elsa speakで出来ない事と、今後AIに期待される発音学習の未来とは

elsa speakは発音の判定のみにAIを利用している

私は現在、発音学習アプリであるelsa speakを約10か月ほどやっています。

総合スコアが現在92%で、それなりの上達を感じています。何度もご紹介していますが、このアプリを使えば、独学者でも発音学習を効果的に行う事ができるので、かなりおススメです。

ただ、AIの進化が話題になっている現在、elsa speakの能力が時代遅れになる可能性を私は感じています。というのもelsa speakには「単体では発音学習が完結しない」という問題があって、その部分は長い間全く改善されていないからです。

学習者の発音を「AIが正確に判定してくれる機能」がelsa speakの最大の強みです。しかし、それ以外のサポートに関しては、昔ながらの発音学習本とほとんど違いがありません。つまり、間違った発音をどのように改善すればよいのか、という事に関しては、学習者が自力で頑張るしかないのが現状です。

今後は、この「間違った発音をどのように改善すればよいのか」の部分も、AIに是非手伝って欲しいところです。それが、発音学習にまつわる、アプリ・システムの次のステージだと私は考えています。もしelsa speakが、今後もこの点をアップグレードしないならば、もしかしたら他の優秀なアプリが現れて、シェアを奪われる可能性があると思います。

学習者がかなり工夫をしないと、正しい発音にたどり着けない

学習者の間違った発音と、正しい発音の間にどのような違いがあるのか。舌の位置が違うのが問題なのか、息の量が足りないのか。それとも、音の長さが長すぎるのか、短すぎるのか。独学者がelsa speakを使って発音学習をする場合、それぞれの学習者が試行錯誤する必要があります。

具体的な例を出して説明します。最近私は「full」という単語の発音で苦労をしました。elsa speakは、

full [ˈfʊɫ]

「赤で示すこの部分が正確に発音できていません。だからこの単語の正解率は65%です」という情報を私に与えてくれました

これがelsa speakの最大の利点なのですが、ある意味、ここでアプリの役割は終わってしまっています。一応アプリ上で、口の形や舌の位置の説明はあるのですが(ネイティブが教える動画も参照できる)、簡素であまり役に立たない事が多いです。私の場合、教えられたとおりにやったつもりでも、合格点が取れないケースがほとんどです

そもそも「教えられた通りにやる事」が簡単に出来ないので、発音学習に苦労しているのです。elsa speakは、学習者が「教えられた通りにやる事が出来たのか」を判定してくれる意味で画期的です。ただ、その先の学習を助けてくれる機能がまだありません。結果として私はこの後、自力で「full」の正しい発音方法を探すための旅に出ることになります(ネット上で)。

正しい発音を求めて、ネットをさまよった具体例

「full」の正しい発音方法を探すために、まずは私が良く使っている以下のサイトへ行きました。

このサイトの良い点は、カタカナ発音で正しい発音を教えてくれることです。検索に「full」を入力すると「フゥル」というカタカナの結果が得られます。加えて、そのカタカナ発音をいかにして出せばよいのか、詳しい口と唇、息の使い方の説明が出てきます

ただ、このサイトの情報だけで、elsa speakの合格点に達する事は滅多にありません。当たり前ですが「フゥル」というカタカナが、100%正しい発音を表しているわけではないからです。また、カタカナの発音の仕方も、個人差があるはずです。サイトでは機械音声も再生できるのですが、これをelsa speakに聞かせても、合格点が取れない事が多いです。

このサイトの情報は、あくまでも一つの参照元として使うべきです。なんらかの手がかり・きっかけを得られたらラッキー、ぐらいの意識で私は使っています。

次に、個人ブログやyoutubeを参照しました。まずは「full 発音」という検索ワードで出てきたブログを、片っ端から眺めて行きます。よさそうな発音方法や、アイディアを見つけたらelsa speakのAIに対して実践して、合格点の変化を観察します。

今回は、以下のサイトを参照させて頂いた結果、特に役立ちました。

『full』を短く発音しないと『fool』 に勘違いされてしまう」という情報のおかげで、「短めに発音した方がよさそう」という事に気が付きました。

加えて、以下の動画も役立ちました。

ネイティブの方の口と唇の形を詳細に確認できたので、これを実践してみました。かなり思いっきり下唇を噛んでから、大げさにL(エル)へ移行すると、elsa speakが高確率で高得点をくれるようになりました(これにてネット上の旅、完了)。

ネット上の修行の旅は、将来的には不要になるはず

以上、私が「full」の発音で合格点を得るまでを、具体的にご説明しました。「full」は基礎的な単語ですので、参照出来る有益な情報が多かったのも良かったです。ただし、基礎的な単語だったとしても、難解なものはたくさんあります(例えばwouldとかearlyとか)。今回はかなり運が良かったケースで、明確な答えが見つからない事の方が多いです

また今回のケースでは、ネット上で有益な情報を得て、正解にたどり着くまでに10分以上はかかっています。上手く行かなかったり、細部にこだわると、もっと時間がかかります。ですので、これをすべての単語でやることは出来ません。結果として、発音学習にはかなり時間がかかっています。私がelsa speakを10か月やっても、先が長いと感じる理由がここにあります

ただし一方で、情報を収集する過程は、今後AIが肩代わり出来るはずだと思っています。今回、有用だった情報は、

短めに発音した方がよさそう

大げさな口の形の具体例(動画)

だったわけですが、これをAIが瞬時に提供してくれれば、かなり時間の節約になります。また、AIは個人に合わせた、オーダーメイドのサポートが出来るはずです。

今回の情報は、あくまでも私個人が、合格点を得るために必要だったものです(共通して利用できる部分は大きいが)。同じ単語の発音に取り組む場合でも、それぞれの学習者がつまづくポイントや必要な修正点は異なるケースが出てくるはずです。ですので、AIが情報をカスタマイズして、個人に最適な物を提供できると理想的です

AIが学習者の発音を聞いて、その正確さを判定するのがelsa speakの画期的な点です。ただ今後は、発音を矯正する段階にもAIを活用して欲しいところです。それが出来れば、より効率的に発音学習が出来るようになるはずです

elsa speakの中の人も気が付いているとは思う

現在、ChatGPTやBingのようなAIが現れて、その能力に多くの人が驚いています。これを今後、どのように利用していくのか、様々な試みがされているはずです。当然、elsa speakの開発をしている方々も、進化したAIの、なんらかの利用を考えていると思います。

今回想定したように「個人に合わせた情報」を「瞬時に、分かりやすく提供する」事を、AIが実現してくれたら有難いです。今後はAIの活用が活発になって、競争も激しくなるでしょうから、elsa speakの対抗馬が出てくる可能性も高いと思います(利用料金も下がると嬉しい)。

発音学習の敷居が下がれば、英語学習を楽しく継続出来る人も増えるはずです。学習者にとって、理想的な環境が生まれてくれる事を願っています。また、新しい物が出来たらぜひ試して、レビューをしたいと思います。