2023年に公式問題集6(2020年2月発行)を初めてやったレビュー

前回レビューした「公式問題集5」と結構内容が重複していますが、特徴的な違いもあります。

本試験と比べて難易度や内容にどのような差を感じたのか

私は今まで、結構な数のTOEIC模試をこなしてきています。現在の目標が満点を取る事なので、最近は難易度の高い模試をやる事が多いです。

ただ今回は、公式問題集6が中古で比較的安く手に入った(状態良が1500円)ので、やってみました。公式問題集6は2020年の発行ですので、それから約3年が経過して、現在のTOEICとの違いもあるはずです。そこら辺に注目しながら、今回はレビューをしたいと思います。

先に短く結論を述べると、

内容的に現在のTOEICと大きな違いは感じない。本番対策として今でも十分使える。ただしTEST1のリーディングの難易度が高さには注意が必要(本番を超えているかも)。

という印象でした。

現在のTOEICと難易度に差はあるが、基本は変わらない

まずは、公式問題集6の私の得点をご紹介します。

この公式問題集には模試が二つ入っています。それぞれの点数は以下の通りでした。

テスト1

リスニング   98/100 part2で1ミス part4で1ミス

リーディング  96/100 part5で1ミス part6で1ミス part7で2ミス

リーディングは時間ギリギリで見直し出来ず(公式問題集では珍しい)

テスト2

リスニング   98/100 part2で2ミス

リーディング  98/100 part5で1ミス part7で1ミス

直近でやった公式問題集5の結果と比べて、点数的にはそれほど変わりがありません。

一部を除いて、全体的に難易度は控えめでした。ただ、part2に関しては、現在のTOEIC本番で出てくるような「問題と答えに距離のある物」が含まれており、難しさを感じる時がありました(つまり良い練習になる)。また、TEST1のpart7だけは、かなり難易度が高かったです

リスニング:難易度は控えめだが、現在のTOEICと内容に大きな差は無い

公式問題集5と同様に、part1は易しめでした。一方で、現在(2023年4月時点)の試験では、part1でかなりの難問が含まれる時があります。

part2の難易度は現在の試験と大差は無いと思いました。ただし上でも述べましたが、この公式問題集6でも、問題と答えに距離のある物が出てきます。例えば、

質問:新しく採用された人は、いつから働く予定ですか?

答え:私たちの会社が、求人をしている事を知りませんでした。

上記のような受け答えの問題が「問題と答えに距離のある物」です。質問に対して答えがズレているので、現実世界ならば相手に怒られそうです。消去法で行くとこの答えを選ぶしかない、と言う解き方が必要で、これがpart2で結構出てきます。

この手の問題を解くためには、ある程度の慣れが必要です。公式問題集6のpart2でも、それがある程度練習できると思います。

part3と4に関しては、かなり聞き取りやすかったです。ただ、本番と比べて難易度にそこまで大きな差は感じませんでした。私は本番ではもう少しミスが多いですが(平均で3~5ミスぐらいはする)、それは試験会場の環境による事が多いです。家でリスニング問題を解く場合と、試験会場で解く場合では、音源の聞こえ方がかなり違います(もちろん家の方が聞き取りやすい)。

ですので、例えば公式問題集6のリスニングを、本番と同様に大学の教室などで受けた場合、恐らく聞き取れない部分が増えると思います。この点に関しては、細部を聞き取る訓練を積むしかないと考えています。たくさん聞いて、短縮部分や音の消失部分の、推測が出来るようになることも大切です。

リーディング:難易度は標準的だが、TEST1のpart7だけ難易度が高い

part5の文法問題は、本番の難易度とほとんど変わらないと思いました。私は最近、part5を重点的に勉強をしているので、解答に迷う問題は各テストごとに2~3問ぐらいです(本番や通常の模試で)。そして、ミスをする場合は「文法のルールを間違う」というよりも「語法や慣用表現を知らなかった」という事が多いです。

今回のpart5でも、ちょっと迷う物が3問くらいで、表現を知らなかったものが1問ぐらいの割合でした。それ以外の問題は基礎的な知識を問う物だったと思います。ですので、本番の練習として十分使えますし、ミスした問題は繰り返し解く価値があると思います。

part6も本番とあまり変わらない難易度でした。

一方で、part7はTEST1だけ難易度がかなり高くて驚きました。この部分だけは、最近の難化しているpart7に匹敵するか、それ以上の難易度だったと思います。文章量はそれほど多くは無いのですが、読み解くのに苦労する問題が多かったです。その結果、時間がギリギリになってしまい、ほとんど見直す時間を残すことが出来ませんでした。

具体的に言うと「正解を選ぶための根拠があいまい」な問題が含まれていました。公式問題集でそのような問題が出るのは割と珍しいと思います。ただ、本試験ではたまにそういう問題も出ます。そこで時間を使いすぎると、時間配分のペースが崩れやすいので注意が必要です。

他には、日本語の翻訳を読んでも、簡単には理解できないような複雑な内容の問題がありました。難問と言うよりも、意地悪な問題(あえて読みづらくしている問題)のように感じる部分がありました。

一方で、TEST2のpart7の難易度は標準的でした。前回やった公式問題集5と同様に、文章の長さも控えめでしたし、内容が頭に入りやすい文章がほとんどだったと思います。

リーディングの難問に対しては、いったん保留にする判断が必要

時間を消費しそうな問題に出会った場合、いったん保留にする判断が必要です。そしてリーディングパートを最後まで解いたのちに、残り時間をその難問に充てる事ができれば、理想的なペース配分になります。ただ、その保留の判断がなかなか難しいですし、今回のように複数の難問に当たる時もあります。

本試験では焦りも生じますので、なかなか対応が難しいです。この部分は私も最近、特に苦労をしています。正確に素早く、英文を読み解く訓練を増やす必要があると感じています。

本試験の難易度も一定では無いので、それを体験できる

全体を通して公式問題集6は、最新のTOEICと内容的に大きな違いは無いと感じました。ですので、本番の練習として十分使えます。

繰り返し解いて勉強をするために使う場合でも、公式問題集6は十分役に立ちます。出版されてから3年が経過していますが、TOEICの範囲と傾向は、そこまで大きく変わっているわけではありません。

ただ今回は、TEST1とTEST2の難易度にかなり差があって驚きました。公式問題集は「本試験よりやや難易度が控えめだが、クオリティの高い模試」という私の勝手なイメージがあったのですが、その印象が少し変わりました。これは必ずしも悪い事では無いと思います。

というのも、本試験も毎回、難易度は変動します。午前と午後の回でも難易度は違うようです。結果として、得点が取りやすい回と、そうでない回が存在します。ですので、公式問題集で難易度のブレがあるのも、当たり前の事かもしれません。TOEICを受験する学習者にとって、これは良い経験になるはずです。

他の公式問題集に比べて、難易度がやや高めなので注意が必要

注意点として、初中級者の方(現在600点以下ぐらいの方)が本番の練習として使うならば、この「公式問題集6」は後回しにした方がいいかもしれません。私は今まで、公式問題集は「1・2・3・5・6・8」をやっているのですが、今回の「6」が一番難易度が高かったです。特に試験前は、模試で低い点数を取ると、不安や焦りを感じてしまう事もあります。

また、TOEICの模試は繰り返して解くと、学習効果が高くなります。ですので、初中級者の方は、解説の分かりやすさ・丁寧さを重視した方が良いと思います。公式問題集は値段が高い上に、解説もそこまで詳細ではありません(もちろん質は良いのだが)。

繰り返して解くための模試を選ぶならば、例えば以下の二つの模試がおすすめです。これらは解説がかなり丁寧で、コスパも良いです。

解説が細かくて、動画による授業も参照できるのでお得感があります。

こちらはリスニングの解説に特に優れていて、音の消失や短縮について分かりやすいです。