の選択肢を選んだ人が8%、という問題が出てきます。

この正答率の表記を参考にすると、苦手な分野が分かりやすくなると思います。つまり、モニターの正答率が高いのに間違ってしまったならば、その分野は勉強が特に足りない可能性があります。逆に、正答率が低い問題で正解を選べたなら、その分野は理解が進んでいる、という判断が出来るかもしれません。

と言う感じで、この本にはたくさんの仕掛けが含まれています。難問がただ羅列されているのではなく、いろんな角度から問題をこなす構成になっていました。消去法が使えない問題は、特に語法を身に付けるために有効だと感じました。本文に書いてあるのですが、「正解の根拠を他人に説明できる」レベルになってようやく、「語法」問題に自信を持つことが出来るのです。「なんとなく正解を選べる」以上の実力を、この本は学習者に求めています。

少なくとも、向かうべき方向は良く分かりました(果てしない道のり)

TOEICの講師の先生で、毎回満点を取っているような方がいらっしゃいます。恐らくそういう方々は、「語法」の知識をかなり網羅しているのではないか、とこの本を終えて思いました。英語学習で暗記すべきことは「語彙」だけではなく、「語法」もある、という事が明確になりました。

TOEICの満点を目指す場合、まさにここを、少しずつ積み重ねて行く必要がありそうです。英語の実用性や学習の効率を考えた場合、「語法」は、そこまで追い求めるべき部分では無いかもしれません。ただ、私は趣味で英語の勉強をしていますので、今回、勉強の明確な指針を得られたような気がして、大変ためになりました。そして、その果てしない道のりに少し呆然としつつ、妙なやる気も生まれています(まさにやりこみゲーム)。