2023年に「読解特急6 トリプルパッセージ編(2020年発行)」をやってみたレビュー

旧形式の改訂版ではない、読解シリーズの最新版

最近、TOEICの問題集として有名な「特急シリーズ」を手当たり次第にやっています。今回は「読解特急6トリプルパッセージ編」をやったのでレビュー致します。

ところで、特急シリーズにはたくさんの本がありますが、あまり計画的に発売されている感じはしません。以前にもご紹介しましたが、出版社が用意している図解がそもそも結構カオスです。

引用元:https://x.gd/VpIZ8

ただ、その中でも「読解特急1~6」は比較的分かりやすく、TOEICのpart7を網羅している感じになっています。

箇条書きにすると、以下のような感じです。

①読解特急  1駅1題
②読解特急2 スピード強化編 ※ ①と②併せてレビュー済み

③読解特急3 長めの記事編
④読解特急4 ビジネス文書編
⑤読解特急5 ダブルパッセージ編 ※レビュー済み
⑥読解特急6 トリプルパッセージ編 ←今回レビュー

※ダブル・トリプルパッセージ(問題)とは「複数の文書を相互に参照する問題」の事

上記の「読解シリーズ」がpart7を網羅しているのは確かなのですが、このシリーズもあまり整理されていない感じがします。例えば①がpart7全体を扱っている一方で、他の本は部分特化型のような内容です(しかもどの部分に特化しているのかわかりにくい

また、②は短めの文章中心で難易度はやや低めなのですが、③は長めで高難易度と言われているようです(私は③はまだやっていません)。つまりシリーズを通して難易度が一定ではありません。

と言う感じで、特急シリーズ全体に言えることですが、パッと見だけでは本の内容や難易度が分かりにくいです。問題の質は良い物が多いのですが、購入を検討されている方はその点にご注意ください。

リーディングパートは時間との戦い

読解シリーズの中で、⑤のダブルパッセージ編と⑥のトリプルパッセージ編は、タイトルから内容が分かりやすいです。難易度に関しても、両方ともTOEIC本番に近い標準的なレベルなので、幅広い層の学習者が利用できるはずです。

TOEICのリーディングパートは時間との戦いでもあるのですが、そういう意味では、後半に出てくるダブル・トリプルパッセージが最大の難関と言えるかもしれません。個人的には「最後まで問題を解き切る事が出来るかどうか」が「900点に到達できるかどうか」の鍵になっている印象があります。

効率よく長い文章を読み解くには、たくさんの問題を解いて訓練をするしかありません。そのために、今回レビューする「読解特急6 トリプルパッセージ編」はかなり役立ってくれるはずです。この本の印象を短くまとめると、

標準的な難易度で、良質のトリプルパッセージ問題を大量に練習できる素晴らしい問題集。本文に目標タイムの設定は無いが、時間を計って解くとより役に立つはず。解説も詳しいので繰り返し解く学習にも向いている。本のサイズが小さいせいで、頻繁にページ移動をしなければならない点だけが残念。

と言う感じになりました。

癖の無い、素直な問題が多いのが好印象だった

この本にはトリプルパッセージの問題が20セット含まれており、それぞれに設問が5題あります。よって問題数は「20×5=合計100問」です。

今回の私の得点率は、

100問中 1ミス 正解率99%

でした。

簡単すぎず、難し過ぎず、すべてがほど良い難易度の問題だったと思います。TOEIC本番では時々かなり読みにくい文章や、選択肢の表現があいまいで、受験者を悩ませる問題が出てきます。この本では、それらに対しての対策はあまり出来ません。

ただ、まずは基礎的な部分を固める事が大切ですので、900点ぐらいに達するまでは難問対策をする必要は無いと私は思います。この本に収録されているような、素直な問題をスムーズに解けるようになってから、難問模試・問題集に取り組んだほうが学習効率は良くなるはずです。

時間を計って解く事が、本番での上手な時間配分につながる

先ほど、リーディングパートは時間との勝負、という事を述べました。ここで、リーディングパートの時間配分について、目安となる長さを改めて考えてみたいと思います。

TOEICリーディングパート計75分) 時間配分の目安(上級者向け

①part5(短文穴埋め問題) 10分

②part6(長文穴埋め問題) 10分

③part7(読解問題)    55分

①+②+③=75分

個人的に上記が理想値で、さらに言えばpart7は50分ぐらいで解いて、残りの5分は見直しに使いたいところです。

ただ、私がこの時間配分が出来るようになったのは、900点以上が取れるようになってからです。ちなみに、現在もかなり時間に追われる形で、超焦りながら問題を解いています。スピードを上げて読解問題を解く事は、かなり難易度の高い事だと思います。

ですので、初中級者の方は、そこまで時間に囚われる必要はありません。それよりも今は、取れる点数を取りこぼさない事の方が重要です。学習を続けていれば、少しづつ、素早く正確に読めるようになります。上記の時間配分は、あくまでも900点以上を取る場合の、目標タイムだと考えてください。

さらにpart7を分解して、時間配分を考えてみます。使える時間は上記の55分と仮定します。

リーディングパート part755分) 時間配分の目安(上級者向け

①シングルパッセージ(文書が一つの問題) 10問 各3分 計30分

②ダブル・トリプルパッセージ(文書が二~三つの問題) 5問 各5分 計25分 

①+②=55分

ちょっとおおざっぱですが、私は上記のイメージで問題を解いています。①のシングルパッセージが終わるまでは、時計を見ないようにしています(焦ってしまうので)。そして①が終わった段階で時計を見て、残り時間が25~30分以上あれば一安心できます(とはいえギリギリですが)。

ここでようやく、今回の本の話に戻ります。上記のように、ダブル・トリプルパッセージを5分以下で解く事が、時間内にリーディングパートを最後まで解くための重要なカギになります。とりわけトリプルパッセージは文章量が多いので、5分で解くためにはそれなりの訓練が必要になります。

今回の「読解特急6」には20セットのトリプルパッセージ問題があるので、時間を計りながら解く事で良い練習になりました。私は本番の時と同様に「高速かつ超焦りモード」で解いたのですが、だいたい4分ちょっとぐらいで終えた問題が多かったです。それ以外では3分台で終わった物と、6分以上かかってしまった物も少しありました。

時間を計るメリットは、どのレベルの学習者にもあるはず

初中級者の方も、是非時間を計ってトリプルパッセージを解く練習をしてみて下さい。例えば現在、トリプルパッセージの1セットに10分かかっているとします。これをいきなり5分にするのは難しいですが、今後徐々に短縮して行けば良いわけです。そのイメージを今から持っておくことで、学習の目標が出来ますし、その過程で自分の上達を感じることが出来るはずです。

900点を目指している方は、1セット5分を厳守する形で、この本に取り組むのも良いと思います。例えば6、7分かかってしまった場合、どこで時間を消費しすぎたのか、分析することも出来るでしょう。

私も一つの問題に悩んでしまって、5分を超過する事はよくあります。ただ、本来どれくらいのペースで解くべきかが身についているので、悩むことを切り上げるタイミングも分かるようになりました。この感覚が身に付くと、本番での時間配分にかなり役立つはずです。

ちなみに、この本はサイズが小さいために「ページをたくさんめくる必要がある」というデメリットがあります。トリプルパッセージ問題の場合、最大で6ページに問題が渡っているケースがあり、ちょっと読みにくい事は確かです。答え合わせの時も、不便を感じる事が結構ありました。

本番のTOEICではもちろん、見開き(2ページ)でトリプルパッセージの問題を解く事になります。ですので今回の不便さは、ちょっとした高地トレーニングだと思えば良いかもしれません。本番が少しだけ楽に感じる……かも?

複数パッセージ専門の問題集がもっとあっても良いと思う

今回の本はトリプルパッセージのみを扱っていて、TOEICの問題集としては結構珍しい形式です。特急シリーズは本のサイズが小さくてページ数もそれほど多くないため、扱う範囲が結果的に細分化されたのだと思います。

前回レビューをした「TOEIC パート6特急 新形式ドリル」も、part6を専門に扱っている珍しい問題集でした。少し苦手意識のあるpart6を集中的に勉強できたので、個人的に好印象でした。

これらの細分化された問題集には、特有のメリットがあると私は感じています。例えば今回の本では「5分でトリプルパッセージを解く練習」を連続でする事ができます。すると、時間の感覚が身に付きやすいです。また、学びたい分野を、ピンポイントで集中的に強化する事が出来ます。

ですので、似たような問題集がもっとあっても良さそうだな、と思いました(だからこそ、特定の特急シリーズが売れているのかもしれません)。