パブリックドメインを使うとコスパ良く英文の多読が出来るのでオススメ(無料も多い)

最初はめちゃくちゃ簡単な本からはじめよう

英語の勉強法の一つとして、多読を勧めている方がけっこういらっしゃいます。私は小説を読むことが好きなので、英語を勉強するにあたって英語の小説も読めるようになりたいな、と思っていました。ただ、日本語の小説を読むように文章を味わうレベルに達するのは相当難しいだろうな、とも思っていました。 多読のやり方を調べた所、

「最初は簡単な本を選ぶこと」 「わからない単語は辞書を引かないで飛ばし読みすること」 「読んでいる本が面白くないと感じたら、他の本へ移ること」

以上が多読の基本、という感じでした。一応それらに従って、私は多読の勉強を始めることにしました。

恐らく英語初心者の方が多読を始めると、語彙が無いので簡単な本でもまったく意味がつかめない、という状況に陥ると思います。そして、飛ばし読みをすると、大抵の本はつまらなく感じてしまうと思います。初心者向けの語彙制約本は簡単に書かれている分、味わい的なものは期待しようもありません。というわけで、多読を苦痛に感じてしまう人も多くいると思います。そこで、下記のビッグ・ファット・キャットシリーズの本がおすすめです(全7巻)。英文法入門の本としても有名なシリーズです。

このシリーズは、英語の下に日本語のルビが適度に入っていて、多読の導入には良いと思います。いきなり英語だけの本を読むというストレスを軽減してくれると思います。シリーズが進むごとに、難易度も少しづつ上がって行きます。なので、無理なレベルになったら少し止めたりして読んでいくのもよいかもしれません。イラストは可愛いですが内容は少し大人向けです。

他に、左側に英語、右側に日本語みたいな対訳本もあって、多読の導入には良いかもしれないですが、これらは多読というよりも精読の領域になると思います。細かい意味は取れなくても、大量の英文に触れるというのが、多読のコンセプトかと思います。

パブリックドメインで子供向けの古典文学を読むのも有り

多読用の語彙制約本は結構値段がはります。中身が薄いのに、普通の本並みのお金を払うのは、ちょっと虚しい感じです。 なので、私は著作権切れの過去の名作を結構読んでいます。例えば「小公子」とか「ハイジ」とかです。日本語訳が出ていて、さらにアニメにもなっているので、英文が読めなくても、記憶でストーリーを補完できます。

あらすじ知った上で英文を読めるので、モチベーションを維持しやすいです。アニメしか見たことがない方は、特に発見が多いと思います。 無料で読めるので、つまらない場合に読み捨てても気になりません。100年前とかの本なので、英文も古いのでしょうけれど、そこらへんの詳細はわかりませんでした。私はハリーポッターも読んだのですが、年代の違いをあまり感じませんでした。たぶん、違いを感じる能力がまだ無いのだとは思いますが。

上記が英語のパブリックドメインを集めたサイトの一例です。キンドル用や、その他の形式でダウンロードが可能です。特に登録や支払いは必要ありません。

多読の道具としておすすめなのがアマゾンのキンドルです。

キンドルに和英辞書を入れると、タッチするだけで意味が引けます。飛ばし読みをしていても、どうしても知りたい単語は出てきます。ただ、いちいち調べていると全く進まないので、この加減は各自が調整する必要があります。kindleには値段や機能の違ういくつかのバージョンがあります。購入を検討される場合、よく調べてご自分の環境に合うものを買って下さい。大型の電気店に行けばたいてい実物が置いてありますので、それに触ってみてから買うのも良いと思います。

初学者向けのおすすめ小説

最後に私のおすすめの本を少し紹介します。

TVシリーズがかなり有名 (上記はkindle版)

大草原の小さな家シリーズ(全9巻)Little house on the prairie

私と同年代以上の方ならば、NHKでやっていたドラマシリーズを覚えている方も多いと思います。アメリカ西部開拓時代の家族の、苦労や喜びを描いた作品です。これはまだパブリックドメインになってないですが、買って読む価値はあると思います。翻訳は図書館に高確率であると思います。

主人公は家族の次女のローラで、この人は実在の人物です。彼女が晩年に昔を思い出して書いたのがこの一連のシリーズで、ほぼドキュメンタリーのような感じで話が進みます。 この本はアメリカの小中学生にも人気だそうで、特に女の子の必読書だという記事を読んだことがあります。

アメリカ人のルーツを探る本でもあるし、昔の人がいかにギリギリの環境で生き延びて、今の私達がいるのか、ということが痛感できます。生き延びるためには技術も必要ですが、それ以上に運が必要。何度も家族は死にかけますが、立派なご両親と子どもたちが力を合わせて、楽しく生きようと努力します。これがドキュメンタリーなのだから、凄まじい説得力があります。

英語自体は前述の通り、アメリカ人の小中学生向けで、そこまで難しくないです。とはいえ、語彙的には結構レベルが高いです。なので飛ばし読み必須ですが、作品の雰囲気は掴みやすいと思います。原作を読んだ方、テレビシリーズを見ていた方は、ぜひ挑戦してみてください。

パブリックドメインのサイトに無料版もあります。(上記はkindle版)

赤毛のアン Anne of Green Gables 

翻訳が有名ですし、アニメにもなっています。内容を知った上で原作を読めばわかりやすいです。ただしこの本は児童向けというよりも、文学作品といった感じなので、難易度はかなり高いです。特に風景描写で見慣れない単語がたくさん出てくる印象でした。文法も複雑です。

一方で、話の内容は非常に面白いです。主人公のアンのキャラクターがぶっ飛んでいて、英文が難しくても、雰囲気でそれを味わえると思います。孤児のアンが里親のマシューに出会って、馬車の中でマシンガントークが炸裂するところ。ここで読者はハートを鷲掴みにされるはずです。ハイジもそうなのですが、主人公の強烈な個性は時代を経ても色褪せないし、読む人を魅了し続けるだろうと思います。

私はこの原作が非常に気に入ったので、学習の各段階で繰り返し読みました。初めて読んだのが学習2年目で、本文の理解度が20%くらい。3年目で40%。4年目で60%。6年目で80%というところです。少しずつ風景が明らかになっていく感じで、学習の手応えも感じられたので、複数回読むのも悪くなかったです。それだけ原作が面白い、ということだと思います。

人気があるので、古本で安く手に入る可能性が高いです。(上記はkindle版)

映画で有名なイギリスの児童文学。内容は結構難しいとは思いますが、翻訳も出ていますので、飛ばし読みをしても話が解らなくなることは無いと思います。これはあくまでも私の印象ですが、本の作りがラノベに少し似ているような気がしました。とてもキャッチーで、王道な感じです。なので英文の難しさはあるのですが非常に読みやすいです。

スラングや造語が多いらしいのですが、そもそも飛ばし読みをしているので、細かいことは気にしなくてもいいです。楽しく読めると思います。私は翻訳は未読で、映画は見たけれど、ありきたりな感じがしてあまり好きではありませんでした。しかし、原作はかなり楽しんで読めました。物語の作り方が非常に上手いと思います。展開が読者を裏切らない感じで、そこが私がラノベっぽいと感じた所以です。

読者の語学力が未熟だとしても、作品が素晴らしければ楽しめるという事を、私はこの本で知りました。なので、面白そうな本だと思ったら、レベルはあまり気にせずに一度手にとって見るのも良いと思います。どうしても無理だったら後回しにすればよいだけです。

こちらもパブリックドメインに無料版有り。(上記はkindle版)

アニメが有名なあのハイジです。原作はドイツ語らしいですが、英語版も出ていて、パブリックドメインです。これを読むと、アニメ版が相当時間が引き伸ばされていたのだ、ということが分かります。ハイジもアニメほどエキセントリックではなくて、落ち着いた感じです。変な言い方ですが、アニメ版に比べると、素朴なハイジという感じがしました。

クララが立つまでそんなに待たされることもなく、シンプルに話が進んでサクサク読めます。さんざんアニメを見ているので、原作はどうなっているんだろう、という興味で読み進めることが出来ました。ちょっとペーターの立ち位置が違うな、とか、発見があって面白かったです。

ハイジと同様に、日本でアニメ化された古典文学の多くをパブリックドメインで見つけることができます。小公子、小公女、秘密の花園、オズの魔法使いなどなど。パブリックドメインのサイトでさがしてみてください。ちょっと宝探しみたいで楽しいです。ただし、難易度はそこまでやさしくないので、ストレスを感じないように気をつけて下さい。

多読の効果はどの程度?

私は学習8年目ですが、赤毛のアンは未だにスラスラ読めません。単語が15000語では到底足りない感じです。キンドルを使えば単語の意味は調べられますが、植物の名前などは特に難しく、飛ばし読みしています。ただ、たくさん本を読めば読むほど、リーディングに対する抵抗感は減っていくと思います。また、部分的に読めなくても小説は楽しめます。特に、アニメや翻訳が出ているものはストーリーを知っているわけですので、抵抗感が少ないと思います。また、良い勉強にもなると思いますのでチャレンジしてみてください。最初のうちは文法も特に気にしなくて大丈夫です。じわじわと分かってきますので。

多読はあくまでメインの勉強ではなくて、楽しむぐらいのスタンスで、気軽にやるのがおすすめです。完全に読み解く必要はないので、難しい文章にあたったときにストレスを感じないようにして下さい。初学者の方にとっては、まずは英文に慣れるという意味で数をこなすと良いと思います。語彙制約本もたくさん出ていますので、本屋さんで見てみるのもおすすめです。ただ、ちょっとコスパが悪いとは思いますが。