AIの判定機能は素晴らしいが、発音学習の困難さは残っている
私は現在約7か月「elsa speak」で発音学習をしております。これまでの学習の履歴やアプリの詳細については、以下にまとめてあります。
elsa speakは発音学習のハードルをかなり下げてくれますので、かなりおススメです。特に独学者にとって、以前は自分の発音を客観的に評価する方法がありませんでした。ですので、正しい発音を一人で学ぶのは、不可能に近かったと思います。
一方で、elsa speakではAIが学習者の発音を判定します。おかげで、ネイティブや専門の先生がいなくても、学習者が、自分の発音を客観視出来るようになりました。これはある意味、革命的な進歩だと思います。多くの学習者が、発音学習に関して、コストや時間をかなり短縮する事が出来るはずです。
AIはあくまでも判定しかしてくれないので、正解は自分で探す必要がある
ただし、発音学習に伴う困難さは未だに残っています。というのも、アプリのAIは、学習者の発音を判定してくれるだけだからです。間違った発音を、いかに正しく修正するか、という事までは教えてくれません。つまり、
アプリで出来る事
学習者は、単語の「どこが上手く発音出来ていないのか」を詳細に知ることが出来る
(ただし、AIは学習者の発音の評価しかしてくれない)
という事なので、学習者はそのAIの評価を利用して、
自力でやらなければならない事がたくさんある。つまり、
間違った発音を認識して、正しい発音方法を調べ、それが出来るまで練習をする。
上記の事が必要になります。
アプリ上にも学習用コンテンツがあるが、それらに特別感は無い
このアプリの存在には非常に感謝しています。ただ実際、私は今までかなり苦労をしながら、発音の練習を続けてきました。一応、elsa speakのアプリ上でも、正しい発音の方法を学ぶことは出来ます。画面上に正しい発音記号と、発音の仕方の説明が表示されますし、ネイティブが解説する、動画付きの練習用コンテンツも用意されています。
ただ、アプリ上の知識だけでは、なかなか正しい発音にたどり着けない、というのが私の印象です。AIの判定機能は素晴らしいのですが、「どこをどう改善すれば、正しい発音になるのか」という事に関しては、AIは関係していません。
つまり、発音の仕方を学ぶ状況においては、elsa speakも、他の発音の教則本や動画コンテンツと変わりがありません。それに従っても、うまく行かないケースがかなり出てきます(というか、私の場合、アプリの説明だけだとほとんど上手くいかない)。
ではどうすればよいのか。今回は、私が今までやってきた「どこをどう改善すれば、正しい発音になるのか」に対する方法をご紹介したいと思います。これらは特別な事ではなくて、古典的で地道な方法です。ただ、このアプリと組み合わせて勉強をすれば、確実に発音の学習が前に進むはずです。
AIに低評価を受けた時に、その発音を改善する方法3選
その1 サイトや動画を見まくって、自分に適した方法を見つける
これは、誰もがやっている方法だと思いますが、そのやり方を詳しく解説します。
アプリ上の説明に従って発音してみても、AIが合格点をくれない時はよくあります(特に初期は、不合格だらけになってしまう人も多いはず)。その場合、ネットで単語や発音記号を検索して、情報を集めることは有効な方法です。ブログと動画、それぞれのメリットがあります。
発音の専門家・上級者による「ブログ」
主なメリット
正しい口の形や、舌の位置を図で参照できる。
著者独自の、コツやポイントが細かく記載されている事がある。
発音に即したカタカナ発音が紹介されていて、それでうまく行くケースがある。
例:familyを「ファミリー」ではなく「ファマリ」で試そう! みたいな情報
カタカナ発音の情報を得るには、特に以下のサイトがおすすめ
ブログの場合は、目的の情報にたどり着きやすい傾向があります(動画と比べて)。自分が苦労しているポイントが明確ならば、検索ワードを絞ることによって、ピンポイントの説明をしているサイトが見つかることもあります。また、文章力が高い人のサイトが、細かいニュアンスを上手く伝えてくれる時があります。
発音の専門家・上級者による「動画」(主にyoutube)
主なメリット
正しい口の形を、正しい発音とともに実際に見る事が出来る(動画の強み)。
ネイティブが、外国人向けに説明をしているコンテンツが大量にある。
子供向けのフォニックスの動画は、説明がシンプルで分かりやすい。
私が良く見るのは、例えば以下のサイトです。
アニメが使われていて親しみやすく、説明も非常にシンプル
とにかく大量に参照して、試してみるのが早い
ポイントとしては、「ベストの方法が毎回変わる」という点と、「情報の有用性には相性がある」という点です。解決につながるコンテンツは毎回違う物になるはずです。そして、万人に有効な方法はそうそうありません。ですので、あまり一つのコンテンツにこだわらず、とにかく、たくさんの情報を参照してみて下さい。
部分的に参照できることが積みあがって、解決につながることもあります。例えば私の場合、「ブログのちょっとしたコツ+動画でみた口の形」でうまく行ったり「ブログの図を参照しつつ、動画の説明を聞く」事で前に進んだりしました。
基本的に、正解につながる方法は、簡単には見つからないハズです。例えば私は、「book」や「would」で非常に苦労をしました(今も苦労しているけど)。そこで、上記の「あいうえおフォニックス」をかなり見ましたが、それだけでは、コツはつかめませんでした。
その後、ブログや動画で少しづつ情報を集めて、トライ&エラーの結果、AIの正答率が上がって行きました。恐らく難しい発音に関しては、そのような、じわじわとした習熟の仕方が多くなると思います。
例えば「自転車の乗り方」や「口笛の吹き方」をブログや動画で学ぶ状況を想定してみて下さい。体で覚えるしかないものに関して、どの情報が有効になるのかは、人それぞれなのです。
特に独学の場合は、かなり個人差が出ます。ですので、とにかくたくさんの情報に当たって試してみる、という作業が有効です。AIは文句を言いませんので、うまく行くまで相手になってもらいましょう。
ちなみに珍しいケースですが、少しの情報であっさりうまく行くこともあります。私の最近の例をご紹介しますと、
「our」は「アワー」ではまずうまく行きません。アプリ上の発音記号が「άʊɚ」なので、「アウアー」とか「オウァー」とか色々と試したのですが、ダメでした。ですが、ネットで「アァ」で行けるという表記を見つけました(記号だと[άːr])。実際に試してみたところ、私の「our」の成功率が格段に上がりました(かなりテンションも上がった)。
そもそも「άʊɚ」が上手な方は苦労しないと思います。ただ、このようにピンポイントで正解が見つかることもあります。全部が、せいぜいこれぐらいの難易度だと、楽なんですけどね……。
その2 発音のスピードや抑揚を変えてみる
その1の方法を踏まえたうえで、アプリに対する、ちょっとしたアプローチのコツをご紹介します。私は現在、総合スコアが90%になったのですが、発音自体は87%で、流暢性も86%に留まっています。
その私が言うのも微妙なのですが、特に文章問題の時に、抑揚や全体のスピードを変えてみると、AIがガラッと違った評価を出す時があります。基本的には、お手本のスピードに合わせるのがベストだと思いますが、単語の発音を正確にしようとすると、結構ゆっくりの発音になってしまうはずです。
そこで、発音がミスだらけで点数が低いとしても、一度、スピード優先で試してみる事をお勧めします。すると、AIがずっと不合格を出していた部分に対して、合格点を出すケースが結構あります。つまり、AIが評価しているのは、発音の正確さだけではなくて、その速度や音の繋がりも含んでいるのです(流暢性の評価)。
とはいえ、スピードだけ合わせても、単語の細部の発音が適当ならば、合格点はもらえません。結局、「正確な発音+正しいスピード&リズム(流暢性)」が求められています。ただ、発音にこだわっていると、スピードやリズムを忘れがちになります。ですので、なかなか合格点が貰えずに行き詰ったときは、発音の正確さ以外に注意を払うことで、打開策が見つかる時があります。
その3 ネットで手に入る機械音声を参照し、AIにも聞かせてみる
苦手な単語、発音記号がある場合、それをグーグルで検索すると思います。例えば「absolutely 発音」で検索すると以下のように発音専用の表示がされます(単語+発音で検索するのがポイント)。
この発音の表記を試してみるだけでも、結構経験値になります。加えて、スピーカーマークを押すと機械音声が流れるので、これをelsa speakのAIに聞かせると、AIの評価を客観的に観察する事が出来ます。
基本的には上記のように、機械音声は100%に近い点数が出ます。ただ、アプリから出る機械音声とは、聞こえ方がちょっと違ったりもするので、参考になります。また稀にですが、googleの機械音声が80%以下の点数を取る時もあります。その場合は、アプリが定義している正解の発音記号が、ちょっと特殊なのか、判定がかなり厳しい可能性がありそうです(個人的に調査中)。以下はその一例です。
最後に、苦労して情報を組み合わせた結果、「ほぼ正解」にたどり着いた例
「trip」は「トリップ」では全くうまく行きません(私は30%ぐらいのスコアになる)。あるブログで「tr」が「チュリ」になるという情報を紹介していました。そこで「チュリップ」と言うと、「tr」はOKがもらえました。次に、グーグルの「trip 発音」で出てくる機械音声の「ゆっくり再生」を聞いてみたところ、私には「チュリェプ」に聞こえました。
そこで、「チュリェプ」というと、「tri」まではOKを貰えました。その後、試行錯誤の末、「pは手前にちょっと間を置いて、小さめに発音するとOKが貰いやすい」ことを発見しました。
そしてついに、「trip」は「チュリェ (プ)」で確定しました(あくまで個人の感覚ですが)。再現性が高く、何度やってもほぼ90%ぐらいは出るようになりました。
いままで方法が無かった事を考えれば、むしろ有難いと感じる
発音学習は果てしなく、かなり辛い道のりだと思います。調査や練習に時間を費やしても、報われない時も結構あります。ただ、今まで独学者にとって、そもそも信頼できる学習の方法が、あまりありませんでした。それが、このアプリのおかげで光が見えています。
英語学習は、ある意味「やりこみゲーム」だと思って私は取り組んでいますが、このアプリを使った発音学習はまさに、やりこみがいのあるゲームです。合格率が上がって来ると、楽しさもじわじわと出てくるので、是非がんばってみてください。