2023年に「1駅1題 読解特急(2017年発行)」&「2(2018年発行)」をやってみたレビュー

旧形式の改題&改訂版だが十分に使える

最近私はTOEICの問題集として有名な「特急シリーズ」を、かたっぱしからやっています。ある程度数がたまったら、まとめページも作る予定ですが、今のところリスニングで4冊、リーディングで5冊ほどこなしました(今回の2冊も含めて)。

合計9冊ほどやってみて、「特急シリーズ」に共通する特徴があると感じています。箇条書きにすると、

良い点

問題の質が良くてハズレが無い

解説が充実している

気になる点

値段は安いがボリュームも少ないので、そこまでコスパが良いわけではない

旧形式の問題をそのまま流用している本が多い

という感じです。

気になる点にあげたコスパに関してですが、アマゾンかフリマアプリで、中古を手に入れるという方法があります。有名で結構売れているシリーズですし、定価が安いので、状態の良い中古が安価で手に入りやすいです。

また、TOEICが2016年に新形式になったタイミングで、特急シリーズのほとんどの本が「新形式対応」として(再)新発売されています。それらは、旧形式の問題に少しだけ新形式の問題を加えて、改訂版としている本がほとんどのようです。

ただ、今までやった9冊の印象で言うと、私には旧形式と新形式の違いは、ほとんど分かりませんでした。違いがあったとしても、些細な仕様上の違いだと思います。基本的に問題の質は良いですし、解説も丁寧なので、学習者は「旧形式の問題が多く含まれている事」は気にしなくて良いと思います。

混沌とした特急シリーズの中にある、一連の読解シリーズ

特急シリーズのジャンルは、あまり綺麗に整理されていない模様

特急シリーズでは、かなりたくさんの本が出版されています。扱っているカテゴリーも多岐にわたっていて、あまり整理されている感じがしません。リーディング・リスニング・単語・文法のような分け方がある一方で、TOEICのセクションごとの、part1~part7で分けられた問題集もあります。中にはちょっと変則的な、

上記のような本もあるので、学習者はどの本を買えばよいのか、恐らく迷ってしまうと思います。また「900点特急」や「難問240」のように、難易度が示されている物もありますが、対象レベル(難易度がわかりにくい物も多いです。ですので、購入前にはレビューなどをよく確認したほうが良いと思います。

一応、出版社のウェブサイトには、すべてのラインナップの案内と、難易度の表示(星3段階)もあります(それでも分かりにくい)。

ちなみに、アマゾンの「金の文法」の販売ページに、出版社が簡単な見取り図を載せています。

引用元:https://x.gd/VpIZ8

これを見る限り、出版社としても、そこまで系統立てる気持ちは無いように感じます。それぞれの売れた数を記載しているのも、理由がよく分かりません(売れていない本が、丸わかりになってしまうと思うのだが……)。

TOEICのpart7を扱う「読解特急」は6冊まで出ている

今回やった「読解特急」は、これもちょっとわかりにくいのですが、一連のシリーズになっています。著者も同じ方々です(3人の共著)。一覧にすると、

①読解特急 1駅1題  ※今回レビュー
読解特急2 スピード強化編 ※今回レビュー
③読解特急3 長めの記事編
④読解特急4 ビジネス文書編
⑤読解特急5 ダブルパッセージ編 ※レビュー済み
⑥読解特急6 トリプルパッセージ編

上記のようになっているのですが、具体的な内容は「TOEICのpart7を分割して扱っている形」になっています。と言っても、①~⑥までの順番が、part7の前半から後半までに、順序良く対応しているわけではありません。

今回レビューする①はpart7全般を扱っています。そして②はpart7の前半部分に出てくる、短い文書を集中的に扱った問題集になります。まだ私はやっていないのですが、③と④は文書のタイプを絞った問題集のようです。そして、最後の⑤と⑥はpart7の順序通りで、複数の文書を扱う問題集が続いています。

このシリーズ展開は、TOEICに詳しい人には、ある程度分かりやすいかもしれません。ただ、ちょっと説明不足な気もします。細かい事はあまり気にせず、どの本も繰り返し解けば勉強になると言えばそうなのですが、購入前には少し内容の調査する事をおすすめします。

特に初中級者の方は難易度に気を付けて下さい。③~⑥は難易度が高めで、私はまだやっていないのですが、③は特に難しく作られているようです。

今回の2冊は難易度は控えめで、良質の問題が揃っている

上にも書きましたが、①の「1駅1題 読解特急」はpart7全般を扱っています。そして②の「読解特急2スピード強化編」は、part7の前半に出てくる短い文書を扱っています。どの問題も、TOEIC本番と難易度が同じぐらいですし、問題の質も良かったです。

先日レビューをした読解特急5のダブルパッセージ編は、2013年発行の旧形式の本を、改題だけして(再)新発売したものでした。今回の①1駅1題は、旧形式96問に新形式の問題を28問加えた、計124問の改訂版になっています。②の読解特急2は旧形式90問のまま、改題だけしたものなので、改訂版ではありません。

ということで、旧形式の問題が多く含まれているのですが、特に不都合は感じませんでした。ちなみに私の正解率は以下のようになりました。

①「1駅1題 読解特急」 124問中4ミス 正解率97%

②「読解特急2スピード強化編」90問中3ミス 正解率97%

ということで、私の本番のミス率にかなり近かったです。つまり、難易度的にも本番とほとんど変わらない、という予想が出来ます。

この本のおすすめの使い方(学習者のレベル別)

初中級者の方が使う場合、公式問題集より解説が丁寧ですので、繰り返しの学習に適していると思います。文書中に出てくる重要単語のリストも充実しているので、辞書を引く頻度を下げられるはずです。

一方で上級者の方は、各問題に設定されている目標タイムに対して、より短い時間で問題を解く練習に使うと、これらの本を有効活用できるはずです。

ちなみに、①の方は目標タイムが3分から5分の問題、②はすべての問題が目標タイム3分となっています。TOEIC本番でリーディングを最後まで解くためには、この目標タイムを超えない事が非常に重要になります。

初中級者の方でも、問題に繰り返し取り組めば、目標タイム以内で解けるようになるはずです。すると、本番でどのくらいのスピードで解くべきなのか、感覚がつかめるようになるはずです。

900点以上を目指す方は、この目標タイムから、30秒から1分ぐらい早く解けると理想的です。すると、最後に5分~10分ぐらい時間があまるので、見直しに時間を使うことができます。

この本は2009年と2010年に発行された本がベースになっています。ですが、特に古さは感じませんでした。かなりおススメ出来ます。唯一、著者の方の雑談の部分が、少し古めかしい感じがしたくらいです。そういえば昔の英語の参考書・問題集では「著者の方のすべっている話」をよく見かけたものです。少し思い出がよみがえりました。

今後、③、④、⑥も手に入れてレビューをする予定です。