英語学習は難易度が高いが、大人のためのやりがいのある趣味になる

勝間和代さんの動画を見て、趣味としての英語について考えさせられた

私は、有名な作家の、勝間和代さんYOUTUBEチャンネルをよく見ています。とてもためになるのでおススメなのですが、最近、以下のような動画がアップされました。

内容を軽く、まとめてみます。

英語と日本語は言語の距離が遠いため、日本人が英語を習得しようとすると、大きな困難を伴う。実用性の面から言うと、英語学習はコスパが良くない。勝間さんはかつて外資系の会社に務めていた時に、すごく苦労をして、10年ぐらいかけて英語を習得した。なので、本当に必要な人にしかオススメできない。ただし、趣味でやる人は止めないが。

という感じでした。

この勝間さんの意見は正しいと思います。ヨーロッパ、南米など、言語にアルファベットを使っている人に比べると、我々日本人は英語を習得するために、ものすごい時間をかけなければなりません。ですので、安易に手を出すと時間とお金の無駄になるかもしれません。この勝間さんの意見を聞いて、英語をあきらめたという人がいてもおかしくないし、それはそれで正しい判断だと思います。

ただ、私は趣味で英語をやっているので、ちょっと別の視点から、この意見について感じるところがありました。

そもそも困難でないと、趣味として成立しない

英語を仕事の道具として考えた場合、その習得コストが実益に見合わない、というのはあるかもしれません(特に日本語ネイティブの大人にとって)。ただ、英語学習を実用性抜きの趣味として考えた場合、この難易度の高さはメリットになりうると思います。

というのも、英語と日本語の言語距離を実感できるのは、日本語ネイティブか、日本語を学習している英語ネイティブだけです。これはある意味特権です。そして、趣味の世界では、自分が出来なかったことが出来るようになる、その達成感が楽しさであり、継続のモチベーションにもなります。その難易度が高いほどやりがいが生まれ、達成感も高まる傾向があります(脱落者も生まれるけど)。

ここで私が思い出したのが、ビデオゲームにおける「死にゲー」というジャンルです。この言葉は、古くはファミコンの「魔界村」のような、めちゃくちゃ難しいゲームを指します。

魔界村は30年以上前のゲームなのですが、現在、最新のゲームでも「死にゲー」が流行っています。

死にゲー」というゲームの面白さは、何度も何度も失敗を繰り返したあとに、ついにボスを倒して達成感を得る、というところにあります。その失敗は、次の戦いに生かされもします。人々はその作業を繰り返し、ゲームをクリアするために、ものすごい時間を費やしています。

私は、英語学習が「やりこみゲーム」であるという意見を持っているのですが、この「やりこみゲーム」と「死にゲー」は意味的にかなり近いものがあります。誰にも求められていないのに、自分で勝手に設定した、厳しいゴールを延々と追及するのが「やりこみゲーム」です。

基本的には誰も褒めてくれません。動画配信をしているYOUTUBERの方々は、視聴者に褒めてもらえますし、収益も得られますので条件は異なります。ただ、これらのゲームは、配信者ではない普通の人にも、現在とても人気があるのです。

ゲームをクリアをしても、実生活では何も得られません。基本的には時間の無駄です。だったら、簡単で楽しいゲームをやれば良い、と思うかもしれません。しかし、それではやりがいが無いのです。ゲームが好きな人たちにとっては、厳しい難易度が、楽しさの源泉なわけです。達成感はあくまでも個人的なものなので、自分が費やした時間や苦労に比例します。

そう考えると、英語学習がこれだけの人を引き付けているのは、これが優秀な「やりこみゲーム」であり「死にゲー」であるから、という要素もあると私は思います。

一般に、言語を学ぶ場合は、外国の人とコミュニケーションを取ったり、ビジネスをするため、という実用性が動機として挙げられることが多いです。しかし実際のところ、日本人のほとんどが、日常的には英語を使っていません。英語が得意だったとしても、それで実益を得ている人の割合は、恐らくかなり低いはずです。ですのでこれは、ビジネスツールというよりも、趣味という意味合いが強いのではないか。そう私は思っています。

実用性と趣味を混ぜ合わせるから、話がややこしくなっている

これは偶然なのか、意図したものなのか、勝間さんも上記の動画の後に、別の動画で趣味の話をしています。

勝間さんは、ゴルフ大型バイクが趣味だそうです。これらの趣味も、傍目から見ればやらなくてもいいこと、という風に考える人が結構いると思います(難易度の高い趣味なので)。またこの動画では、遊びを通して学習しよう、そうすれば楽しく学べる、という風に勝間さんがおっしゃっています。ここら辺の表現が、さすがに上手いなー、と私は思いました。

ゴルフも大型バイクも、全く簡単な遊びではありません。趣味として始めてみても、ほとんどの人がすぐに辞めてしまう可能性が高いと思います。つまり、本気でやる趣味は、楽しいだけではないのです。困難が伴ってこそやりがいがあるし、達成感も得られます。辛くても継続しなければなりません。この趣味における辛さは、多くの人が見過ごしてしまうポイントだと思います。

小さな喜びを得るために、簡単な遊びを選ぶのか。それとも、本気の趣味を見つけて大きな喜びを得るために、困難を味わう覚悟をするのか。もちろん個人の自由なのですが、本気の趣味で得られる喜びは、多くの場合、困難を乗り越える価値があるはずです。また、人生を豊かにしてくれると思います。しかしそれを他人に勧めるのは、非常に難しいことだと思います。

英語学習で挫折してしまう人が多い原因は、まさにここにあると思います。ビジネス用途で英語が必要な人は、恐らくちゃんと勉強するでしょう(そして学習自体は、どこかで切り上げるはず)。しかし、それ以外で英語を趣味としたい人には、これは「死にゲー」であり「やりこみゲーム」であることを伝える必要があると思います。また、英語のビジネスにおける実用性と、趣味としての英語学習は分けて考えるべきです。これらが混ざって語られるケースが多いので、話をややこしくしていると思います。

私個人としては、趣味としての英語を強くお勧めします。学習初期は特に困難が伴いますし、日常生活やビジネスでの実用性は期待できません。ただ、やっていてめちゃくちゃ面白いし、試験や目標スコアを突破したときの、達成感も半端ないです。

また、SNSやブログ、映像配信によって、経験を共有できるのは、現代に生きる人のメリットだと思います。「死にゲー」や「やりこみゲーム」をやっていると、時々心が折れそうになる時があります(しょっちゅうかも)。英語学習が孤独なゲームであることに変わりはないのですが、お互いに励ましあいながら、趣味を続けることが出来るのは有難いことだと思います。