アウトドアと英語学習は挫折のしやすさが似ている

始めやすくて挫折しやすい二つの世界

前回は「英語学習」と「剣道」を比較したのですが、この比較シリーズをずっと続けようと思っているわけではないのです(少しだけ思っている)。

ただ、7年間英語学習を続けてきた中で、この世界をいろんな視点から見てみたら面白いかもな、という気持ちを持つようになりました。英語学習は狭い世界のように見えて、実は「やりこみゲーム」として、他のジャンルとかなり共通点があります(スポーツ、楽器など)。また、一種のブームとして定期的に盛り上がる感じは、何かのビジネスと似ているような気がします。

英語学習は人気があって多くの人が手を付けるけれど、挫折もしやすいジャンルです。その感じを初心者の方に伝えるためには、直接的に英語の話をするよりも、他のメジャーな話題を通して説明したほうが分かりやすいだろうし、興味を持ってもらえると思います。

というわけで、今回も特別の根拠はないですが、アウトドアの世界を通して、英語学習の挫折しやすさを説明してみたいと思います。無理やりなのは覚悟の上。

ちなみに、なぜ今回、比較対象にアウトドアを選んだのかというと、私が実際に継続することに失敗し、散財もしているジャンルだからです。

テントを買ったけど一度も使っていない人がいます

テントを買いさえすれば、キャンプに行く気持ちが盛り上がると思っていました。ものすごく時間をかけて徹底的に調査をして、機能的に優れている上に、格安のテントを私は購入しました

有名ブランドのジェネリックみたいなテントです(つまりコピー商品)。アマゾンから商品が届いて、家の庭で試しに一度設営してみました。中に入って「なかなか快適そうだな」と思ったのが約4年前。それ以来、このテントは家の倉庫にずっと眠っています

教訓。一念発起するのと同時に、道具一式を揃えるのはやめましょう。それよりも、まずは少しづつ、小さなアイテムから集めて行ったほうがいいです。テントも、最初はレンタルでいいかもしれない。キャンプもこれが初めてならば、いきなり泊まるのではなくて、デイキャンプ(お昼だけのキャンプ)から始めて、その感覚を確かめたほうがいいでしょう。この先、本当に自分がキャンプを楽しんで行けそうなのか。少しずつ、確認しながら前に進んで行きましょう。

上記の状態を英語に当てはめるのは、割と簡単な気がしませんか。最初にベストセラーの参考書を揃えて、さあ勉強するぞ! という感じで英語学習が始まります。最初にたった一冊だけ本を買う人は、相当に賢い。でも、なかなかそうはいかなくて、文法と単語、瞬間英作文、TOEICなどなど、数冊揃える人が多いでしょう。

または、オンライン英会話や、英会話スクールに思い切って入学する人もいます。それがコーチング式英会話スクールだとしたら、大金を払うことになります。その場合、挫折した場合のダメージかなり大きくなりそうです。

ですので、英語学習も小さな一歩から始めるべきです。最初は参考書を一冊、仕上げることを目標にしてみて下さい。その一冊を使って、一か月勉強を続けられるのか、どうか。自分との戦いになると思いますが、そこをやり抜いたら、ようやく次の本に進むことが出来ます。そうやって、少しずつ前に進んだほうが長続きしますし、挫折したとしても経済的なダメージを抑えることが出来ます。ちなみに、私の最初の一冊はコレでした(いにしえのベストセラー)。

難易度は高くないですし、初心者に適している内容だと思います。ただ、勉強が習慣化していないうちは、毎日続けること自体、かなりキツく感じるはずです。

この本をアウトドアの世界で置き換えるならば、安い焚火台なんてどうでしょう(2000円弱)。

これを買って、キャンプ場で焚火をしてみましょう。焚火はいいですよ。間違ってもいきなり高価な焚火台を買わないでください。魅力的なブランド物が欲しい気持ちもわかります。肉や野菜も焼きたいでしょうけど、ちょっとだけ待ってください。

上記の商品は、値段的には約10倍の差がありますが、目に映る炎の美しさに大差はありません。そしてまた、都市部にお住まいの方にとって、焚火が出来る場所を探すこと自体、なかなか難易度が高いです。そこへ電車や車で行くのに、交通費と時間もかかる。キャンプ場の入場料も、結構高かったりする。休日はそれで一日潰れます。それでも今後、この趣味を続けていけるでしょうか。ある程度の時間をかけて、小さな焚火台と過ごしてみて下さい。

英会話は基礎が無いと非効率だしストレスがたまる

以前に記事を書いたのですが、基礎が無い段階でオンライン英会話を始めると、学習の効率がかなり悪いです。

なぜならば、初心者には英会話のための言葉のストックが、頭の中に全くないからです。少なくとも、最低限の文法と単語を身に着けていないと、先生に挨拶をするだけでも苦労してしまいます。

確かにオンライン英会話には、初心者向けの教材も用意されています。ただ、それらを先生と一緒に読んでも、単語や文法はなかなか身に付きません。学習の効率が非常に悪いです。ですので、地味な作業になってしまいますが、単語と文法の基礎に関しては、座学でコツコツとやることをお勧めします。

というわけで、初心者がいきなりオンライン英会話や、英会話教室に通うのはかなり危険です。お金を払ったら、もったいないから続けるだろうという考えでは、挫折の可能性が高いと思います。実際に私は同じ考え方で、テントを無駄にしています。英会話も、全くしゃべれないとかなりストレスがたまります。結果として継続が難しくなり、無駄にお金を使うことになりがちです。

キャンプ道具をそろえるのは確かに楽しいです。ビジネスの側面からいえば、初心者が高い道具を買ってくれるからこそ儲かるわけだし、それをブームと呼ぶのでしょう。もちろん、それで満足しているお客さんに、誰も文句をつける権利はありません。ただ、キャンプを楽しむためには、高価な道具は必ずしも必要はないのです。

同様に、英語もビジネスとして考えた場合、初心者がお金を使ってくれないと、成立しない世界だと思います。ただ、英語学習こそ、初心者がお金をかける必要がないジャンルです。学習のノウハウは、ネットや書籍で無料で手に入ります。例えば私はこの有名なサイトを参考にしました。初心者の方にとって、最初の道筋はだいたい、これでいいと思います(ちょっとサイトが見にくいけど)。

むしろ本当に大変なのは、モチベーションの維持です。繰り返しますが、お金を払ったことによってモチベーションが維持されることは、あまり期待しないほうが良いと思います。

初心者がお金だけ使って、モチベーションを失うのは悲しすぎます。みんな、英語が話せるようになりたいから、学習を始めるわけです。せっかく芽生えた学習の意欲が、もっとうまく生かされるべきだと私は思います。

最初はマジで、小さな一歩から始めるのがオススメです

私の友人で、田舎暮らしにあこがれて、移住を決意した人がいました。そして1年ほど田舎で暮らした後に、暮らしにくさに耐えかねて、都市部に戻ってきました。最初は田舎にいきなり家を買おうとしていたので、周囲の人間が全力で止めました。非常に危ないところでした。

それに似ているケースで、昔、大学の友人が在学中にドイツに1年間留学しました。しかしドイツ語の基礎があまり無かったために、語学の面では大きな成長は得られず日本に帰国しました。その留学がすべて無駄とは言えないと思います。ただ、事前に日本でもっと勉強をしていれば、得られるものは大きくなったはずです。

何かを始めるときは、派手で大きな一歩を踏み出しがちです。確かに最初の勢いも大切ですが、それが長続きすることは稀です。失敗したときのダメージを抑えるためにも、最初は小さな一歩から始めてみてください。予算も、期間も目標も、最初は小さく設定するのがオススメです。