英検1級対策を始めるまで、英作文はノータッチだった
私は英検1級を受けるまで、全く英作文の勉強はしたことがありませんでした。学生時代にも英作文の授業は無いに等しかったです。私が受験した大学の入試問題にも、英作文は無かったために、勉強をする必要が有りませんでした。20年以上前の受験事情はあまり覚えていないのですが、かなり難しい大学か英文科などしか、英作文を課さなかったような気が……するけどどうだったんだろう。当時、英作文はかなり難しそうだな、という印象だけを持っていました。
そして、35歳でやり直し英語を始めた後も、当初はTOEICを目標に勉強をしていたため、スピーキングとライティングには全く手を付けていませんでした。さらに私は、森沢洋介先生の「英語上達完全マップ」を参考にして勉強を続けていました。この完全マップには英会話と英作文に該当する部分が、なぜか存在しません。独学には厳しい分野、という判断なのでしょうか。たしかにそうかもしれない。
ただ、完全マップが作られた時代とは違って、現在ではオンライン英会話や、英作文の添削サービスが充実していますし、値段もそこまでしません。なので、独学でも対応可能な時代になった、と考えてもいいと思います。
というわけで、今思えば、最初から4技能(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)をバランス良く勉強したほうが良かったかもしれない、と思っています。というのも、英検1級を受験するために、ライティングとスピーキングの勉強をしたところ、それが他の分野にも良い影響を及ぼすことがわかりました。スピーキングに関しては以前に書いたので、よろしければそちらを御覧ください。
スピーキングとライティングの勉強は両立する
英検1級の最難関は、英単語の暗記だと思います。これをまずクリアしてから他の勉強をしようと私は思っていました。そして苦労して15000語の暗記を一応済ませた後、スピーキングとライティングの学習にようやく取り掛かりました。それが、英検1級の1次試験の7ヶ月前です。
いろんな本や先生の意見を参考にしたところ、スピーキングとライティングの勉強は両立出来ることが分かりました。なぜかというと、2つともアウトプットの分野だからです。頭の中に蓄えた英語の知識を使って、外に情報を出す、ということです。一方でリーディングとリスニングは、基本暗記なので、インプットの分野になります。
ただし私の場合、アウトプットをするために、まずはそのためのインプットが必要でした。もちろん、それまで勉強してきて英語の知識はそれなりにあります。ただ、人とコミュニケーションを取ったり、文章を作るための英語の情報が、著しく足りなかったのです。ですので、参考書を使って、例文を暗記するところから始めました。書籍などはスピーキングの記事とかなり重なっています。
まずは有名な「ドラゴン・イングリッシュ」です。100個の例文を瞬間英作文で暗記しました。
次に英検1級受験者には有名な「英検1級 面接大特訓」です。この本の「第2章 短文練習」にある58個の例文を瞬間英作文で暗記しました。
さらには、これも英検1級受験者の方には有名だと思いますが、「最短合格! 英検(R)1級 英作文問題完全制覇」を使いました。この本は特にオススメです。
英検1級の英作文で出てくるであろうトピックが網羅されており、それがジャンル別に小分けにされています。また、その小分けされたパーツを組み合わせて構成された模範解答が、本の後半にまとめられています。一見、使い方が難しいと思うかもしれません。例えば、暗記をするには分量が多すぎます。実を言うと、私は当初意気込みすぎていて、本の後半にある模範解答を30個ぐらい暗唱しようとしました。実際、15個ぐらいは暗唱したのですが、忘れるスピードが早すぎてあまり効果がなかった印象です。覚える量が多いので、反復する余裕もなくなってしまいました。
それよりも、この本を部分的に音読をしたり書き写すことによって、トピックに対する英語の知識を少しずつ増やす、みたいな感じで使うといいと思います。自分の知識にストックの無いジャンルの英作文を書く時に、この本から少しずつ文章を借りてくる、みたいな使い方もオススメです。その繰り返しによって、書けることがゆっくりと増えていくはずです。例文がたくさん収録されているので、話の展開の仕方や、導入や結論のバリエーションも増やせるでしょう。
さらにこの本の良いところは、文章が難しすぎない、というところです。世に出回っている英検1級の英作文の模範解答は、レベルが高すぎて参考にならないものが多いです。それより、中学英語ぐらいでなるべく点数を取る、みたいなコンセプトの本の方が、たいていの受験者には有り難いはずです。そういう意味でいうと、同じシリーズの準一級対策の本も、かなり使えると思います。本屋さんで見てみた感じ、かなり良さそうでした。(かなり迷ったけど、試験まであまり時間が無かったので私は買いませんでした)
最初の3ヶ月ぐらいは、文章を書こうとしても筆がなかなか進まずに、かなり不安でした。ただ、上記の本で知識を増やし、練習を重ねて、自分が使いたい表現を増やしていった結果、徐々に文章がつながるようになって行きました。本番では25分で200ワード強ぐらいの文章を書くことが求められています。この時間と、文字数を感覚的につかむためにも、大量の練習が必要になります。
私は毎日45分ぐらい英作文の勉強をやって、半年ぐらいたってようやく、25分で200ワードを、安定して書けるようになりました。一次試験まで残り1ヶ月なので、結構ギリギリでした。
つまり、アウトプットを今までやってこなかった方は、外に言葉を出すことに慣れる必要があり、それにはある程度時間がかかる、ということを想定して置いたほうがいいと思います。私の場合、同時にオンライン英会話でスピーキングの勉強をすることで、英作文で書けることも増えていきました。相乗効果があるので、スピーキングも同時にやるのがオススメです。
スピーキングもライティングも、最初のうちは全く言葉が出てこなくて焦るとは思いますが、徐々に慣れてきますので、地道に勉強を続けてみてください。そのうち、そこまで苦労せずとも言葉が少しずつ出てくるはずです。
英検1級のライティングには型があるので、それを習得する
時間をかければ、英作文は書けるようになります。私も初めはかなり心配していたのですが、そこまで恐れる必要はありませんでした。ただ、いざ書いてみようと思っても、初めは特に筆が進まなくて困惑すると思います。慣れていないので当たり前かもしれませんが、なにか、書き始めるための取っ掛かりが必要です。実はそのための文章の型が存在します。英検1級の英作文には求められている形式というものがあり、それに従って書くと良い、と言われています。
簡単に書くと、
①導入 ②本論1 ③本論2 ④本論3 ⑤結論
というように、5つのパートに分けて書きます。詳細に関しては、たくさんのサイトや先生がたが、ネットや書籍で詳しく説明してくださっているので、ここでは控えたいと思います。ですが、私はこの型を極力単純化することによって、なるべく楽に書けるようにしました。その内容だけ、少しご紹介したいと思います。
ここでは仮にお題が
「Should children be allowed to use social networking services?」
(子供たちにソーシャルネットワーキングサービスを利用させるべきか)
だったとします。本番では肯定か否定の立場を自由に選んで、文章を書くことになります。
まず、①の導入です。
There has been a lot of discussions and debates on the issue of お題 all over the world. Although 反対意見もある, I am convinced that お題 for the following three reasons.
(世界中で「お題」の問題について、さまざまな議論や検討がなされています。「反対意見」もありますが、私は③つの理由でお題だと確信しています)
このフレーズを必ず導入に使うことにしました。テーマに対して「お題」と「反対意見」の部分だけ、変えればいいわけです。お題に対して賛成でも反対でも、同じように使えます。
次に②③④の本論3つです。これはそれぞれ、冒頭に②First③In addition④Finallyを使うことに決めていました。決めておけば、時間の節約にもなります。
さらに、この本論でほぼ必ず使うフレーズも3つ決めていました(使う順番は適宜調整します。
1つ目
A recent study in Europe has shown that お題に関する情報
(最近のヨーロッパでの調査によると~)
このフレーズはかなり汎用性が高いです。これは作文の問題なので、実際にヨーロッパで調査があったかどうかは、事実が無くても、嘘を書いても全く問題がありません。ですので、例えば今回のお題に対しては、「子供のSNSの利用が急激に増えていることがヨーロッパの最近の調査で分かりました」などと使うことが出来ます。
2つ目
It is widely pointed out that お題に対する情報
(ということが広く指摘されています)
これもだいたい何に対しても使えます。「子供がSNSでいじめにあっていることが、広く指摘されています」みたいな感じ。
3つ目
Many people say that お題に対する情報
(沢山の人が言っています)
これも使い方は同じです。「子供のSNSの利用は、学習の妨げになると多くの人が言っています」みたいに。
最後に、⑤結論の部分の表現も固定しました。
For the three reasons mentioned above,(1つ目),(2つ目), and (3つ目), 私の意見
(上記の3つの理由により、「理由の繰り返し1,2,3,」で私は賛成・反対です)
このようにすると、文章のかなりの部分がすでに決まっていることになり、心と時間に余裕が生まれます。本番で考えるのは、そのスキマをいかに埋めるか、ということになります。まあ、それが大変な訳ですが、日々の勉強でスキマを埋めるパーツをがんばって増やしていきましょう。例えば、for exampleとか、thereforeとか、due toとか、簡単な表現でも多くストックすればするほど、文章が書きやすくなっていきます。繰り返しになりますが、素材を増やしてそれをアウトプットする過程は、スピーキングとライティングでほぼ同じ、なので同時進行で勉強するのがオススメです。
ということで、かなり駆け足でしたが、私の英作文の書き方を少し紹介させて頂きました。かなりシンプルな型を使っているので、英作文の点数がどうなるかな、と思って当初は心配していました。ただ結果として、本番で30/32で点数が取れたので、そこそこ有効な方法だと思います。
おまけ:英作文の参考になるサイト
英文を添削してくれるサイトがあります。この使い方に関しては、また、まとめを書きたいと思いますが、とりあえずご紹介します。
上記のサイトではAIが英作文を無料で添削してくれます。さすがに、内容の評価まではしてくれませんが、文章のわかりやすさや、文法・語彙レベルなどを、点数付きで評価してくれます。さらに、英単語のスペルミスや、冠詞の付け忘れ、つけ過ぎ、カンマの付け忘れ、複数形と単数形の間違い、動詞の時制の間違い、などを瞬時に訂正してくれます。ちょっと多機能すぎて、私は基本的な機能しか使っていません。
ある程度文章が書けるようになったあと、私はこれらのサイトに自分の文章を放り込んで、基本的な事項についてチェックしてもらっていました。間違った箇所は、理由を確認しつつ、次に活かすようにします。そのようにして細かいミスを減らすことが、点数につながると思います。ちなみに、有料で英語の先生に添削してもらうのも良いとは思いますが、AI添削は無料な上に時間の効率が圧倒的に良いのでオススメです(一瞬で添削結果がもらえる)。
こちらは有名な翻訳サイトのDeepLです。これも英作文の勉強にかなり使えます。自分の英文を放り込むと、日本語の翻訳が瞬時に出てきます。それを確認して、伝えたい表現が英語で書けていたのか、正しかったのかどうかを確認できます。また、自分の英文を日本語に翻訳したものを、再度英語に翻訳し直してもらうと、DeepLによる模範解答を得ることができます。それとオリジナルの自分の英文とを見比べると、たくさんの気づきがあると思います。
上記の添削サイトとDeeplを組み合わせて使ってみたりと、使い方には工夫の余地がたくさんあるので、いろいろ試して見てください。