集英社の人気作を使って、「漫画で楽しく英語多読」出来る「Langaku」が面白い

多読をストレス無く出来るように、多くの工夫がされている

現在ベータテスト中※の「Langaku」は、「漫画で楽しく英語多読」をする、というコンセプトで作られているスマホアプリです。無料会員でも、集英社の人気作を英語で読むことが出来ます(一日当たりのページ制限はある)。

※iOS版は正式リリースされており、Android版がベータテスト中

翻訳された漫画は既にたくさん存在するので、その気になれば個人で翻訳版を購入して、漫画の多読をすることは出来ます(電子書籍版ならば簡単に手に入る)。一方で、このアプリを使って漫画の多読をするメリットは、英語学習に特化した環境が用意されている、という点にあります。具体的に言うと、

学習者のレベルに合わせて、セリフに占める英語の割合を4段階で調整できる。(20・50・80・100%)

英語のセリフをタッチすると、辞書が出てくる(単語ごとの意味も表示される)

英語のセリフの音声を再生できる(発音を確認できる)

という点が大きな特徴かと思います。このアプリに関して、Vtuberを起用したプロモーション動画があるので、こちらを見てもらうと具体的にアプリの内容が分かります。

そもそも英語の多読とは、どういう学習方法なのか

昔から英語の多読は、リーディングの有効な学習方法として知られています。私も以前、「多読に関して」と「赤毛のアン」について記事を書きました。

英語の多読をする時に、重要になるポイントが3つあると思います。それは、

①自分が興味の持てる素材(好きな小説や、ジャンル等)を選ぶ事

②現在の自分の英語のレベルに適した素材(簡単過ぎず、難し過ぎず)を選ぶ事

③だいたいの意味が分かるならば、飛ばし読みをして前に進む事(辞書を調べすぎない)

①が最も重要で、自分の興味のある素材ならば、学習のモチベーションを維持しやすいです。私の場合、「赤毛のアン」が大好きなので、翻訳版の小説やアニメを見て、既にストーリーは知っていました。ですので、英語版はかなり難易度が高いのですが、英語レベルが低い時でも最後まで読み進める事が出来ました。

②に関して。知らない単語が多いと、話の流れがすぐにつかめなくなります。ですので、1ページの中に2,3個ぐらい知らない単語がある、くらいでないと、スラスラ読む事は出来ません。また、いちいち辞書で単語の意味を調べていると、そのために時間がかなり消費されてしまいます。文法的に難しすぎても、文章の意味が取れなくなります。ということで、学習者の現在の英語レベルに適した素材を選ぶ必要があります。

③は多読のコンセプトに関係しています。多少意味が分からなくても、大量に読書をすることによって単語や文法になじんでいく、というのが多読のおおまかなコンセプトだと思います。ですので、上記の①と②を上手く工夫して、自分に適した多読の環境を用意する必要があります。

私の場合、「赤毛のアン」や「大草原の小さな家」という古典文学が好きだったので、それらは難易度が高くても読み進める事ができました。ですが、多くの学習者にとって、多読に適した素材を見つけることはなかなか難しいはずです。そもそも、読書習慣が無いにとっては、多読はあまり適した学習方法とは言えません。

ということで、「Langaku」のコンセプトはかなり魅力的だと思います。漫画ならば、上記の①「興味のある素材」に関しては簡単にクリアできるはずです。②に関しては、レベル調整をアプリがしてくれます。③に関しても、画面をタッチすればすぐに翻訳や辞書が出てくるので、飛ばし読みの妨げになりにくいです。

新しい試みなので、開発会社は是非頑張って欲しい

ということで「小説の多読は無理かもしれない」と思う方でも、漫画の多読は一度試してみる価値はあると思います。このアプリは集英社と提携をしているので、もちろん合法的に、そして無料で集英社の人気作を読む事ができます。現在オープンベータテスト(誰でも参加出来る試用中)をやっていて、会員登録すれば一日数ページを無料で読む事が出来ます

私は約2年前、このアプリが開発段階の時に試用モニターに応募をして、アプリを一定期間使わせて頂きました。その試用期間が終った後に、開発者の方々とzoomを使ってお話をして、フィードバックもしました。海外vtuberが言語の壁を壊している、というお話も出来て楽しかったです。

「Langaku」は、今後もさらにアップデートを重ねて便利になって行くと思います。このようなアプリの存在が、英語学習の間口を広げてくれると思うので、私はかなり期待をしています。

英語学習の初心者の方が挫折をしてしまう原因は、モチベーションを維持する事が難しい点にあると思います。勉強を習慣化するのは非常に困難な事です。ですが、「毎日英語版の漫画を読む」という勉強法は、日々の勉強に組み込みやすいはずです。

最後に、私が今「Langaku」を使っていて感じる、出来たら改善して欲しい点を挙げたいと思います。

単語の難易度が部分的にかなり高いので、語彙制約版が欲しい

私は英検1級対策のために、15000語レベルまで単語学習をしていますが、それでもなじみのない単語がセリフの英文に出てくることがあります。初中級者の方にとってこれが、スラスラ読むための壁になっているかもしれません。文法も、話し言葉は難しく感じる部分があります

小説の語彙制約本のように、簡単な英語でセリフを構成したバージョンも選択できると有難いです。もし今後、AIを使って語彙制約本を短時間で作れるようになれば、かなり応用範囲が広くなるはずです(漫画以外でも使えそう)。

多読のレベル調整に関して、面白い本があるのでご紹介します。

この本は、英語学習者向けに書かれた物語なのですが、面白い工夫がされています。1巻から8巻まであるのですが、巻を追うごとに単語・文法レベルが徐々に上がっていきます。ですので、読者はストーリーを追いつつ、徐々に難しい英語に触れる事が出来るように設計されています。

上記の本は一例ですが、「Langaku」の開発者にはAIの専門家もいらっしゃるようなので、難易度調整に関して面白い試みをしてくださったら嬉しいです。今後のアプリの進化を楽しみにしています。